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何も変わっていなかった。

作者: るんるん

大学生の夏、付き合っていた彼女に振られた僕は、マッチングアプリをはじめ、セフレを探していた。

今思うとなぜそんなことをしたのかは分からないが、きっとなにか理由があったのだろう。

タバコもはじめ、パチンコに行きだし、講義を休んでバイトばかりしていたあの夏。

果たして、あの時間は無駄だったのだろうか、、、。




大学生に入った僕は髪を金髪に染め、いわゆる大学デビューをしていた。

色んなサークルの新歓に行き、色んな人と友達になった。

彼女のいなかった僕は友達伝いにいい人を紹介してもらうことにした。

その時出会ったのが彼女だった。

彼女はとても小柄で可愛らしく、明るい人だった。

僕は彼女と同じサークルに入った。

こうして仲を深めた僕らは付き合うことになった。


付き合い初めて三ヶ月が過ぎた。彼女がどんな人なのかわかるようになった。

カラオケが好きで、大好物は唐揚げで、スポーツ万能で、頭はちょっとおばかさん、耳責めに弱くて、M気質で、など。

半同棲的な感じでほとんど毎日どちらかの家に居て、一緒に寝泊まりして、講義がある日は一緒に出かけたりもしていた。

そんなある日、彼女から突然別れを告げられた。

他に好きな人が出来たとの事。

僕は納得出来ずに当然止めたが、彼女は意見を変えず、そのまま別れることになった。

心に穴が空いた気分になった。

生活の一部が無くなったような。

何かが壊れるような、そんな感じの気分だった。

色んな場所にデートに行ったし、一緒にゲームもしたし、手も繋いだし、ハグもしたし、キスもした、沢山Hだってした。

忘れようにも忘れられない楽しい思い出だけを置いて彼女は僕の傍から離れていった。




彼女と別れてから二週間後、彼女が新しい彼と付き合ったことを聞いた。

人生で一番なんじゃないかってくらい聞きたくないことだった。

それを機に僕は何もかも忘れよう、おそらくそんな気持ちでマッチングアプリでセフレ探しを始めた。

案外すぐに見つかり、会うことになり、そのままホテルに行き、好きの感情のないただのSEXをした。

それから半年間約10人くらいの人と会い、SEXをして帰るだけのセフレを作った。

タバコを吸う人と会ってタバコを吸い、パチスロで買ってホテル代にし、講義を休んでSEXをして、バイトに行くために帰ってくる。サークルで彼女を見る度に気にしていないフリをして、帰ったらセフレに連絡してSEXして忘れようとしていた。

いわゆるクズ男みたいな生活を周りにバレないように送っていた。





大学の二年になった頃、久々に彼女から連絡がきた。

「今日、会えない?」

「いいよ」

僕はすぐに返事をした。

二年になって、マッチングアプリをやめ、セフレとの関係もほとんどなくなり、タバコはやめ、パチンコにも行かなくなっていた。

講義にも出席をしていた。

半年間で大人になった僕は、決心していた。

もう騙されることはないと。


待ち合わせ場所の居酒屋で待っていると、遅れて彼女がきた。

僕が見たことない服とカバンを持っていた。

「で、どうしたの、急に?」

僕は気になっていたのですぐに聞いた。

「今の彼氏に浮気されたんだよね」

彼女は涙ぐみ、笑いながら言った。

「なんでそれを俺に言う必要があったの?」

僕は半分怒りに任せて聞き返した。

「謝ろうと思って、本当に悪いことしたんだって思って。」

彼女は涙を流しながら言った。

「そんなんで許すと思う?」

僕は完全に怒っていた。

「許されないのはわかってるけど、ちゃんと謝りたい、ごめん、」

彼女は泣きながら謝った。

彼女はあの日から僕がどんな風に変わったか何も知らない。

あの日のまま時が止まったままでいると思っている。

だから許してもらえるとでも思ったんだろう。

ほんとに馬鹿だと思った。

「許さない、けど話だけは聞くよ」

僕はそう言って彼女からこと細かく話を聞いた。

すると彼女は全て話してくれた。

ちょっとずつあの頃の彼女に戻っていくようなそんな気がした。

「今日だけ家行っていい?」

帰り際に彼女に言われた。

「ああ、いいよ」

僕は許可した。ほとんど無意識に、何も考えず。

そして彼女が僕の部屋に来て、お酒を飲んでそのまま泊まることになり、SEXをした。

「ねぇ、好き」

彼女が目を見つめて言ってきた。

「俺もだよ。」

僕も目を見つめて言葉を返した。

愛のあるSEXをした。

あの頃と何も変わらない。

半年間が何もなかったかのような。

彼女との楽しかった生活がいつまでも続いていたかのような。

僕はまた彼女と付き合うことになった。

セフレとしてではなく、恋人として。




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