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転生者は能力を隠したままで隠居生活を目指したい!  作者: 虹夢 なうみ
魔法学校編
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6.ルーン=ルナティック②


「そういえば、謝罪内容のもうひとつがまだでしたね」


 フーヤとしては、もう話は終わった気になっていたが続きを聞くこととする。


「もうひとつはですね、この世界を担当しているのは新人女神に当たるのですが、貴方をこの世界に送りこむ際にだいぶ雑な作業をしていたようでして・・・」


「・・・・・・確かにお約束というか必然的にされるはずの説明とか無かったな」


 あの時に会った女神を思い出す。

 新人らしさなんてものは微塵も感じなかったが、展開が急激過ぎて思考が追い付いても気持ちが追い付かないという状況にはなった。


「一応、転生作業用のマニュアルがあるのですけど、どうもちゃんと読んでいなかったようでして、今は改めて新人研修中です」


「・・・なんか世界観みたいなものが一気に崩れたような」


 マニュアルとか新人研修とかいう言葉は天界の神々の世界で行われていると考えるとあまりにも似合わないことこの上ない。

 最も、フーヤが今いるこのファンタジーな世界にも似合わないだろうけれども。


「神になった影響で見た目の日本人らしさはあまり無くなりましたが、その精神までは変わっていないので、私が転生物の定番中のど定番の状況のマニュアルを用意しておいたんですよ」


「・・・そうですか」


 いや、お前かよ、という喉元まででかかった言葉を飲みこむ。


「救いは転生特典であるチート能力はちゃんと与えていたということだけですね。不便は無いですか?」


「いや、不便どころか能力が凄すぎて困るくらいなんですけど」


 フーヤに与えられた能力は次の通り。

『魔力無限』『魔力制御補助』『万能感知』『異空間収納』『異物排除』『神の加護』の六つである。

 たかが六つと思うかもしれないが、これが規格外の性能だったりするのだ。

『魔力無限』は体内に貯蓄しておける魔力が無制限になるというもの。

 この世界において、魔力というものは空気中の魔素を少しずつ変換して体内に貯蓄しておき、魔法発動にその魔力を使用するものである。

 本来であれば訓練して魔力を貯めることが出来る量を増やしていくものであり、本人の素質にもよるが限界というものが存在する。

 しかし『魔力無限』があれば、訓練は必要ないし、限界というものもない。

『魔力制御補助』というものはその名の通り魔力制御を補助してくれるだけなのだが、これが『魔力無限』の力が合わさると途端に最強過ぎる能力に変貌する。

『魔力無限』で得た普通であればひとりではとても制御しきれないであろう膨大な魔力を操れるようになるのだ。

 つまり、通常複数人で詠唱を行い行使するような普通は一人で使えないはずの威力の魔法を行使出来るようになる。

 その上、無詠唱にするのもこの能力のお陰で可能になるので、これも規格外な能力なのである。

 最も、魔法が強力になればなるほど繊細な制御等は必要なので、気を使うことによる疲労が半端ないのであるが。

『万能感知』は『解放』状態と『封印』状態があり、各々の状態によって出来る事の範囲が変わってくる。

『解放』状態である時に出来るのは、地図の表示と地図を併用した検索である。

 要するにゲームのような画面が浮遊する透明な板として近くに展開され、それをフーヤの前世にあった操作パネルのように扱うことで検索することが出来る。

 ちなみに、検索出来ることは人、物、場所、出来事など多岐に渡る。

『封印』状態であると『解放』の時のようなことは出来ないが、代わりに敵意や意識を向けてくる生き物を一定の範囲内で感知出来るようになる。

 むしろ『封印』の時の方が名前の通りの機能である。

 ただひとつ欠点として『解放』した時に出る操作パネルのようなものは誰にでも見えるのでとても目立つ。

 当然の如く、フーヤはほぼ『封印』状態でしか活用していない。

『異空間収納』は異空間と呼ばれる時空の歪みに持ち物を収納しておける能力である。

 もし、空間魔法みたいなものがあれば似たような事が出来るのかもしれないが生憎この世界にはそのような魔法は存在しない。

 ルーン=ルナティックがさも当然というように使っていたが、この世界においては使えるのは当然ではない。

 便利である事は確かだが、おおっぴらに使えないのは不都合である。

『異物排除』薬物を含む様々な身体に悪影響を及ぼしかねない物を身体から排除するものである。

 効果は常時発動しているが、病気を治すための薬などは何故か効くらしい。

 あと、フーヤに今のところ飲む予定が無いので関係ないといえば関係ないがお酒のアルコールも異物の対象となっている。

 最後の『神の加護』の能力は単純である。

 老衰以外の死因では死ななくなるというものだ。

 勿論、怪我なども何事も無かったかのように治る。

 その能力が治しているというよりも、怪我をする前まで状態を巻き戻しているといった様子なので何事も無かったかのようというのは間違いではないかもしれない。

 どの力も規格外であることには違いなく、それ故にフーヤは面倒を極限まで減らすためにも目立つのを避けることとしたのだ。


「それならこの世界を生き抜いていくのに問題はなさそうですね。とりあえず、御詫びの品を用意してあるので今日のところはそれを持っていって下さい」


 そう言って、ルーン=ルナティックはどさりと紙袋を机に置いた。


【簡単人物紹介】

・ルルイエッティ

この世界の女神。

神々基準でいうと新しい部類に入り、人の言う事を聞かずに早合点により物事を進めてしまったため、マニュアル通りに行わないという過ちを侵してしまった。

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