60.集団発生④
投稿するのを忘れてましたので、今投稿させていただきます。
「話が盛大に逸れまくっているのでそろそろ軌道修正すると、魔物の集団発生の話。とりあえず、今回は魔物の集団発生としては小規模な方で魔物の種類としてはゴブリンしか確認されてない。まあ、ゴブリンの進化系は居るけど」
ルーン=ルナティックが咳払いして話始めた。
「ゴブリンっていうと、ゲームとかに出てくるあのゴブリンで合ってる?雑魚と言い切るには微妙に強かったりする、あの」
カザヤがフーヤに耳打ちする。
なお、ひそひそ話にしては声の大きさがそこそこ大きかったため、普通に部屋に居る人間には普通に聞こえていた。
「合ってる。舐めてかかった人間をことくごとく返り討ちにし、パーティーを全滅させる、あのゴブリンで合ってる」
フーヤがいかにも棒読みという調子で答える。
「なんか、絶妙に想定している強さが違うような気がしないでもないけど、大体合ってるということでいいのか」
カザヤのつぶやきが終わるのを待って、ルーン=ルナティックが口を開く。
「続き話すね。とりあえず、殲滅戦になるから実力のない者が居ても無駄死の危険を高めるだけになるんだよ。そういうわけだから、レクスルくん、フーヤくん、そしてカザヤくん、力を貸して」
「はい、喜んで!」
「嫌」
即答しつつも、正反対の答えをするレクスルとフーヤ。
レクスルがルーン=ルナティックを真っ直ぐに見つめ、フーヤは目をこれでもかと逸らしながら答えている部分まで対照的である。
カザヤもルーン=ルナティックも苦笑いし、ロレは冷めた目で様子を見ていた。
「ここまで予想通りの返答をされると逆に清々しいまであるな。とりあえず、拒否権はないから。カザヤくんは見た感じ少し実力に不安を感じるけど、まあ連れていっても問題ないだろうし・・・」
「問題ないということは、つまり『神の加護』のおかげで老衰以外で死なないから?」
フーヤの言葉にルーン=ルナティックは大きくうなずく。
「まあ、ぼやかさずに言えばそう。死なないから何があっても大丈夫だからね」
「ええと、つまりどういうこと?」
カザヤが首をかしげる。
「つまり、実力が全くなくても、どんな重症を負っても死なないから連れて行く分には何も問題ないってこと」
「なるほど・・・いやいや、ちょっとそれってよくないでしょ。重症って、死なないとしても駄目じゃん」
フーヤの説明に納得したようにうなずきかけたが、意味を理解して動きが止まる。
「だからまあ、死ぬ気で頑張れば回避出来るのでは?頑張れ」
「おい、フーヤ。面倒になって色々ぶん投げただろ。レクスルはどう思う?」
「・・・自分の身を守れるのは自分だけだからな結局のところ」
レクスルがゆっくりとそう答える。
「レクスルまでそう言うなら仕方がないことなんだろうな・・・」
「・・・・・・僕の信用、そんなに無い?」
フーヤの視線に物怖じせず、真っ直ぐ見つめ返しながらカザヤは告げる。
「これまでのからかいの数々を思い出してくれ、そして反省してくれ」
「・・・・・・いや、その理論でいくと僕の解説を鵜呑みにしてきてたのはおかしいことになる」
「フーヤ、そういうのを屁理屈とか言ったりするんだと思うぞ」
「馬鹿でも難しい言葉知ってるんだな、屁理屈とか」
「だから、そういう風に馬鹿にするのを辞めてくれという話なんだけど伝わってない?」
「安心してくれ、伝わってる。その上でわざとやってる」
「それが一番たちが悪いんだよ」
カザヤとフーヤの言葉の応酬を横目にロレはルーン=ルナティックに尋ねる。
「それで、ルーン。私は何をすればいいのですか?」
ルーン=ルナティックはまんじゅうを食べていた手を止める。
「ロレは街の防衛を頼むよ」
「貴女に限って取り逃すとは考え辛いですけれど」
「私も全知全能ではないからね。念には念を入れておかないと。あの時こうしておけば良かったとか一番避けたい事態だからね」
ルーン=ルナティックの曖昧な笑みに、ロレは表情を変えることなく答える。
「分かりました」
「というわけで、話もまとまったし行こうか、フーヤくん、レクスルくん、カザヤくん」
ルーン=ルナティックが立ち上がり、その場にあったお茶の用具一式を手早くまとめる。
なお、緑茶は急須に入っている分まで全て飲み切り、まんじゅうも腹の中へとすっかり収まっていた。
「かしこまりました。ルーン=ルナティック様」
レクスルがそう答え、フーヤは盛大にため息をつき、カザヤが深呼吸する。
「ルーンが戦場に私を連れ出す気がないようで安心しました」
ロレがそう言いながら水色のスカーフを首に巻きつける。
姿があっという間にゼロイへと変わる。
「まあ、上手くやれるでしょ。たぶん」
ルーン=ルナティックが扉に手をかける。
「じゃあ、行こうか」




