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転生者は能力を隠したままで隠居生活を目指したい!  作者: 虹夢 なうみ
魔法学校編
19/92

18.特訓②


「・・・どういう事?」


「私もどんな感じなのか初めて確認しに来たからなんとも言えないけど、少なくとも一週間で仕上がる実力じゃないと思う」


 フーヤとルーン=ルナティックはそう言葉を交わしつつ、目の前の状況を観察する。

 レクスルとユウレイルの特訓が始まってから一週間が経ち、一通り魔物図鑑を読み込んだフーヤと何かと忙しくて様子を見に来れなかったルーン=ルナティックは改めて二人の特訓の様子を見に来たのだ。

 そして、行われている特訓の様子というのはレクスルがただひたすらに剣に魔法で生み出した炎を纏い、そして消すというもの。


「後、五十回」


「いや、バットの素振りか何かか」


 ユウレイルのコーチのような言葉に突っ込みのような独り言をつぶやくルーン=ルナティック。

 フーヤは一心不乱に剣に向かうレクスルを見つつもその上達振りに改めて驚く。

 そもそも、一週間前のレクスルは無詠唱で魔法を使えなかったはずなのだ。

 レクスルは石碑に触った時に『魔力制御補助』を得ているので、確かに無詠唱でも魔法を使うことは出来るだろう。

 しかし、フーヤが無詠唱を完全に使いこなせるようになるのに半年程の練習期間が必要だったのだ。

 それを考えると、驚くのも仕方ない事である。


「よし、休憩」


 五十回を無事に終えたレクスルは、ほぼ倒れるようにして地面に崩れ落ちる。


「来てたのか」


 ユウレイルはフーヤとルーン=ルナティックを見て、ため息をつく。


「何故、ため息をつく」


「せっかく、レクスルの成長具合で驚かせてやろうとしていたのに」


「いや、十分驚いてるから」


 フーヤはそのまま近況報告を始めた二人を横目に、倒れているレクスルに近づく。


「大丈夫か?」


「嗚呼、少し休めば回復するから問題無い。それに、師匠のお陰で強くなれている」


「師匠?」


 思わず怪訝な声を出してしまったフーヤだが、レクスルが言う師匠にあたる人物はユウレイル以外居ないという事に直ぐに思い当たり、ユウレイルの方を見る。


「最初はユウレイルさんと呼んでいたんだが、師匠と呼んだ方がしっくりきたからな」


「そうか・・・」


 レクスルは起き上がると、地面に座る。


「それにしても、フーヤは涼しい顔して無詠唱で魔法行使していたが、難しい上に習得が大変だったんだな。何度、死の川の淵を覗いたか・・・」


 死の川の淵とはこの世界においての所謂三途の川といったところである。


「・・・流石に死の川の淵を覗いた事は無い。何があったらそんな事に?」


 その言葉に憑き物が落ちたような、悟りを開いたような顔をするレクスル。


「初日に滝壺に連れていかれて、崖の上から滝に突き落とされて・・・」


「嗚呼、大体分かった。もういい」


 想像を絶する程の厳しい修行があった様で、思い出しただけで魂が抜けかけているレクスルの話をフーヤはさえぎる。

 第一、崖から突き落とすのはほとんど殺人事件か何かである気もする。


「ちなみに、フーヤの方は?」


「魔物図鑑読んでた」


「それだけ?」


「言っておくけど、大判で一万頁超えてるからな」


 一万頁超えているの一言に見るからに嫌そうに顔をしかめるレクスル。

 昔、読んだ時も狂気の頁数だという感想になった。

 大判なので頁をめくるのも一苦労の上、一つの頁に書いてある情報量も多く、興味本意で手を出したものの二度と読み返す事は無いと思っていたが、世の中分からないものである。

 フーヤは読み進めながらも頁をめくる作業だけで筋肉痛になる気がしたし、実際じんわり痛い気がする。


「俺としては、師匠の修行の方がマシかもしれない。一万頁って、どんな厚さなんだ・・・」


「普通の本を何十冊も重ねてもなかなか勝てない程度には分厚い」


 鈍器として相応しい分厚さかもしれないが、分厚すぎてかえって持ち上げれないので鈍器として使えないかもしれない。


「フーヤ、そういえば覚えろとか言われていたが・・・」


「覚えたよ」


 ルーン=ルナティックが毎日不定期的にやって来て抜き打ちテストと称して問題を解かされていた。

 覚え漏れが無いとは言い切れないが、とりあえず及第点といったところだろう。


「・・・そういえば、フーヤは頭良かったな」


「そういえばって、忘れていたのか?」


「普段の試験は手を抜いてるんだよな・・・天才ってのはやっぱり違うな」


「嫌味か?」


「いや、実力差に打ちのめされて少し卑屈になってたみたいだ」


「そうか」


「えええええ!!!!!ユウレイル、レクスルくんに例の地獄ツアーやったの!?何故か全ての過程を終えた者が皆、ユウレイルの事を師匠と呼ぶ狂信者になるという・・・」


 ルーン=ルナティックの声が響き渡り、思わずそちらを見るフーヤとレクスル。

 至近距離で叫ばれたユウレイルは耳を塞ぎつつも、口を開く。


「狂信者とは人聞きの悪い・・・それに、師匠は勝手に呼び出すだけだ。僕がそう呼ばせてるとかじゃない」


「何で呼び方がそろうんだろうね・・・まあいいや、今後の話をしようか、フーヤくん、レクスルくん」


 ルーン=ルナティックは二人を見つめるとニヤリと笑みを浮かべた。


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