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ミッション1・part2の②

おおぬきたつや・著。


        『キグルミ大作戦!!』


 〈キグルミ・ミッション・1〉


   Part2の②



「しっ! ソウ、もう来るぜっ! じゃ、ここはじっと知らん顔してたほうが、いいんだよな? このまま動かなきゃ、バレないってもんだろーしよ!」


「えっ、だれがっ? ほんとにっ……!!」


 ぴったりと()()うように固まった二匹の怪獣の中で、ふたりの同級生たちは互いに息を(ひそ)()う……!

 目を()らして目前の画面に注目していると、今しもじぶんたちが入って来たこのただの袋小路(ふくろこうじ)の物置場に、新たな人影が現れた。

 複数、それもかなりものものしげに(あわ)てふためいた様子でだ。

 これをきょとんとした目つきで迎えることとなる優等生は、後ろの友達が言っていたとおりの人数と、まずそれぞれがなしたるそれは意外な出で立ちになおのこと目を白黒させてしまう。


「ああっ、ひとり、ふたり、三人? いやっ、よん、五人か! えっ、でも……あれっ??」


「ん、ソウっ、見ろよっ、あいつら!!」


 この時、すぐ背中に付ける相方(あいかた)も、その異状(いじょう)にはひと目で気付いたものらしい。声に少なからずや不愉快げなものを感じるが、そこにはあえて触れずにじっとその場の()()きを見守った。

 そうだ。

 思っていたのとはまるで違った展開を、この突然の闖入者(ちんにゅうしゃ)たちは今しもこのじぶんたちの目の前で繰り広げようとしていたのだから。

 はじめの三人組(トリオ)と、後から追ってくる二人組(コンビ)とに、この五人の乱入者たちは分けられた。

 そして偶然と言おうか、はじめのグループとはふたりとも少なからぬ面識があった。

 見かけおなじ学生服姿の三人組の男子たちは、こちらもクラスメートとなる。

 ただし、その仲は、おしなべて良いとは言えなかったが。


 むしろ険悪、どころかいっそのこと最悪とすら言ってもいいだろう……!


 ごくりと息を飲むソウは、目の前の光景に釘付(くぎづ)けになりながら、背後の着ぐるみの中のゴータに低めた声を出す。

 この互いの無線機越しなら、きっと気付かれまいとだ。


「あっ……あれって、うちのクラスの不良(バカ)トリオじゃないか? 高瀬に野田、横山! なんで?」


「ッ……ふん、知らねーよっ、どうせろくでもねえ理由なんだろ! それに見たトコ、後ろのおっさんたちはここの警備員のカッコしてるから、またなんかふざけたワルさでもやらかして追っかけられたんじゃねーのか? はんっ! マジいい気味だぜっ、そのままボッコボコにされちまえばいいんだよっ、おっさんたち、なんだかえらく怒ってるみたいだしよ?」


「ボッコボコに? ああっ、まあ……確かに、わざわざぼくらが仲裁(ちゅうさい)に出てやる義理はないってものかね? このカッコと状況じゃ、何かと問題もあるし、あの三人に非があるのはきっと間違いないんだろうしさ! でも何だかかなり切迫(せっぱく)した雰囲気してるような……?」


 あちらの舌打ち混じりの不機嫌な答えを、こちらはいっそうひどい苦笑いで聞かされる。

 ご機嫌(きげん)(なな)めの理由は、それと聞かずともにわかっていた。

 そう、何しろつい最近のことだ。

 おなじクラスメートでじぶんたちの幼なじみでもある、あるひとりの女子に、あの不良たちがよからぬちょっかいを出そうとして、この剛腕(ごうわん)快男児(かいだんじ)による鉄拳制裁(ストレート)をガツン! と()びせられたのは。

 今でも顔を合わせればピリピリしている。


 そうだ、特に、背後のおっかない怪獣くんが……!


「ま、にしても、どうしたもんかねえ……これってのは、さ?」


 まるで命からがら、息せき切って駆け込んできた不良たちは、この部屋の(なか)ばほどまで来て、急ブレーキをかける。

 それぞれがたたらを()んで、わっと悲鳴を発するのだった。


 ババ、バケモノっ…!?


 と開口一番(かいこう いちばん)で発されるこの裏返った叫びと共に、皆が一様(いちよう)にあたふたと慌てふためくさまを、ひどく()()けたものを見るような冷めた視線で眺めていた。

 これに後ろで誰かさんがふざけた(ワル)ノリなどしないことを願ったが、小さな舌打ちが耳に届いたくらいだった。

 平素(へいそ)素行(そこう)とおなじく学業の成績もそれはお粗末(そまつ)な級友たちの、バカ丸出しで(はじ)外聞(がいぶん)もなくした動転(どうてん)ぶりも、わからなくはない。

 ある(しゅ)、まっとうな反応だろう。

 このじぶんたち、もといハリウッドの特撮人形も顔負けなリアルドラゴンズの着ぐるみを前に驚愕(きょうがく)(そう)で固まるが、そこはそれ、これらが実は人工の作り物だとすぐに理解したのらしい。

 いかにおつむが悪くとも、パッと見からものの10秒とはかからない。

 だからこそ今はこちらには目もくれず、後から追ってきたふたりの追っ手たち、こちらにじりじりとにじり寄る、見た目ひどく無愛想な男性警備員たちとなじり合っていた。

 そのぎゃあぎゃあとけたたましい言い分を聞いているぶんには、やはり親友(ゴータ)の言うとおり、ろくでもないことがそもそもの原因らしい。

 ならばもう早くこの場を収拾(しゅうしゅう)して、どちらもここから出て行ってくれることを期待したのだが……。


〈i145403|14233〉

※手前の赤のキグルミ02よりも、後ろの青のキグルミ01のほうが一回りくらい大きくなります♡ 主人公たちの背丈と同様にですね♡♡



 何故(なぜ)だろうか。

 この時、裸眼(らがん)でも視力にいささかも不都合のない伊達(だて)眼鏡っ子の少年は、不良の背中越しに見やる当の警備員たちにこそ、何かしら不可解なものを感じはじめていた。

 きいきいと悲鳴を発しているのは、手前の三バカトリオばかりで、奥の方で黙りこくったままの大人たちは、やけにぴりぴりとした殺気めいたものを放っていた。


 気のせいだろうか?


 この胸の内にくすぶる懸念を口にしようとしたとき、背後からおなじく疑問の声が上がった。


「なあソウ、あのおっさんたち、ここの警備員なんだよな? なんかえらく殺気立ってるけど、手に持ってるアレって、警備員のアイテムなのか? ちょっとぶっそうだぜ!」


「ぶっそう? ……なにが、そんなの警官と違うんだから、警棒すら持たない丸腰なんじゃないの、平和な民間施設の私設警備員(ガードマン)だなんてのはさ? あれっ、待って……えっ、なんでっ??」


                   ※次回に続く…!


※オマケ♡※


〈i145404|14233〉

※過去の挿し絵です♡


〈i145405|14233〉

※本編の主人公、でっかいほうのゴータくんのイメージです♡


〈i145406|14233〉

※おなじく本編主人公、メガネっ子のソウくんのイメージです♡


 ※以上でした!


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