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46.情報交換①


「とりあえず、情報を整理しようか」


 フーヤは鍋をかき混ぜながら言う。


「これ、何の肉?」


 カザヤが鍋を覗き込む。

 鍋の中では、野菜と肉がグツグツ煮られており、香辛料の香りただよう美味しそうなスープが出来上がっていた。

 なお、食事の用意はフーヤがほとんど行った。

 レクスルは料理にまだ慣れてないため、火起こしやその辺りに倒れていた倒木で簡易的な椅子をつくるなどを買って出ていた。

 カザヤは一通りの料理の心得自体はあるようだが、手つきが危なっかしく、見ていれなかったのでフーヤが包丁を取り上げ、結局フーヤだけで下ごしらえを全て終わらせた。

 カザヤはレクスルの方で作業を眺めていたが、手伝う様子もなく、会話する様子もなかった。


「ドラゴン」


「え、さっき倒した?」


「フーヤ、そもそもドラゴンって食べられるのか?」


 カザヤとレクスルの二人に見つめられ、フーヤは視線を逸らしつつ答える。


「毒とかはないし、調理方も本で読んだだけだけど知ってたから。なお、かなり美味しいらしい」


「そうなのか、なら楽しみだな」


「逆に、ドラゴンを食べた奴が過去に居るのか?」


 カザヤは笑顔になり、レクスルは顔をしかめるという正反対の反応を見せるカザヤとレクスル。

 フーヤはそんな二人の様子を横目で見つつ、味見のために小皿にスープを移す。

 フーヤはスープをすすると、一息つく。


「完成」


 フーヤは無造作に器にスープを盛り付けると、レクスルとカザヤに渡す。

 自分の分も器に盛ると、レクスルの用意した倒木を利用した簡易的な椅子にそれぞれ腰かける。


「いただきます!」


 カザヤがそう言うと、スープの中の肉を口に放り込む。


「牛肉みたいで美味しいな!」


「・・・フーヤ、イタダキマスって何だ?」


 ドラゴンの肉に感激しているらしいカザヤを見ながら、レクスルが困惑したようにつぶやく。


「前世の食事前の挨拶。食材や料理が作られる過程で関わったあらゆる人への感謝を伝えるみたいな意味、だったと思う」


「そんなこと考えながら言ってるわけでもないけどな。というか、この世界にはいただきますないの?」


「ない。むしろ、挨拶自体に定型文がないから、皆自分の好きなように挨拶してる」


 そう言いながら、フーヤはスープをすする。

 レクスルもカザヤが美味しいと言ったことを皮切りに少しずつ食べ出していた。


「そうなのか、なんというかそう言われてもうまくイメージ出来ないな」


「・・・この世界の常識がないな」


「女神様にチート貰ってそのまま身一つで来たからな。フーヤは違うのか?」


 カザヤが首をかしげる。


「赤ん坊からだった」


「前世の記憶がある状態で赤ん坊からって精神的にきつくないか?それ」


「・・・言語を覚えるのが一番大変だった。形式が違い過ぎる」


「え、フーヤは『自動翻訳』ないのか?」


「待て、知らない。カザヤ、僕も教えるから貰った能力を全部教えろ、いいな」


 フーヤは睨みつけるようにカザヤを見る。


「ええと・・・・・・」


 フーヤのその様子に冷や汗をかきつつ、カザヤは助けを求めるようにレクスルを見る。

 レクスルは苦笑いしつつも言う。


「大人しく教えておいた方が身のためだぞ」


「ええと、うん」


 ◇ ◇ ◇


「これで全部か?」


「うん、これで全部」


 地面に枝で削るようにしてこの世界の文字で書かれた内容を見ながらフーヤはつぶやく。


「僕よりも1種類多い・・・」


 フーヤの能力は『魔力無限』、『魔力制御補助』、『万能感知』、『異空間収納』、『異物排除』、『神の加護』の6種類に古竜から授けられた『体力増強』と『身体強化』である。

 一方でカザヤの能力は『魔力無限』、『魔力制御補助』、『万能感知』、『異空間収納』、『自動翻訳』、『毒物除去』、『神の加護』の7種類だった。


「なんか、選ばせてくれたから、助言聞きながら選んだ。英語とか覚えるの苦手だったし、言語については『自動翻訳』がないと終わってたと思う。まあ、転生して日が浅いから色々と能力を使いこなせてないけど」


「・・・やっぱり、今度ヲタ女神に会ったら一発殴る」


「フーヤ、短絡的過ぎるし、流石に看過出来ないぞ」


 目から光が抜け落ちているフーヤを真剣な顔で諭すレクスル。


「な、なんでそんなに怒ってるんだ?」


「選べなかった」


「なるほど」


 カザヤはこころなしか縮こまっているように見える。

 フーヤの怒りにカザヤはすっかり萎縮しているようだが、レクスルはフーヤだからなと何処か諦めた調子で小さくつぶやく。


「・・・『毒物除去』は『異物排除』の下位互換であるとして、『自動翻訳』がどんな効果か試させてもらおうか」


 フーヤが食べる手を止めて器を横に置き、ニヤリと笑いながら立ち上がる。


「なんか、その笑顔気持ち悪い」


「喧嘩売ってる?」


「そんなつもり、ないけど」


「そう」


 フーヤとカザヤのやり取りを見ながら、すっかり傍観の姿勢に入ったレクスルはつぶやく。


「・・・なんでここまで馬が合わないんだ?」


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