第十五話 やめてぇえええ!とまってぇえええ!
あらすじ
侍女さんから赤羽鳥を呼ぶ鈴を貰った。
―――赤羽鳥
通称【王国の赤いあんちきしょう】
全体的に赤いダチョウのような生き物なのだが歴とした魔物だそうだ。
長い首は硬い鱗で覆われており大の男が両手で力一杯締めようとしてもビクともしない硬度を持つ。
背中は人が乗れるようになっており、全体的に赤い羽に覆われているがその部分だけは首同様硬い鱗になっていた。
厳しい自然界に生き残る為そういう風に進化したらしい。
だがその代償として羽は退化し空は飛べなくなってしまった。
だからなのか脚は尋常じゃなく速く、馬の三倍の速さで大地を駆ける。
(一般的なサラブレッドが約時速六十キロって言われてるからその三倍………)
「ひ、ひゃくはちじゅう!?」
ちなみに時速百八十キロ出す乗り物といえば富◯急のド・ド◯パがある。
そんな魔物に初めて乗る訳だが正直不安しかない。
俺は赤羽鳥の乗り方についてベルきゅんに尋ねてみた。
「俺、赤羽鳥の乗り方とか教わって無いんだけど………」
ベルきゅんは満面の笑みで
「大丈夫です。首さえ掴んでいれば振り落とされる心配はありません。」と答えた。
こら!回答になってないやんけ!
◇ ◇ ◇
「っぬわあああああ!?」
―――今、俺は水平になっている。
正確に言えば、出発したと同時にケツが持ち上がり、現在は辛うじて赤羽鳥の首を掴んでいる状態だった。
顔に物凄い風圧が掛かり顔が常に波打っている。
「……イツキ速い」
「イツキは随分張り切っているな」
遥か後方で適正スピードで走っているフィジー、アーデント達一行は振り回されているイツキを見て感心していた。
無論、本人には聞こえていない。
―――
「だーずーげーでぇえええ!?」
俺は未だ赤羽鳥に振り回されている。
一番大人しそうな奴を選んだ筈なのにいざ出発したらコイツ目つきが変わって爆走し始めた。
てかコイツ、本当に目的地分かっているのか?
「やめてぇえええ!とまってぇえええ!」
そう言いながら目まぐるしく変わる風景に必死でしがみ付いていると、急に赤羽鳥が砂埃を巻き上げながら停止した。俺は放たれた弓矢のように前方へと投げ飛ばされる。
「うわあああああ!」
綺麗な放物線を描いた俺は顔から地面に着陸する。
――――
「イツキさん大丈夫ですか?」
後から駆けつけたベルきゅんが心配そうに声をかけてくる。
「そう見えるか?」
俺は皮肉まじりに質問を質問で返す。
「言い忘れていましたが赤羽鳥は人間の言葉を理解します。イツキさん、出発前になんか赤羽鳥に言いましたか?」
え?コイツ言葉が理解出来るの?
衝撃的な事実を突きつけられながらも出発前に自分が言った事を思い出す。
たしか、「これからよろしくな。バルデヨフ領までの道のりよろしく頼むよ」だったか………
するとベルきゅんは苦笑いし「それが原因ですね。赤羽鳥は主人思いなんで、頼むとか託すような事言っちゃダメなんですよ。すっごい張り切るんで」
それを最初に言ってくれと心の底から思った。
「とりあえず、シャロ達が後から来ると思うので合流するまで待ちましょうか」
ベルきゅんはそういうと赤羽鳥から降り頭からシャチホコのように仰け反っている俺を介抱してくれた。その最中―――
「ギャギャッ!?」
近くの茂みから甲高い鳴き声が聞こえた。
ベルきゅんに助けられようやく立ち上がった俺は声の主を探しはじめる。
先ほど鳴き声が聞こえたのはこっちだったような………
茂みの方を注視するとカサカサと揺れ動き声の主が飛び出してきた―――
「イツキさん来ましたよ!」
ベルきゅんが鞘から剣を抜き構える。
その先にいたのは
「イツキさん!ゴブリンです!」
RPGでお馴染みのゴブリンだった。
ようやく初戦闘?
次回は通常通り20:00、0:00の投稿になります。よろしくお願いします
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