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転生者は能力を隠したままで隠居生活を目指したい!  作者: 虹夢 なうみ
魔法学校編
33/92

32.買い出し②


「これで、買い出しは終わりか?」


「いや、一度に買い込み過ぎると怪しまれそうだったから買う量を抑えてあるし、あと二、三回行く予定」


「え、俺自重せずに買うべきと思った量買ったんだけど・・・・・・」


「まあ、日持ちする食料は食べる頻度低いと思うし、今回買った量で充分だろうから。次来る時には買わないだけだよ」


「ところでフーヤ、何処に向かってるんだ?」


 フーヤとレクスルは広場で合流した後、一緒に歩いていた。

 フーヤが合流するなりすぐに歩き出したので、レクスルも一緒に歩いていたのだが人気のなく、治安が悪いことでも有名な裏路地に入っていったので流石に疑問を感じたのだろう。


「ルーン=ルナティックに教えてもらった店に行く」


「・・・・・・フーヤって、案外ルーン=ルナティックと仲良いよな」


「仲が良い訳じゃない」


 そうは言うものの、確かに喋る回数はレクスルより多いのは間違いない。

 それに、本を届けてもらうついでに何かしらの談議が始まってしまうことも多い。

 この前は闇堕ちしたキャラは死ぬべきか否かみたいな話題で収集がつかなくなった。

 お互いに主張を譲らないので議論するだけ無駄ではあるのだが白熱してしまうのでどうしようもない。


「ここだ」


「薬草屋?何を買うつもりだ?」


 薬草屋。

 人気のない寂れた場所にあることから分かるようにあまり繁盛してるとは言い難い場所である。

 それも仕方ない、この世界においての薬草の使い道は傷薬が主であり、傷薬なんて教会に行けば無料でくれるものである。

 まあ、御布施という形でお金を払うこともあるので完全に無料という訳ではないのかもしれないが。

 そのような形なので、わざわざ薬草を買い求めるのは変わり者くらいである。

 具体的にはわざわざ創世教を脱教してしまったような。

 最も、治癒魔法を使えるので今回のお目当ては正確には傷薬という訳でもない。


「必要なものがある」


 フーヤはそれだけ言うと、店へ入る。

 木製の扉は建て付けが悪いようでギシギシきしみながら開いた。


「こんなところに来るなんて、何の用だ」


 やる気がなさそうな白髪の店主が投げやりに言う中で、フーヤは懐から紙を取り出す。


「ここに記されているものを用意しろ。金の用意ならある」


 袋を取り出すと紙と共に店主に投げ渡す。


「銀貨十枚だ。さっさと用意しろ」


 店主は袋の中の銀貨をひとつひとつ確認すると、紙に目を通す。


「偽物の金という訳ではなさそうだな。それにしても、量は任意ってどういうつもりだ?」


 睨みつける店主を物ともせず、フーヤは堂々と口を開く。


「ぼったくりたければすればいい、適正価格で売ろうというならそれでいい。ただ、僕はこの店を信用してここであれば欲しい物が手に入ると見込んでここに居る。それだけは言っておく」


「最後に質問だ。材料を見るに傷薬を作ろうって訳ではなさそうだが・・・・・・何に使う気だ?」


「誓って、犯罪に使う気はない。とだけ、言っておく」


 フーヤと店主は睨み合う。

 そして、一瞬にも永遠にも思える沈黙の後、店主は静かに息を吐き出した。


「分かった。用意する」


 店主は袋を用意すると、薬草をつめ始める。

 フーヤはほっと一息つくと、あっけにとられたレクスルを見る。


「どうかした?」


「いや、ここまで高圧的なフーヤは初めて見たから少し驚いただけだ」


 いつもより、少し上擦った声でレクスルはつぶやく。


「高圧的なつもりなんて無かった。単に普通の対応をしただけだ」


「・・・・・・・・・普通か?今の」


「確かに普通とは違うだろうが、ワシとしては『黄金のフリチラリア』を思い出して懐かしかったがな」


 店主の言葉に首をかしげるフーヤとレクスル。


「あんまり有名じゃないが、英雄パーティーに参加していた御方でな。魔法の腕もさることながら、薬草の知識も豊富で流石はコトハナ王国出身だと関心したもんだ。黄金の髪が綺麗な美しい御方だったよ」


「ルーン=ルナティック様以外の英雄パーティーの通り名はよく知らないから、分からなかったのも仕方ないか・・・」


「ルーン=ルナティックの通り名知らないんだけど」


 フーヤのその言葉にレクスルが信じられないというようにフーヤを見る。


「フーヤ、知っておいた方がいいんじゃないか?『星の導き手』というのが通り名だぞ」


「・・・・・・そんな通り名なんだ。興味なかった」


「お前な・・・」


「用意出来たぞ。調合のやり方の冊子もつけてある」


 店主が差し出した袋を受け取るとフーヤは微笑む。


「ありがとう、助かる」


「何に使うかまでは聞かないが、薬草は街の外に出れば入手出来るものもある。逆に入手しづらいものもある。入手しづらいものは多めに入れておいた」


「助かる」


 フーヤはレクスルの袖をひっぱると、共に店の外に出た。


「さて、帰ろう」


 その瞬間、何処からか小さな悲鳴が響いた。


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