幕間∶ルルイエッティの苦労①
私、ルルイエッティ。
新米女神よ。
とっても厳しい先輩のしごきに耐えつつ、頑張ってます。
全く、先輩方といったら、大したミスでもないのに騒ぎ立て過ぎです。
「大したミスじゃないって、いや、割と大きめなミスだし、しかもミスの回数が異常なまでに多いから怒られてるんだよ。神であろうとミスはあるけれど、これほどまでのミスは擁護出来ないからね?せめて少しは反省して」
「あ、先輩。お疲れ様です」
この神は、私の指導員にあたるルーンという名の神。
人間から神になった分際で偉そうにしていると思いますけど、私のような新米にはどうすることも出来ないのです。
「ねえ、心の声だだ漏れなんだけど。愚痴たれるのはいいんだけど、せめて聞こえないようにしてくれる?」
「ええと、先輩が勝手に聞いてしまっているだけではないですか?」
「いや、わざと聞かせてるでしょ。確信犯」
先輩はわざとらしいため息をつくと、椅子を生み出して座る。
神々が住む天界は全てがあり、全てがない場所。
何も無い白の空間であると同時にあらゆる物がある空間であり、全ての神が違う場所に居るのと同時に全ての神が同じ場所に居る。
普通の人間には理解することの出来ないそんな場所なのです。
「ルルイエッティ、君さ、いい加減人間を下に見るのを辞めなよ。確かに、神と人間の間にある力の差は歴然としているけど、人間には人間にしか無いものがある。私が失いつつあるものがね」
「先輩、人間なんてろくなものでは無いですし、やはり我々が管理した方がいいと思いますわ」
「君、話聞いてる?聞いてないね、元人間の神の言うことなんて気にしない、と」
「ええ、何故貴女のような人間が神になったのでしょう?」
「私が聞きたいくらいだよ」
「そりゃ、ルーンは優秀だからな。そこらに居る神の数十倍の働きをする」
そう言って話に割り込んできたのは、世界を司る神とは別の特定分野を司る神の一柱。
音楽を司る神、名前も姿も性格さえも世界ごとに異なりますが、今は確かとある世界でムーシカと呼ばれてる時の姿をしているようです。
世界を管理する大変さを知らない神がしゃしゃり出て来ましたが、まあ問題は無いでしょう。
「ルーン、こんな新神を任せられて大変だな」
「そんな風に言われるとはね。とりあえず、その凝り固まった思考をどうにかしないとね」
先輩がにやりと笑う。
私は一体全体どうなってしまうのでしょう。




