魔法の国と中央都市テラーナ
「やぁ、エテルノ。今日は仕事は休みかい?」
「こんにちはジャン。今日は1日休みだよ。」
「休みとはいいねぇ。しっかりと満喫しなよ」
「言われなくてもそうするさ。ジャンはこれから研究会か?」
「あぁ、もう何百年と研究している魔法のな…。もう諦めたらいいのにな」
「まぁ、そう言わずに頑張りなよ。じゃあ俺はこの辺で。また会おう」
「おう、またな」
ここは魔法の国アダルダにある、中央都市テラーナ。
創造魔法を見つけたテラリッサとその意思を引き継いだリリアナ、その二人から名前をとって名付けられた街である。
そして私の本当の名前はテロス。世界と同じ名前だと世間から浮いてしまうので偽名を使っている。
いつもは、街の外に出て薬草を採取して、家に持ち帰り薬を作り、それを店で売っている。そのため、7日に分けて、最初の2日は薬傷採取、次の1日は薬作り、次の3日で販売、残りの1日が休日という形になっている。
この町は、ここ100年でいくつもの新しい魔法を生み出していて、まさにテラリッサの願いが叶いつつあるといっても過言ではないだろう。
しかし、せっかくテラリッサの願いが形になってきたところだが、この世界の寿命は短い。
創造魔法の発動条件を満たすために必要な日数は残すところあと1日。
誤って創造魔法を発動されると私も困るし発動させた人も訳が分からなくなって困るだろう。
だから私の今日の目的地は、研究会。あそこにいるジャンやそのほかの人には悪いけど、発動条件を満たしたその瞬間に私が発動させてもらおう。
と昨日までの私は考えていた。
しかし、この世界の人々に愛着がないわけではなくむしろ愛しているといっても間違いではないだろう。
なので私は、創造魔法を正しく発動させる。その瞬間だけは彼らに見せてあげようと思う。
そしてこの世界が消える残り1万年は創造魔法の真実にたどり着けるだろう。そこからテラリッサの目指した想像魔法の開発へ力を入れてくれると信じて…。