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「それで?」町田が聞く。
「帰り道、車の中で描いてもらった似顔絵を満足げに見ていると目の前の信号が青になり車を発進させた。すると、助手席においた似顔絵が開いていた車の窓から飛んでいってしまったんだ。僕は、あっ、と声をあげたが似顔絵は風にさらわれ何処かに飛んでいってしまった。僕は、そのまま車を運転する。ガッカリして運転した。気がつくと夜になっていて、僕は、家に帰る前にTSUTAYAに寄った。駐車場で絵描きの彼女が『ミスター.ダラーランド』のアニメが好きだと言っていたのを思いだし、僕は、TSUTAYAで探そうと思った。でも、そんなアニメ聞いたことは、なかった。
それで、その時、思ったんだ。
イオンで会った彼女は、幻だったんじゃないかと」
島田が腹を抱えて笑いを堪えている。町田の顔も緩んでいた。
田原は、話を続ける。
「その時、季節は冬だったんだけど空から雪が降ってきてね……僕の目から涙が溢れて人が行き交う夜のTSUTAYAの駐車場で僕は、声をあげて泣いたんだ……」
島田と町田は、爆笑した。
田原は、戸惑って言う。
「わ、笑う話じゃないだろ?シンミリする話だろ!?」
しばらくして、笑いやんだ町田が言う。