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49.情報交換④


「ええと、すまん。もう一度頼む」


 カザヤがそう言って頭を軽く下げる。

 フーヤは小さくため息をつきつつも、米神を押さえる。


「どこから?」


「その、魔素の辺りから」


「最初からか」


「まあ、魔素については概念的で理解するのが難しいと思うぞ?魔法を使う者の中でも理解出来ずに使っている者たちも居るくらいだし」


 レクスルがかばうような発言をすると、フーヤは苦虫を噛み潰したような表情をする。


「日本人はこの手の発想力が豊かだと思ってたけど、そうでもなかった。まあ、カザヤが極端に地頭が悪いだけかもしれないけど」


「いい加減けなすのを辞めてくれと言いたいところだが、理解出来ないのは事実だし・・・うむむ」


 カザヤは唸りつつ頭を抱える。

 フーヤはその様子を見て、小さくため息をつくと言った。


「凄く単純に言うと、もうすぐ魔王が復活するので勇者であるレクスルが修行のために旅に出てますってこと」


「な、なるほど?いや、そこは分かるんだけど、そのなんで勇者でないと駄目なのかとかそもそも魔王とか何なのかとかが分からなくて頭抱えてるんだけど」


「魔王の説明をするために前提条件として魔素を理解してもらわないとならないんだけど」


「・・・・・・うん、無理だ。とりあえず、今日は無理だ」


「諦めるのが早い・・・」


 カザヤもフーヤもお手上げと言わんばかりにうなだれる。

 既に日が徐々に翳ってきていた。

 ドラゴンを倒した時は日が丁度真上にくる時間帯だったことを考えると大分時間が経っている。

 そんな長丁場のせいもあり、下手をするとフーヤに至ってはドラゴンと戦った後よりも疲労を滲ませている。


「お疲れ様、お茶飲むか?」


「飲む」


「飲みたい」


 レクスルは二人が頭を捻っている横で沸かしていたお茶を用意する。

 なお、やかんと茶葉はフーヤの『異空間収納』から出したものである。

 フーヤとカザヤはお茶を飲むと一息つく。

 レクスルはそんな二人の様子を見ながら、目の前の焚き火の火加減を調整する。

 勿論、スープはあっという間に食べ終わったので鍋は既に片付けてある。

 今は、やかんを温めることに使われており、レクスルは魔法で火の大きさを調整しつつも木をくべていく。

 手慣れた様子ではないものの、慎重に丁寧に作業している。

 そんなレクスルの様子を見ながら、フーヤはお茶をすする。


「ところでさ、俺ってその古竜とやらの加護ないから『体力増強』と『身体強化』ないんだけど、ちょっとだけズルくない?」


「そう言われても・・・」


 カザヤの言葉にフーヤはそう言いつつも、考え込む。

 古竜の加護は当然のことながら古竜に認められないと与えられない。

 ユウレイルの仲介によってフーヤとレクスルは古竜に会うことが出来たが、普通であれば会うことが叶わないのが普通である存在である。


「・・・そもそも」


 そもそも、何故気に入られたのか。

 明らかにフーヤとレクスルは古竜に気に入られていた。

 今更な話ではあるが、フーヤとしては釈然としないままここまで来ていたのである。

 深く考えることなく頭の片隅に追いやられていたその疑問をフーヤは改めて考え始める。

 勿論、仲介してくれたユウレイルという存在が大きいことは間違いない。

 ユウレイル自身が『古竜の友』などと称されているのだから、ユウレイルと古竜の関係性が驚くほど良好なのは公に認められるほどなのだろう。

 だが、いくらユウレイルの仲介があったと言ってもフーヤとレクスルが古竜に気に入られることは別の話だ。

 何故なのか。


「フーヤ、真剣に考えてもたぶん本人に聞く以外に答えが分かる方法はないんじゃないか?」


 フーヤの思考に割り込むようにレクスルが声をかける。


「・・・・・・そのうち、会いに行くか」


 フーヤは納得したようにうなずくとお茶を飲み干す。


「なんか、二人だけで分かりあったような雰囲気なんだけど、どういうこと?」


 カザヤが首をかしげる。


「フーヤは一度気になったことをとことん追求するからな」


「いや、今の発言だけだと、全くもって意味が分からなかったからさ。というか、気になったことをとことん追求するってどういうこと?」


「フーヤは気になったことがあると自分の世界に入り込んで考え込むからな。下手すると数日くらい。今回も古竜について気になることがあったんだろう」


「今の脈絡のない言葉で分かるのが凄いって話だよ」


「・・・・・・俺でもフーヤについては分からないことが多いぞ」


「・・・いや、そういうことじゃない。なんか違う」


 カザヤは顔を強張らせつつ、お茶を飲む。

 フーヤはそんな二人の会話を気にすることなく、お茶のおかわりを注ぎながら言った。


「とりあえず、目撃者も居ることだし、明日の朝が面倒だろうから備えておこう」


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