表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/9

ミッション1 part1の③

おおぬきたつや・著。


        『キグルミ大作戦!!』


 〈キグルミ・ミッション・1〉


   Part1の③



「いやっ、だからまずいってば! ろくな断りもなしにこんな奥までズカズカと入り込んで、勝手に照明点()けて、店の備品に手あかをつけて、おまけにその中身まで汚しちゃいましただなんて!? ここで捕まったら最悪、親か担任が呼び出し食らっちゃうよ!」


「かまわねーだろ? つーか、バレやしねーって、コイツをヘタにぶっこわしたりしなけりゃさっ、そよれか都合も良いいコトふたりぶんあるんだし、誰かにツバつけられちまう前に、ちゃんとじぶんのモノにしとかなくっちゃな! ああ、それにおれは、明かりだなんてつけちゃあいないぜ?」


「えっ? ……あ、だからそんな乱暴に! はあっ……もう、知らないからな? あと、背中のバッグは置いて、せめてその汚いスニーカーは脱いでからにしなよっ!」 


入学からいまだ三ヶ月足らずで、さすがは学校でも名の知れたお騒がせの問題児童(ワルガキ)だ。

 ほとほと好き勝手な言いようである。

 親ならずとも他人(ひと)が聞いたらなんと言うやら。

 これに心のどこかでかすかな引っかかりを覚えながら、(なげ)かわしげなため息をついて、いやいやとちからなくみずからのかぶりを振るこちらは学内でも屈指の優等株(エリート)だった。


 もはや処置なし……!


 それだからせめて、じぶんは当たらず(さわ)らずの静観を決め込んでやる。(もと)より言っても聞かないし、この生まれつき人並み外れた体格と体力で、のほほんと傍若無人(ぼうじゃくぶじん)をやってのける天然の困ったちゃんをちからずくで止めるのも無理なのは知れていた。

 よもやおかしな大事にだけはならないことを、ひたすら天に祈るばかりである。

 そんな連れの苦悩もそっちのけで、野放図(のほうず)な男子高生はみずから組み付いた着ぐるみの背後へと回り込んでいた。

 右肩に背負っていたナップザックをその場に放り出し、そそくさと両足の運動靴(スニーカー)を脱ぎ捨てると、どれどれっ? と怪獣(キグルミ)内側(なかみ)をしげしげ(のぞ)き見たりする。


「んなの、わかってるよっ! ……おっ、背中、バッチシ開いてるぜ! ん、でもジッパーがねーんだな、こんなのどうやって閉めるんだ? 勝手に自動で閉じるか、さもなきゃ熱いから開けっぱなし? 背中が弱点になっちまうじゃん! まま、入っちまえばわかるかっ!」


「ううっ、ああもう、ほんとにだいじょうぶなのかね……?」


ガサッ、ゴソッ、ガッサ、ゴソソッ、ガッサササッ……!


心配げに見守る同級生の視界からは、その長身を今やすっぽりと着ぐるみの怪獣の影に(もぐ)り込ませる男子は、()たしてこれをちゃんとひとりで着こなせたものなのか?

 おそらくは難儀(なんぎ)しているに違いない

 それはやたらにせせこましい感じの物音をしばらく立てたかと思えばだ。

 その後、若干の沈黙を生じさせたりもする……。

 そのさまをとかく怪しげ正面で見つめるばかりの級友は、ただ怪訝(けげん)さにじっとふたつの(まなこ)を細めるが、その一瞬後(のち)には、ギョッと身体を大きく背後にのけ()らせてしまうのだった。


「わっ! ……なっ、なんだっ、ゴータっ? どど、ど、どうなってるのっ?」


 驚きに目を見張る。

 その場に身じろぎひとつすることなく固まっていたはず着ぐるみが、やや前屈(まえかが)みだったこの姿勢をその頭部(あたま)ごと、ガバッ! と直立姿勢に立て直したものだから。

 まるきり出し抜けのことである。

 よってその驚きたるや半端(ハンパ)なものじゃあない。

 しかもこの時、見開いた瞳が、ビカッ! と強い光を宿したりもした。

 それも両方、左右の()ともにだ……!

 ただの作り物とは思えない、それはそれは確かな生命力のごときものを見せつけるのだった。

 それこそはただならぬ覇気か、オーラと言ってもいいだろう。

 おまけ気のせいかも知れないが、その直前、一度、(まばた)き(!)をしたようにも見て取れた。

 なにか、普通ではない。

 そう、とにもかくにも尋常(じんじょう)ならざる雰囲気なのである。

 唖然(あぜん)となって立ち尽くす友達の前で、リアルなバケモノの着ぐるみの中身が、返事を返した。いつものおとぼけた調子なのが、その見た目とはもはやどえらいギャップを生じさせてた。


〈i144151|14233〉


「……ああっ、うん、なんかオッケーみたいだぜ! 背中ちゃんと閉じてるか、見てくれよ? あ、どうした、ソウ? おい、ソウってば! なにそんなキョトンとしてるんだよ?」


「えっ……ああ、いや! なんか、さっきよりかやけにリアルさが増したような気がして、内側からゴータが動かしてるんだよね? その、ドラゴン(?)の口から声がしてるみたいだし、でもほんとに、生きてるみたいだよ! ほんと、子供が泣いちゃうくらい……!」


「そーか? ははん、じゃあちゃんと、どこでもいつでもかんぺきコミカルに動き回れますっ! てくらいにマスターしなくちゃならねーな!! キグルミの(しん)のリアクション(ドー)ってヤツをよっ、でもそんなに違和感ねーぜ、コレ? 快適快適! バッチグーだぜっ!!」


「リアクション(どう)? でもそれで歌ったり(おど)ったりは、それこそ違和感が……ううっ」


上から下まで、ずんぐりむっくりと見るからに重そうな図体(ずうたい)もなんのその!

 その場で陽気にステップ踏んだり小躍(こおど)りしたりするめっぽう強面(こわもて)の怪獣を前に、なおのこと場の空気から取り残される幼なじみは、しまいは顔つきがげんなりする始末だった。



        ※次回に続く…!


※追記※


〈i144155|14233〉

※キグルミのデザイン変更につき、今回の挿し絵もリテイクしたのですが、結果、あまり納得の行かないデキになってしまいました♡ ここらへんがプロとの差か、ま、しゃあないですよね♡♡


※以下は、主役キグルミ・デザインのこれまでの変遷です♡


〈i144152|14233〉

※いちばん初期のイメージです♡ デザインはシンプルなんですが、やっぱり挿し絵にするには描きづらいので、デザインを練り直すはめに…! あと、眉毛(?)もあるのもどんなもんでしょう?


〈i144153|14233〉

※一からやり直したのですが、やっぱり描きづらい…! とまた白紙にもどります♡


〈i144154|14233〉

※メインのキグルミ、この最新のデザインです♡ 結果、描きづらいのはどれも一緒だったのですが、とりあえずこの作者本人的には気に入ってます♡♡ こうなりゃもはや慣れるしかありませんよね♪

 ちなみにこの全身のデザインも当然あるのですが、それはまた後ほど…!

 つたないラクガキ、最後までご覧いただきありがとうございました♡

 以上です♡♡ 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ