表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生者は能力を隠したままで隠居生活を目指したい!  作者: 虹夢 なうみ
魔法学校編
30/92

29.卒業認定④


「中々消えないね」


「そうじゃな」


「娘、そこの菓子とってくれ」


 魔法が中々消えないせいで、試験官を含めた皆がお茶を飲んでくつろいでいた。

 なお、飲んでいるのはこの国で定番のお茶なので用意されているのは普通の机と椅子である。


「フーヤ、これって試験なんだよな?」


 あまりにくつろいでいることに疑問を感じたのかレクスルがそうつぶやく。


「・・・まだ魔法消えないからやることないからこうなってるだけだよ、たぶん」


 フーヤは二つの皿に目を向ける。

 凄まじいという言葉が相応しい二つの魔法は衰えることなく、その存在感を放っている。


「それにしても、娘が勇者を見つけたとかほざいてきた時は気でも狂ったかと思ったが・・・そういう訳ではないようだな」


「ギルドマスター、私が気が狂ったら冗談でも笑えないような状況だと思うよ?そもそも、勇者だのなんだのは神託にあった単語だし」


「ふん、神託など信じてないわ」


「神託?」


 ギルドマスターの言葉を聞いてレクスルが訝しげな声を上げる。


「そういえば、言ってなかったか。創世教の神子の神託で勇者と魔王についての予言があったんだよ。まだ、情報は伏せられてるけどね。情報は明かすタイミングを図らないと」


 ルーン=ルナティックのその言葉を聞いてレクスルはフーヤを見る。


「フーヤ、神託のこと知ってたか?」


「・・・知らない」


「まあ、いつものことじゃな。重要なこと程言い忘れるのじゃ。それが無ければよいのじゃがな」


 学校長はお茶をすすりつつ言う。


「そんなに忘れっぽいかな?フーヤくんどう思う?」


「忘れっぽい」


「レクスルくんはどう思う?」


「ええと、ルーン=ルナティック様は素晴らしい方なので何も問題ないかと」


 ルーン=ルナティックは暫く米神をとんとんと指で叩いた後、お茶を一口。


「まあ、いいか。あ、そろそろ決着つきそう」


 皿の方に目を向けるとフーヤの竜巻の勢いが弱まってきていた。

 レクスルの炎も徐々に落ち着いてきているようだ。


「一応、時間差があるから有利不利はあるだろう。まあ、その少年は中々に腕が立つようではあるな。手加減するくらいの余裕はあったようだし」


「ちょーっと、フーヤくん。手加減しないでって、言ったよね?」


 ギルドマスターの言葉を聞いて、ルーン=ルナティックはじとりとした目でフーヤを見る。


「筆記試験は本気でやったよ?」


「筆記試験だけなんかい!?」


 その時、フーヤの魔法が消える。

 レクスルの炎は勢いこそ落ち着いてきてはいるが、まだ消えていない。


「勝負着いたようじゃな。さて、ここから何処まで持つか見物じゃの」


 学校長の言葉を聞いてルーン=ルナティックは息を長く吐き出す。


「とりあえず、お茶でも飲もう。フーヤくんは後で話がある」


「・・・嫌だ」


「フーヤ、嫌ならルーン=ルナティック様と話す機会代わってくれ」


「いいよ」


「君たちね、そういう問題じゃないからね」


 フーヤとレクスルのやり取りを聞いて苦笑いするルーン=ルナティックの様子にはもう怒りは感じられない。


「こんな調子でいいのじゃか」


「ふん、爺さんが気にすることではないわ」


 学校長とギルドマスターはそう言いつつも、お茶を飲む。

 その間にも、レクスルの炎は徐々に勢いを失っていき、遂に消えた。


「まあ、これなら卒業認定あげてもいいじゃろ」


 学校長が二人を見ながらつぶやく。


「割と適当だな」


「おい、フーヤ」


 フーヤの言葉をレクスルが咎めるが学校長は笑顔のまま口を開く。


「口が上手い奴よりも、そういう奴の方が信頼出来るのじゃあから、気にする必要はないのじゃよ。それより、ギルドの試験はまだ終わってないからそっちに集中するべきじゃの」


 フーヤとレクスルは咄嗟にその場から飛び上がるようにして去る。

 ドゴッ!!!

 フーヤとレクスルが丁度いた場所の地面が砕ける。


「爺さんが余計なことを言うから避けられたではないか」


 攻撃を仕掛けてきたのはギルドマスターである。

 武器は持っていた杖であるが、改めて見るとかなり太く節立っているため、当たると痛そうである。

 それ以前に地面を砕いているのだから、威力は想像するまでもない。


「言わずとも今のは避けられていたように思うのじゃから、問題ないじゃろ」


「そうそう、これは身体能力を見るためだから魔法は使わないでね。特にフーヤくん!」


「ええ・・・」


 この猛追を魔法無しで乗り切れというのかとフーヤはげんなりする。

 今も現在進行形で攻撃を受けているが、これを魔法無しで防ぎ続けるのは中々に厳しいものがある。

 レクスルと二人のため、その分攻撃が分散されているのにこれである。

 レクスルの方は元々の体力の違いかまだ余裕はありそうである。

 杖を紙一重で避けつつも、反撃する隙をうかがっている。

 一方で、フーヤは避ける動きが大きくなってしまうためレクスルのような余裕はない。


「さて、何処まで持つかな?」


 地面に転がり避けるフーヤの耳にルーン=ルナティックの楽しげな声が響いた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ