第二十話 い、一週間!?無理無理無理っ!?耐えられないっ!気づかれちゃう!
あらすじ
イツキは訓練で魔法の基礎をモノにした。
白人のおばさんが親戚になった。
訓練を始めて二週間、満を持して俺たちはバルデヨフ領に向けて出発した。
イツキにとってこの二週間はとても辛いものではあったが、同様に少女達もこの二週間はとても辛い思いをしていた。
◇ ◇ ◇
「……お風呂に入りたい。」
イツキとベルの二人がいつものように模擬戦闘を行なっていた頃、三人で夕食の支度をしている時にシャロップシャーの口から不意にそんな言葉が溢れた。
「……私、臭いますよね?」
沈痛な面持ちで二人に意見を求めた。
「ん?私は気にならないぞ?」
「それってどう言う意味ですかっ!?」
「そのままの意味だが?」
「臭いんですか?そうなんですか?ああ、どうしましょう……きっとベル様に幻滅されてしまう…」
予想以上に野営が長引いた為、体臭が気になるシャロップシャー。
「……大丈夫。……兄はそういうの含めてシャロが好き。」
「フィジーまでっ!?」
オロオロとするシャロップシャーだが、アーデントもフィジーもただ、からかっているだけとは夢にも思わない。
だが、しかしシャロップシャーの言うことも確かである。毎日身体を濡れタオルで拭いているとはいえ、三人とも思春期の女の子だ。男性が身近にいる状況、入れるのならば入りたい。
そこでシャロップシャーはイツキに相談することにした。
―――――
「あのう……イツキさん?」
「ん?どうしたんだ?急に改まって?」
自分の婚約者には悟られたくはないという乙女のプライドがあったため、イツキだけを呼び出し説得を始めた。
「そろそろ、バルデヨフ領に向けて出発した方がよろしいかと」
少し恥ずかしいがイツキなら分かってくれるだろう。
「いや、まだ駄目だ。……まだまだ俺は弱いし、またゴブリン戦のように皆を危険に晒してしまう」
あ、いや……確かにそうなんですが…
「だ、大丈夫です!イツキさんもう充分強いですよ!今日もベル様から一本取ったじゃありませんか!」
ここはなんとか食い下がらなければ……
「あれはまぐれだ。ステータスの高さでゴリ押したようなものだ。まだまだ剣技ではベルきゅんが上だ。」
……ああ、なんて真面目なんでしょう……ではなくて!早くお風呂に入りたいのです!どうかイツキさん察してください!
「いえいえ、謙遜なさらないで下さい!もうここら辺の魔物などイツキさんの相手にはなりません!先を急ぎましょう!」
「そうは言っても万が一にも皆を危険に晒すわけには……」
私が万が一にも貴方がたに気づかれてしまうのです!……どうか私にお風呂を……
シャロップシャーの懸命な頼みもイツキの馬鹿正直さの前では無力になってしまう。
「俺的には後もう一週間訓練すれば何か掴めそうな気がするんだ」
い、一週間!?無理無理無理っ!?耐えられないっ!気づかれちゃう!
―――シャロップシャーの心が折れかけたその時、思いもよらない所から助け舟が現れた。
「……イツキ効率悪い。……ここら辺の魔物はもうイツキの相手にならない。バルデヨフ領に行くほうが強くなれる。」
フィジーがどこからか現れて応援射撃に入る。
「フィジーとシャロの言う通りだ。それに王都からの食糧も尽きかけている。私達を餓死させるつもりか?」
アーデントも助太刀してきた。
「二人の言う通りです!今私達に必要なのはここで足踏みする事ではなく先へと進む事です!私達に与えられた時間はそう長くありません。」
「……そうか?まあ、そこまで言うなら致し方ないな。食糧がないなら早くバルデヨフ領に入ろう!」
無論まだ食糧には余裕があったが、この際黙っておくことにする。
―――――
見事、乙女達の連携プレーによりどうにかイツキを説得することに成功した。
翌日、五人は赤羽鳥に乗ってバルデヨフ領へと向かうこととなった。
道中、寝床がどんどん離れて行く女性陣にイツキとベルは疑問を浮かべていたが、その理由を彼らが知る事はなかった。
すみません遅くなりました。何でもするので許して下さい。
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