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転生者は能力を隠したままで隠居生活を目指したい!  作者: 虹夢 なうみ
魔法学校編
25/92

24.挨拶②

すみません、少し投稿が遅れました。


「いい加減にしなさい」


 ゾーンとアルムの口論を止めたのは、レースの飾りが控えめについた桃色のドレスの少女。


「フーヤ兄さん、久しぶり」


 少女はそのままフーヤを抱き締める。


「シェーン。久しぶり」


 シェーン=ロイホード。

 次女でありフーヤのふたつ年下で、フーヤと同じように二年後には王立魔術学校に入学予定である。

 家から殆ど離れないため殆ど機会が無いはずなのだが、その可憐さ故か男に言い寄られる事が多い。

 他の兄弟も可愛がる事が多かったのだが、フーヤだけは塩対応だったところ逆に懐かれてしまった。

 最も、今ではあしらい方も覚えてしまったが。


「そういえば、クリシス姉さんは何処?」


 クリシス=ロイホード。

 長女であると同時に、その類稀なる判断力でロイホード家を支えている。

 ロイホード公の秘書のような位置に収まっているが、その理由は虫のように纏わり付いてくる有象無象を避けるためらしい。

 父親の庇護下に居るように見えれば、簡単には手を出されないであろうという目論見で、今のところは上手くいっているようだ。

 ぶっちゃけると単に家族以外の男性に対して嫌悪感が強いだけらしい。

 普段は主に領地経営の業務管理を行っている。


「クリシスは中に居るよ。歓迎の準備をしているはずだから」


 ゾーンが答える。


「そうです。準備が出来たので皆さんをお呼びするために来たのでした」


 シェーンはそう言うと、フーヤの手を握る。


「さあ、行きましょう」


 ◇ ◇ ◇


「よく来たね、レクスル君。歓迎するよ。フーヤもお帰り」


「ただいま、父さん」


 家の広間はリボンで飾り付けられており、中央の円卓には豪華な料理が所狭しと並べられている。


「レクスル、改めて紹介する」


 フーヤはなんだかんだ一列に並んだ家族を見て、レクスルに向き合って言う。


「右から、ゾーン兄さん、アルム兄さん、クリシス姉さん、シェーン、そして父さんと母さん」


「ロイホード公、夫人、御家族の皆様、はじめまして、レクスルです」


 レクスルが礼の態度をとるとロイホード公はそれを手で制止し、座るように促す。


「あら、アルム。その剣どうしたの?」


 クリシスのその言葉に、気不味そうに目を逸らすアルム。


「分かりました。すみません、直ぐに返すようにしますので」


 一瞬にして状況を把握したらしいクリシスがレクスルに謝罪する。


「帰る時までに返してくれれば、それで構いませんよ」


「懐が深いな、流石にあのフーヤの友人になっただけある」


 ロイホード公は笑いながらも言う。


「まあ、そろそろ座りましょう。話もゆっくり聞きたいですし」


 ロイホード夫人の言葉の通り、皆が各々好きなように円卓に座る。

 レクスルも少しまごつきつつも、フーヤの隣の席に座った。


「いや、然し驚いたよ。夢物語のような内容の予言が成されただけで無く、フーヤの友人が勇者でフーヤがそれに付き合って旅に出る事になるなんて」


 ガタンッと音を立てて立ち上がるゾーン。


「私は反対です!!!フーヤを旅に出すなんて!」


「兄様、フーヤも子供では無いのですし、語気を荒げるのはお辞めください」


 クリシスが諭すが、ゾーンは意思を変えるつもりが無いようで座らない。


「もしかしなくても、フーヤに辞書みたいな手紙出して来てたのは・・・」


 小声でつぶやくレクスルにフーヤはうなずく。


「ゾーン兄さんだよ。全く、仕事で各国を飛び回っていて忙しいはずなのに」


 それ以前に、各国を飛び回っているはずなのだから此処に居るはずが無いのだが、大方フーヤに関わる事だから仕事を前倒しして終わらせて帰って来たのだろう。

 そのくらいは容易に想像つく。

 ちなみに、アルムに関しては半年程の休暇期間中であるから居ても何らおかしくはない。

 クリシスはこの家が職場であるようなものだし、学校に通う年齢に達して居ないシェーンが居るのも当然だろう。

 ロイホード公、夫人が領地の領主邸でもある此処に居るのは当然であるし、となるとやはり官僚のしかも外交官として働いているゾーンが居るのはおかしい。


「フーヤ、お願いだから行かないでくれ、頼む」


「兄貴、見苦しいから辞めてくれ」


 縋り付くその様子に我関せずという態度のアルムすら苦言を呈する。


「ゾーン兄さん、寂しいのは確かですけれど、信じて送り出そうと約束しましたよね?」


「シェーン、すまないが気が変わった。やはり、フーヤに旅は荷が重い」


 シェーンの鋭い視線を受けつつも、ゾーンは食い下がる。


「この中で何があっても何とかしそうなのはフーヤですし、心配しなくてもいい気がしますわ。そもそも、兄様はフーヤに側に居て欲しいだけでしょう?」


 クリシスの呆れたような視線を受けて、何を思ったのかゾーンは声を張り上げた。


「そうだ!フーヤ、剣での決闘で決めよう!」


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