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転生者は能力を隠したままで隠居生活を目指したい!  作者: 虹夢 なうみ
魔法学校編
13/92

12.襲撃③

昨日、忙しくて投稿出来なかったので今投稿させていただきます。


「なあ、フーヤ」


 廊下を走りつつも、レクスルは口を開く。


「何?」


「これ、俺居なくても変わらないよな?」


 今、二人がしているのは単純な事である。

 各々の教室の前に行き、フーヤが自分たちの教室で使ったのと同じ魔法によって教室の外から『破壊の翼』の構成員を倒す。

 そして、教室の扉を開かないように凍らせて細工をする。

 この扉の細工は下手に生徒が廊下に出て、結果として危険な目に遇うのを防ぐのが目的である。

 やり方が少々荒っぽいのは今更なので特に気にした様子もない。

 しかし、この行動の中でレクスルがやっている事といえば、集中して魔法を行使している間無防備なフーヤを守る事くらいである。

 しかし、今のところ廊下で誰かに出会う事もなく、現状何もして居ないのである。


「レクスル、居てくれないと困る。一人では打破出来ない場面が必ず出てくる」


 フーヤのこの言葉は限りなく本心である。

 実際、レクスルはかなり実力もあり、何よりフーヤの秘密を一端ながらも知っている。

 フーヤにとって、この状況で誰よりも頼れる人物なのだ。


「ならいいんだが・・・」


「レクスル、早速出番みたいだ」


 そう言うのとほぼ同時に五本の矢が降ってくる。

 反射的にレクスルは剣を振り、三本の矢を落とす。

 フーヤも無詠唱の魔法のウインドカッターにより、残り二本の矢を落としていた。

 その間に黒ローブたちに前後を挟まれる。

 短剣を持っており、表情は仮面で見えないがなんとも言い表し難い不気味さがある。

 フーヤとレクスルは背中合わせに立つと様子を伺う。


「思ったより、気づかれるの遅かった」


「まあ、既に半分くらいの教室に行ってるからな。気づかれるのは当然だろう」


「むしろ、この遅さは無能なんじゃないかと疑う位」


 呆れた口調のフーヤにうなずいて同意の意を示しつつも、レクスルは腰に携えた剣の柄に手を伸ばす。


「フーヤ、それでどうする?この人数を相手取るのは骨が折れるだろうしな」


「横に行こう」


 フーヤが小声でそう言ったのとほぼ同時に敵が攻撃をしかけてくる。

 敵が必死に小さな声で詠唱しつつ、愚直なまでに一直線に飛ばしてくる魔法をフーヤとレクスルが見切り避ける。

 短剣を突き立てようとフーヤに突っ込んできた男は難なくレクスルに投げ飛ばされ、レクスルを狙って放たれた魔法の刃はフーヤが魔法で障壁を張ったり、同じ威力の魔法を放って相殺する。


「ちょっと待て、横ってどういう事だ?」


 魔法で飛んできた石礫を剣で弾き飛ばしつつもレクスルはそんな疑問を発する。

 フーヤは飛んでくる魔法を避け、自らの魔法で相殺しつつもレクスルに近づく。


「準備いい?」


 フーヤは目線を横の窓に向ける。

 ちなみに、ここは二階である。


「え、まさか・・・」


「舌、噛まないようにして」


 フーヤはレクスルの腕を掴んで引き寄せると、そのまま風魔法で窓を吹き飛ばす。

 そして、窓が吹き飛んで出来た穴に躊躇いなく飛び込む。

 フーヤは風魔法で衝撃を緩和しつつも、レクスルと共に地面に降り立つ。


「びっ、くりした」


 心の準備が出来てなかったらしいレクスルはふらりと座り込む。

 少々悪い事をしたかもしれないと考えつつも、フーヤは今開けた穴を土魔法で作った壁で塞ぐ。

 所詮、時間稼ぎでしかないがやらないよりはマシだろう。

 約二名、塞ぐ前に飛び降りてきた奴らがいたが、空中に居る間に無詠唱のウインドカッターで手足をもぐ。

 フーヤは降ってくる血を風魔法で軌道をそらして、自身とレクスルの二人にかからないようにする。

 その血の量は直ぐに処置をしないとそのうち出血多量で死ぬであろう。

 いや、その前に落下の衝撃で死んでしまうだろうか。

 どさりと地面に落ちた彼らはピクリとも動かなかった。

 奴らの手に握られていた短剣は地面に突き刺さると瞬く間に周りの植物が黒く変色し、枯れ始める。

 どうやら毒が塗りこんであったらしい。

 しかも、即効性で異常なまでに毒性の高い。


「・・・『解放』」


 フーヤがそう告げると同時に地図が現れる。

 どうやら襲撃を把握した教師たちが『破壊の翼』の構成員と闘い始めたらしい。

 伊達に魔法学校の教師をやっているだけの事はあるらしく、人質の奪還も徐々に進んでいるようだ。

 フーヤとレクスルの二人が人数を削っただけあって、人質の奪還自体はそのうち成功しそうである。

 ただ、問題としては守護結界があるらしい塔に『破壊の翼』の構成員たちと教師が一人向かっている事だ。

 教師に関しては人質なのか、内通者なのかこれだけでは判断出来ない。

 どちらにせよ、直接向かうべきだろう。

 フーヤは再び『封印』と告げて地図を消すと、座り込んでいるレクスルに視線を向ける。


「レクスル、動けるか?」


「・・・動ける、動けるけれども、フーヤ。次に似たような事をするつもりがあるならもう少しきちんと説明してからにしてくれ。こんな感じの事が何回もあるのは俺の心臓がもたない」


 レクスルは立ち上がると、フーヤの隣に立つ。


「・・・善処する」


「いや、フーヤがそう言う時は考慮してくれない時だよな」


「危機的状況で、流暢に説明してる暇ある?」


 レクスルは息を吐き出す。


「あー・・・無いな。まあいい、どこに行くんだ?」


 レクスルの問にフーヤは走りだしながら答えた。


「塔」


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