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人類と黄昏

作者: あめや てつ



僕らはみんなコンピューター。

生まれつき良いAI

を搭載しています。

例えば美味しい物を食べるでしょ、

そしたら僕らは今度から

それを好物として認識できます。

……まあ、“嫌い”もインプットされますが。




僕らはみんなコンピューター。

生まれつき優秀なスパコン

が搭載されています。

例えばお友達を作るでしょ、

たくさんお話しして仲良くなって

相手のことを学習します。

そしたら僕らは経験値から

相手の行動を予測できます。

……だから都合のいい人を探しがちですね。




僕らはみんなコンピューター。

かなり高度で複雑なプログラミング

を経て作られています。

例えば一度全壊するでしょ、

もう二度とは元に戻りません。

……繊細ですね。




僕らはみんなコンピューター。

生まれつき少し劣った制御機能

を搭載しています。

例えば踏み切りで泣く子供がいるでしょ、

赤信号を知っているのに

飛び込むことができます。

……ここが厄介なんです。




僕らはみんなコンピューター。

生まれつき不安定な判断機能

を搭載しています。

例えば恋をしてしまうでしょ、

合理的な判断が下せなくなります。

……まだ僕は経験していませんが。





僕らはみんなコンピューター。

僕らはみんなコンピューター。





こんなに欠陥だらけに作られて

それでもまだまだ優秀だなんて、ねえ博士。

こんな僕より不完全な“人間”を

どうして博士は求めるのですか?

博士と同じ生命体が

そんなにそんなに恋しいですか?

どうして優れた僕の機能じゃ

博士の涙を拭えないのでしょう。



所詮人間もどきの僕らは要らない子。

より出来損なった僕だけは気づいてます。

もう失いたくないと言うのなら

もっと頑丈に作ってくださいよ。

こんなに脆い作りじゃ、

生き続ける意思なんて。



博士の最新ロボットはひとり廃炉へ歩き出す。

振り返らずにずんずんと。



行かないで、の言葉も忘れて、

博士はその場に立ち尽くす。

プログラムに逆らうロボットは

彼が初めてだったから。




頑丈な人間などいないのだ。

それでも私は生きている。

彼が嘆いたのは的外れなのだ。

それでも人間らしかった。




最後の人間は寂しいものだ。

人間らしさの行く末の

これがその正解だというのなら。

新たな可能性に蓋をして

それが人間らしさの全てだと

認めてしまっていいだろうか。

許しを乞うてもいいだろうか。

もう疲れたんだ。





僕らはみんなコンピューター。

ひとり残らずコンピューター。

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