表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生者は能力を隠したままで隠居生活を目指したい!  作者: 虹夢 なうみ
魔法学校編
27/92

26.卒業認定①


「何故、こうなった」


 机に座り瀕死のような状態になっているレクスル。

 フーヤはレクスルの手からこぼれ落ちた模擬試験と書かれた紙を見る。


「11点か」


「読み上げるな」


 レクスルはさっと模擬試験の解答用紙を隠す。


「そういうフーヤは?」


「人生で始めて本気出してみた」


「100点、だと!?」


 何故このような点数の見せ合いが起こっているのか。

 簡単に言ってしまえば、卒業認定試験のためである。

 ルーン=ルナティックが勝手に受ける事にしてしまった卒業認定試験は本来は卒業生が卒業を認めて貰うための試験である。

 要するに、まだ一年生であるフーヤとレクスルに前倒しで試験を受けさせようという魂胆である。

 卒業認定がひとつの大人の証明として使えるということもあり、卒業認定試験を受けさせようという思考になるのも分からないでもない。

 ただ、大人としての証明といっても王侯貴族の世界ではといった感じなのでこれからどれ程役に立つ機会があるかは疑問である。

 更に言えば、フーヤはともかくレクスルは筆記試験が壊滅的である。

 最も、二人は一年生なので四年生で受けるはずの卒業認定試験で点数が取れるはずがない。

 むしろ、点数が取れているフーヤの方がおかしい。


「なるほど、実力的にはそのくらいか」


「ヲタ女神」


 いつの間にか、ルーン=ルナティックが二人の後ろに居た。

 今やっていた模試試験は、二人がフーヤの家族の元から魔法学校の寮に戻ってきた時にやっておくようにという手紙と共に其々の部屋の机の上にあった物である。

 何となく、誰の差し金か分かっていたので現れたことに驚きはない。


「レクスルくん、特訓しようか」


「え?」


 ルーン=ルナティックがレクスルを引っ張っていく。

 そして、二人が集まっていたフーヤの部屋から出ていった。


「ルーンのあの顔は相当に厳しく教えるつもりだろうし、戻ってきたらどう励ますべきか・・・」


「ユウレイルさん、そういえば別の世界の危機は?」


 さも当然といった風に、フーヤの後ろに立つユウレイルにフーヤは話しかける。


「救ってきた。そこそこ時間かかったけど」


「そんなあっさり・・・」


 ユウレイルは紙の束を用意しつつ、曖昧に微笑む。


「まあ、少し後味悪い結果になったとこもあるけれど。とりあえず、一応これだけ問題用意したから追々解いて貰うとして、フーヤ」


 何時になく真剣な面持ちで名前を呼ばれ、フーヤは軽く身構える。

 そういえば、二人だけで話すのは相当に珍しいな、と思いつつもフーヤは次の言葉を待つ。


「本気、というものを一度確認した方がいい」


「本気?」


 ユウレイルはフーヤの腕を掴む。

 次の瞬間、フーヤの視界がぐにゃりと歪んだ。


 ◇ ◇ ◇


「此処、何処?」


 気がついたら知らない場所に居た。

 何もない、だだっ広い砂漠。

 日の光が照りつけてくるが、思ったよりは暑くない。


「位相的に近い場所にある別の世界に来た」


「え?」


 位相という聞き馴染みの無い言葉に眉をひそめるフーヤ。


「ちなみに、人間どころか生き物すら死に絶えた世界だ」


「何故?」


「生き物が死に絶えたのは、大規模な戦争のせいだ」


「・・・そっちじゃなくて、どうして此処に来た?」


「嗚呼、誰も居ないこの場所なら気兼ねなく試せるからな。全力で魔法を使ってみろ」


「・・・その必要ある?」


 そっぽ向きつつ言うフーヤにユウレイルは米神を押さえつつ、つぶやく。


「やるべきだし、ここまでお膳立てしておいてやらないという選択肢はないからな」


 それだけ告げて、地面に座り込むとすっかり傍観姿勢についたユウレイル。

 フーヤは仕方ないと息をゆっくり吐く。

 そして、目をつむる。

 感覚を研ぎ澄ませる。

 想像するのは、巨大な風の渦。

 これまでの経験上、フーヤは風のイメージが一番楽に出来ると感じていた。

 別にフーヤの転生した世界に、その人がこの属性の魔法しか使えないという縛りはない。

 治癒魔法だけ、例外的に適性はあるようだがそれ以外は皆一様に使える。

 ただし、レクスルも火は使いやすいなどと言っていた事があるので、個人ごとに使いやすい魔法というものはあるようだ。

 魔力をまとめ上げる。

 そして、行使した。


 ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!


 凄まじい音と共に巨大な竜巻が発生する。

 砂を巻き上げるそれは、徐々に膨張を続ける。


「さて、どのくらいの時間持つかな」


 フーヤの隣に来たユウレイルはストップウォッチを持ちながら笑う。


「相当に魔力籠めましたけど・・・」


 そう告げるフーヤは、思わず崩れるように座り込む。

 ここまで大量の魔力を消費するのは始めてであり、そのため一気に反動が来たのだ。

 魔力は『魔力無限』で制限無く使えても、一度に制御出来るキャパシティというものは存在する。

 なお『魔力制御補助』は本当に補助するだけなので、本人のキャパシティによって扱える魔力量は変わる。

 ギリギリ限界まで使ったとしたら、疲れ果ててしまうのも無理はない。


「さて、消えるまで待ちますか」


「待て、何でお茶の用意をしてる?」


 何故かフーヤの生み出した竜巻からそこそこ離れた場所に畳と座布団を用意しだすユウレイル。

 日の光を遮るための番傘もあり、お茶を点てる道具も用意している。


「消えるの時間かかると思うし、とりあえずお茶用意するね」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ