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78.海④

投稿遅れました、すみません


「・・・美味しい」


「なら、よかった」


 レクスルの言葉にフーヤは答えると、『異空間収納』から新しい赤い魚を出し、同様に捌く。


「とりあえず、陸に帰ったら朝食もあるだろうからこれで最後」


「りょーかい。でもさ、白米と一緒に刺身食べたい気もする」


 カザヤの要望にフーヤは苦虫を噛み潰したような顔をする。


「・・・・・・レクスルの反応を見れば分かるだろうけど、危険な食べ方を高度な魔法で安全にしてるだけだから。他の人にバレたら不味い。まあ、帰ったら白米を手に入れて、その後で他に誰も居ない時にでも三人で食べればいい。魚も沢山捕らえたし」


「なるほど、それもそうか。じゃあ、改めまして、いただきます」


 カザヤは刺身を改めてつまむ。

 レクスルもゆっくりと刺身を味わうように食べ、フーヤも黙々と食べる。

 あっという間に刺身はなくなり、なくなったことを確認するとフーヤは刺身を載せていた板や小皿や箸を『異空間収納』にしまう。


「帰ろう」


 フーヤはそう一言かけると、船を動かす。


「お、動いた。少し明るくなってきたから分かるようになったね。まあ、仕組みとかは全然分からないんだけど」


「そうだな」


 カザヤの言葉に同意するレクスル。


「・・・・・・船が進む仕組みなら、海面の水の流れと水についていない部分を風で押してるだけなんだけど」


「え、そうなの?いや、でも説明されても出来る気がしない。いや、想像でこういう風かなってのは出来るんだけどそれをイメージし続けて魔法を使い続けるのは無理」


 カザヤが頭を軽く叩く。


「・・・・・・それもそうだな。工夫すれば出来なくないかもしれないが、少なくともこんなあっさりと成し遂げるのは俺にも無理だ」


 レクスルは考え込むように首をかしげつつも、カザヤの言葉にゆっくりうなずく。


「・・・そうか」


 フーヤは短くつぶやくと視線を陸地の方へと向けた。


 ◇ ◇ ◇


「あ、焦った・・・・・・」


 カザヤはそう言うと寝床に物音をたてないように倒れ込む。

 泊めて貰っている食事処に戻った地点で既におばあちゃんが起きて朝食の準備をしており、気配と物音、姿を隠すというフーヤの魔法があったとはいえ気づかれるのではないかとビクビクしながら二階へと戻ったのである。

 最も、ビクビクしてたのはカザヤだけであり、フーヤは自分の魔法を信頼していたし、レクスルもフーヤを信頼していたので、カザヤほど緊張することもなかった。


「・・・というか、何でこんなコソコソしてないといけないんだっけ」


「理由は色々あるけど、魚の生食がバレるのは不味い。レクスルの様子を見ればなんとなく分かるだろうけど、禁忌に触れるみたいな感覚だから。それに、漁師でもないのに魚を大量に捕るとか、バレたらどう思われることか。よって、目立つのは厳禁」


「・・・なるほど?」


「・・・理解してないな、まあいいけど、目立たなければ」


 フーヤはそう言いつつも、羽織っていた上着を脱ぐ。

 フーヤとカザヤの会話が一段落したのを見て、レクスルは自分の寝床に入る。


「とりあえず、もう少し寝よう」


「・・・疲れたし、おやすみ」


 既に伏せっていたカザヤは短くそう告げるとあっという間に眠りの世界へと旅立っていった。


 フーヤは『異空間収納』から本を出すとレクスルを見る。


「起きてきても不自然ではないくらいの時間になったら起こすから」


「・・・・・・フーヤは寝ないのか?」


「寝れないからいい。大丈夫、身体は休めるから」


「・・・そうか」


 レクスルは視線を彷徨わせつつも、息を吐き出して寝床に丸まった。


 ◇ ◇ ◇


「起きて」


 ドンッという音と共にカザヤが床に落ちる。


「・・・・・・ところでさ、この起こし方辞めない?前々からずっと思ってたんだけど床に蹴落とすのは倫理的に良くないんじゃない?」


 カザヤが床に寝転がったまままくしたてる。


「倫理とか難しい言葉よく知ってるな」


 フーヤは寝床を綺麗に整えながら言う。


「誤魔化さないでよ」


 そう言いつつも、カザヤもフーヤのやり方を見様見真似で寝床を整える。


「・・・・・・床に蹴落とすまで起きないのが悪い」


「カザヤ、これは俺も擁護出来ない」


「え、そんなぁ・・・」


 いつも、味方になってくれることの多いレクスルにまでそう言われたカザヤはせっかく整えた寝床に顔をうずめる。


「いや、分かってる。俺が悪いのは分かってる。でも、もう少し、手心というか、なんというか、うう」


「もう、朝食も出来てる頃だし、行くぞ」


 フーヤがそう声をかけると、カザヤは途端に立ち上がり、意気揚々と部屋を出ていく。


「切り替えが早い」


 思わずといったように声を出したフーヤに、レクスルはゆっくりとうなずいた。


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