幕間∶フーヤの魔法講座①
「というわけだからさ、魔法教えてくれ、お願いします」
カザヤがぺこりと頭を下げる。
村に向かう道中の昼食という、ゆったりとした時間である。
「土下座」
「えっ!?」
「冗談」
「だ、だよね」
カザヤが息を吐き出す。
「フーヤ、冗談が分かりにくいのはどうにかした方がいいと思うぞ」
レクスルが食事のサンドイッチを食べつつ言う。
「俺からすると、レクスルもフーヤもどっこいどっこいって感じなんだけど。冗談が冗談かどうか分かりにくいのは」
「そうか?」
「そうだよ」
カザヤの言葉に納得していないらしいレクスルが眉をひそめる。
「それで、教えることについて考えたんだが、カザヤに体系的に教えるのは非効率という結論に至ったので感覚的に教える」
「わあ、けなされた気がする。けど、そっちの方がありがたい」
フーヤに対してカザヤは棒読みで答える。
「じゃあ、課題を出すからそれをやってもらう形で」
「あれ、なんだか思ってたよりちゃんと考えててくれてる?」
カザヤがぽかんとした表情で言うと、レクスルがうなずく。
「まあ、フーヤはそういう奴だからな。性格に少々難があることは認めるが」
「褒めてるのかけなしてるのかは分からないけど、レクスルの言いたいことはよく分かる気もする。とりあえず、課題って何?」
フーヤは地面を物色したかと思うと、一本の枝を拾い上げる。
「これを宙に浮かばせて、腰くらいの高さでいい」
「え、それだけ?ちなみに時間は?」
フーヤの口角が僅かに上がる。
「僕が辞めてって言うまで」
「え?」
枝とフーヤの顔をカザヤは交互に見比べる。
「フーヤ、やりたいことは分かるが、物を浮かべる魔法はそれなりに難しい魔法のはずなんだが」
「転生者なんだから、この世界の住人よりは簡単に出来るはず。最も、この課題の目的は魔力の使い方の練習だから。一定量の魔力を持続的に使えなければ意味がない」
レクスルの疑問にフーヤはレクスルを見ることもなく、淡々と答える。
「なるほど、俺も魔法の特訓として取り入れてもいいかもしれない内容だな」
「ええと、もっと派手なの想像してたんだけど地味じゃない?それに、フーヤが辞めてって言うまでとかフーヤ次第で変わるじゃん」
拗ねたように口をまげるカザヤにフーヤは笑顔で言う。
「まあ、最初は直ぐに落としてしまうだろうけど、頑張って」
「え、失敗前提?」
「なかなか難易度高いからな」
レクスルの言葉にカザヤは枝をまじまじと見つめながら言った。
「まじか・・・・・・」
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