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67.プロクス③


「長々と話しこんでしまい、申し訳ありませんでした」


「いや、レクスルくん、わざわざ謝るようなことじゃないよ」


 ルーン=ルナティックはそう言いつつも、フーヤに目を留める。


「この十分の一でもフーヤくんに敬う気持ちがあれば」


「残念ながら、敬える人物ってほとんど居ない」


 フーヤが真顔で言い切るとルーン=ルナティックとレクスルが似たような苦笑いを浮かべる。


「うんうん、フーヤならそうだよな。こんなこと分かるようになりたくなかったというか、レクスル、何でこんな奴を友人に選んだわけ?」


「カザヤ、何気に辛辣」


「何で、か。理由は色々あるが、まあ、他に俺と話をしてくれる人物も居なかったからな。それに、性格に難があることは認めるがこれでもいい奴だぞ。心配してくれたり、助けてくれたり──」


「もういい」


 フーヤがレクスルの話を遮る。


「なんか、さらりと闇が深そうな話が出てなかった?まあ、前にレクスルから聞いた話と大体内容は変わらないか、精々取り繕えなくなってきたのか変わり者から性格悪いに変わったくらい・・・・・・」


「いつの間にそんな話・・・待て、性格に難があるという表現は性格が悪いという意味ではなくてどちらかというとひねくれてるとか素直ではないとかそういう意味になるはず」


「そうなのか、いや、それ自分で言うのか?」


「フーヤ、カザヤ、そのくらいにしておけ。ルーン=ルナティック様、また話しこんでしまい申し訳ありません」


 レクスルが言い合いになっている二人をたしなめる。

 苦笑いしているルーン=ルナティックの横でプロクスは地面に突き立てた大剣を引き抜く。


「こいつらのことが大体分かった。そろそろ行くよ、ルーン」


「うん、急な頼みだったのに聞いてくれてありがとうね」


「嗚呼、もし困ったことがあればいつでもご用命を」


 プロクスは大剣を背負い直しつつもおどけたようにしてルーン=ルナティックにそう告げる。


「そうだな、もしヴィルシィーナ王国に来ることがあったら、『大地』という名前の道場に来い。稽古をつけてやる。最も、体術のだがな。魔法はからっきしだから主に教えられるのは極めている体術だけだ」


 ヴィルシィーナ王国は一応王国ではあるのだが、領域のほぼ全てが山であり、王城が一番高い山の中腹に建てられているという国である。

 その特色故に人口は国の広さの割に少なく、身体が鍛えられた者が多い。


「分かりました。親切にありがとうございます」


 レクスルの言葉にうなずくと、プロクスは満足そうに笑い、ユウレイルとは別の方向へと歩んでいく。

 プロクスの背中が見えなくなるまで見守った後、ルーン=ルナティックがフーヤたちの方へ向き直って言う。


「それで、どうする?私は王都に戻って事の顛末の報告をするけど。フーヤくんたちはそのまま旅立ってもらってもついて来てもらってもいいよ」


「そのまま行く。王都にはヲタ女神だけで行け」


 フーヤが迷いなく言い切り、それにカザヤが目を丸くする。


「即答かよ、何で王都に行かないんだよ?というか、呼び方戻ってるし、命令口調だし・・・」


 フーヤがガシリとカザヤの両肩をつかむ。


「よく考えろ、王都なんて戻ったら祭り上げられる」


「え、そうなの!?」


「まあ、国の有事だからな。それを救ったわけだから、祭り上げられるのも当然だろう」


 レクスルの言葉にカザヤの目が光る。


「最高じゃん!戻ろう!」


 フーヤの目が急激に冷める。


「何故そうなる」


「逆にフーヤは何が嫌なんだよ」


 拗ねるようなカザヤの言葉にフーヤは高圧的に答える。


「目立つ、面倒」


「そういえば、そうだった」


 ハッとした様子を見せるカザヤにフーヤは小さくため息をつきつつも、高圧的な言葉を緩めて問いかける。


「・・・・・・何で王都に行きたい?」


「そりゃ、ちやほやされて、かわいい女の子と付き合えるかもしれないだろ」


「レクスル、こいつ置いて行こう」


「何でだよ!」


「そもそも、カザヤはほとんど役に立ってない」


「いや、フーヤのピンチを助けただろ」


「それはそれ、これはこれ」


「なんでだよ、いいじゃん。そもそも、このパーティーに何が足りないか分かった。女の子、かわいい女の子。それも、誰とも付き合ってない」


「馬鹿?」


「馬鹿じゃないし、どちらかというと男のロマンだろ!」


「いや、そんなのはロマンなどではなく単なる妄想」


「なんだと!!!」


 激しさを増していく二人の終わる気配のない応酬にレクスルが盛大にため息をつく。


「そろそろ辞めろ、二人とも。俺は祭り上げられるのは構わないが、出発が遅れるのは避けたい。ルーン=ルナティック様、俺達は旅立たせていただきます」


「了解。まあ、レクスルくんを勇者として持ち上げるために適当に話盛っておくから、よろしく」


 手をひらりと振るルーン=ルナティックに、レクスルは満面の笑みで答えた。


「はい、盛られた話に負けない実力をつけて、期待に添えるようにします」


「期待してるね」


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