表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
メロディアス・スカイ  作者: 玖里阿殻
chapter 02:yellow moon
22/82

ねえ、お月さま。わたしね、

 おじいちゃんとおばあちゃんが大好きだった。おじいちゃんはいつも笑っていて、わたしのすることを何でも許してくれたの。昔にね、おじいちゃんが大事にしていたお茶碗を落として割ったことがあったんだけど、おじいちゃんは笑顔でわたしの頭を撫でてくれたんだ。わたしは悪いことをしたら、いつもお母さんとお父さんからきつく怒られていたから、どうして笑って人を許せるのか不思議だった。しわしわの手で頭を優しく撫でてくれたその温かさは、いまでもはっきりと思いだせる。おばあちゃんも、そう。おばあちゃんはおじいちゃんと比べればすこし怒りっぽくて怖かった部分もあったけど、いつもわたしに子守唄をきかせてくれたの。わたし、おばあちゃんの声が好きだった。あの声をきくととても心が穏やかになって、ぐっすり眠れたんだ。子守唄に合わせて、わたしのからだをゆっくり触れるように叩いて……それを、わたしが眠るまでずっと続けて、繰り返して……だからわたし、怖い夢をみても平気だった。おばあちゃんがいてくれたから。おじいちゃんが笑ってくれたから。二人が、いつまでもそばにいてくれたから。だからわたしは、こんなに元気になれた。立派に、ここまで歩いて来れた。


 わたしね。

 しあわせだった。

 ほんとに、しあわせだったよ。

 だから、ありがとう。

 ありがとうね。

 ばいばい。

 またね。


 またね……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ