第二十一話 ただでさえ世間的に手洗いとうがいをしないとリスクガーとかクラスターガーって叫ばれるんだから。
久しぶりです。更新が止まりエタったかな?と思った方。すみませんでした。
あれから道中、野営を繰り返しながらもなんとかバルデヨフ領にたどり着くことが出来た。
街の入口に立っていた門番は五羽の赤羽鳥が全速力で街に近づいてくる様子に慌てふためき、一瞬、槍を構えたが赤羽鳥に跨がるアーデントを見つけると槍を納め、手を振る。
「お嬢様ぁ〜!」
そりゃもう、腕が千切れるんじゃないかと心配するほどぶんぶん振っている。
「おお!ダースか!」
入口の手前で四羽が止まる(俺の乗る赤羽鳥はその遥か手前で急停止し、俺は矢の如く門番の横の地面に刺さった)と知り合いなのか、アーデントが門番に名前を呼び固い握手を交わす。
「お嬢様!良くぞご無事で参られました!それに、ベル殿下にシャロップシャー姫、フィジー様もご無事で何よりです!」
アーデントがダースと呼んだ門番は領主から勇者パーティの一行がバルデヨフ領を訪れることを聞かされていたらしく、到着するのをずっと待っていたらしい。
「ダースさん?でしたっけ、シャロと婚約したとはいえまだ僕は公爵令息の身です。余り早まった言い方をされると困ります。」
ベルきゅんは殿下呼びに慣れていないらしく、顔を真っ赤にして門番に言った。
「これは、大変失礼致しました。では改めててベル様方、そして勇者さ......?」
ま、と言い切る前にダースはようやく肝心の勇者がいないことに気付く。
「ダース。横だ横。」
アーデントがダースに横を見るよう促すと地面から下半身を生やした得体の知れない物体?を見つけることが出来たようだ。
「......勇者さ......ま?」
ーーーーー
「死ぬかと思った。」
「イツキは飛ぶのがそんなに好きなのか?」
アーデントに引っこ抜かれた俺は彼女の言葉に若干イラっとはしたが、ベルきゅんが甲斐甲斐しく介抱してくれたお陰で溜飲を下げる事が出来た。
俺は顔の泥を袖で拭っていると、ズンズンと足をたてて門番のダースが俺の方へと近づいてきた。
「貴方が噂の勇者様でございますか!」
俺より頭一つ背の高い大男にガッチリと両手を掴まれた。
ミシミシと骨が軋む音がした。
「あの......す、すみません。手が......手がヤバイです。」
ダースはハッと我に返るとすぐに手を放し俺に対し謝罪した。
「す、すみません!緊張してつい力み過ぎてしまいました。」
ダースは先程まで勇者を握っていた手をまじまじと見ると「もう手は洗えんな……」と独り言ちる。
……いや、洗えよ。ただでさえ世間的に手洗いとうがいをしないとリスクガーとかクラスターガーって叫ばれるんだから。
閑話休題。
一体何故、この大男もとい、ダースがここまで俺に対しての好感度を振り切っているのかという話だが、実はここバルデヨフ領はその昔、古の勇者が開拓した土地で有名らしく勇者が本来、魔獣が闊歩していたこの土地を自分達の先祖と一緒に開拓して今のバルデヨフ領へと繁栄させたとのこと。
そういう歴史的背景からここの領民は勇者に対し感謝と尊敬の念を抱き続けているという。
(勇者が開拓した土地ね)
ダースが子供の頃、寝る前に母親から聞かされていたというお伽話をもとに熱弁する様は一介の門番というより憧憬を抱く少年のようで、そのちぐはぐさが相まって何だか可笑しくなってしまった。
「ミクラーシュ王国にとって勇者という存在はそれほどまでに人々を勇気付け、希望を与える存在なんですよ」
ベルきゅんがニコニコしながら語る。
イツキ自身は知らないが、実はベルきゅんもシャロの事が無ければ素直に勇者に憧れていた者の一人だったりする。
―――――
その後、門番のダースと軽く会話を交わし、途中、本来の役割を思い出したのか、門番として改めて俺たちに領主からの伝言を伝えた。
「あっ!そういえば!……勇者を一目見たいと御領主様が館でお待ちになっておいででした」
この門番にしてアーデントの父親。
この後訪れる領主との邂逅に俺は並々ならぬ不安を持ち合わすのであった。
世界的に流行っております某コロナですが、皆さん手洗い、うがいをしっかり行いなるべく密室や密集地、密談を避けて日々を過ごしていって下さい。
私も家で大人しくしながら更新作業頑張って行きます。




