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ミッション1・part2の③

おおぬきたつや・著。


        『キグルミ大作戦!!』


 〈キグルミ・ミッション・1〉


   Part2の③




 何故(なぜ)だろうか。

 この時、裸眼(らがん)でも視力にいささかも不都合のない伊達(だて)眼鏡っ子の少年は、不良どもの背中越しに見やる当の警備員たちにこそ、何かしら不可解なものを感じはじめていた。

 きいきいと悲鳴を発しているのは、手前の三バカトリオばかりで、奥の方で黙りこくったままの大人たちは、やけにぴりぴりとした殺気めいたものを放っていた。


 気のせいだろうか?


 この胸の内にくすぶる懸念(けねん)を口にしようとしたとき、背後からおなじく疑問の声が上がった。


「なあソウ、あのおっさんたち、ここの警備員なんだよな? なんかえらく殺気(さっき)()ってるけど、手に持ってるアレって、警備員のアイテムなのか? ちょっとぶっそうだぜ!」


「ぶっそう? ……なにが、そんなの警官と違うんだから、警棒すら持たない丸腰(まるごし)なんじゃないの、平和な民間施設の私設警備員(ガードマン)だなんてのはさ? あれっ、待って……えっ、なんでっ??」


 あっけらかんとした口ぶりでなす友達の指摘(してき)であらためてこの前方を注視(ちゅうし)して、あちらの灰色の制服たちがおのおのの手にぶら下げるものに目を見張(みはる)る。

 警備員の所持品(アイテム)と呼ぶには抵抗がある凶器が、そこにはあった。

 どこから持ち出したとも知れない、鉄パイプと角材(かくざい)だ。

 いやはや、よもやチンピラのケンカでもあるまいに、それはどちらも結構な打撃力(だげきりょく)である……!

 この状況を果たしてどのように理解したものかと、頭の中が軽くパニックしかけたところに、これまた背後から気の抜けたような声がする。

 およそ場違(ばちが)いなほどにのんびりとしたヤツがだ。

 これに思わず返す言葉がうわずってしまった。


「おいソウ、これって、どーなってるんだ?」 


「ど、どうって、そんなのこっちが聞きたいよ! いや、いくら数で負けてるからって、あんな凶器を持ち出すなんてまともな大人の理屈じゃありえないし、ただの(おど)しとしたって、シャレじゃすまされないさっ! あれは絶対、痛いどころの騒ぎじゃないものねっ!! うわこれ、やばいよっ、(いや)な場面に出くわしちゃったな、ああっ、ゴータっ、ぼくらどうしたらっ……?」


「…………」


 いっそ〝殺意〟と言っても過言(かごん)ではないだろう。

 ふたりの警備員たちはそれは尋常(じんじょう)でない威圧感(プレッシャー)を放ちながら、今もじりじりとこちら、の手前の不良たちににじり寄っている。声はひとつも出さないが、冷たく押し殺した表情は、もはや観念(かんねん)しろとばかりの脅し文句を無言の内にも語っていた。

 こんな鬼気(きき)(せま)る大人の表情を、テレビの画面以外で見る機会など、滅多(めった)にありはしないだろう。

 もはやただの冗談ごとではありえないと自覚させられる。

 緊迫感のます場面に、普段の冷静さがどこかに吹き飛んでしまうソウだ。

 完全に()(あし)()っていた。

 おまけこの背後の気配はときたら、いまだに押し殺した沈黙である。


〈i145633|14233〉

※なんか久しぶりだからか、キャラがいろいろとあやふやです♡

 ちなみに真ん中にいるのはキグルミの02、メガネくんの相棒ですね!



 ……まさか? ……まさかっ!!


 固唾(かたず)()んで見守る中、ゆっくりと重たく停滞していた場が、ある瞬間を(さかい)に一気に動いた。


 ……ビュッ!


 張り詰めた静けさが(くう)を切る鋭い音で破られる。

 それを、着ぐるみの中で見る少年は、あんぐりと口を開いていた。


「なんでっ? ……ゴータッ!」


          ※次回に続く…! 

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