7
しばらく月日が流れた。
田原が夜、自宅にいると島田が訪ねてきた。
「先輩、一週間後、『バーサーカーバトルフェス』に俺、デビューします!リングネームで出るんで色々考えたんすけど『フェニックス島田』にしました!カッコいいしょ?ちゃんとネット放映みてくださいね!」
Tシャツ姿の島田は、そう田原に言い帰ろうとした。そんな島田に田原が言う。
「髪は切らないのか?長髪はバトル時には不利だぞ」
「いやー、長髪は俺のポリシーなんで!」そう言い島田は長い茶髪の髪をなびかせ帰っていった。
一週間後。
田原は、自宅のパソコンでバーサーカーを見ていた。島田と対戦相手がスモークに立ち上る花道からリングインした。
そして、ゴングが鳴る。
その瞬間だった。
相手選手が早々にタックルで島田を背中からリングマットに落とすとマウントを取り、島田を力任せに殴りつけた。連打は止まらない。ガードしていた島田だが、いつしかタコ殴りにされ、マットが島田の血で染まる。
レフリーが止めて試合は終了した。終了と同時に顔中、鮮血の島田が担架で運ばれて行く。
中継を観ていた田原は、自分の部屋で一人、絶句した。