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歩みゆくは魔王か英雄か  作者: mebius
リュートと言う男
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ナターシャ

 お父様!見ていてください!私は立派な騎士になって見せます!


 依頼斡旋所の前で決意を胸に佇ずむ少女が居た。

 18歳ほどの年齢で、長い黒髪を後ろで束ね、整った美しい顔は人目を引くだろうが胸に秘めた想いゆえか、鋭い目つきが男を寄りつけないのではないだろうか。


 そんな彼女は祖国では名門と知られる騎士学校の制服に身を包み分不相応な程の意匠を凝った長剣を帯剣している。


 なるほどすばらしい出で立ち、そう言いたい所だが残念な事にその名門学校の制服は汚れ、スカートなどはほつれてしまっている。本来であれば白と赤を基調とした格式高いその制服はその二点により逆にみすぼらしさを醸し出していた。



 彼女――ナターシャは有名な騎士を輩出してきた貴族の出でその生まれから騎士としての未来を切望し騎士学校へと入るも卒業を目前へと控えいよいよ騎士となる寸前、その身をやつしたのだった。

 騎士として名高い名門貴族、だがその高潔さゆえか領土から利益は生まれず年々衰えかさんだ借金がついには領地を剥奪。貴族から一転平民へと落ちぶれた。


 さらなる追い打ちと落胆した父は病に倒れついには亡くなる。程なく一家は離散、ナターシャも騎士となる前に学園を去ることとなり一人路頭に迷う。


 そんな不幸を絵に描いたような少女はそれでも騎士への道を諦めきれず第二の道、依頼斡旋所で一躍有名になる事で騎士となる、そう決意しここナーガディアン国にある斡旋所へと至ったのであった。


 (ここで名を上げて騎士になるんだ! 絶対に!)


 少々入れ込み過ぎ……もとい燃え上がるような決意を秘めナターシャが門をくぐると喧噪な人の群れが彼女を歓迎していた。

 がやがやと騒がしいその光景は荒くれもの達が笑い。喧嘩し、騒々しい様子を作り上げているのだ。

 今までの彼女の生活の中では見たことの無い景色、騒がしさ、それが彼女を「うぅ」と尻込みさせる事となるが「これくらいでへこたれてちゃ駄目だ!」そう自分へと言い聞かせ中へ入り受け付けへと歩みゆく。


 「あっ! あの! 冒険者として登録したいのだが」


 「はい、登録の方ですね、登録料として銅貨20枚を頂戴いたしておりますのでそちらののお支払いとこちらの用紙への記入をお願いします」


 「と……登録料がいるのか?」


 「はい、登録の確認後お渡しするランクカードの発行手数料となっております」


 ナターシャは歯噛みした、登録料が必要だなんて聞いていない!彼女の昔での生活ならいざ知らず彼女の今の全財産は銅貨10枚、そう足りない。なんとかこれでもっとも安い黒パンを買い依頼をこなす事で収入を充てにしていたのだ。


 まさかこれで私の夢は終わってしまうのか!


 銅貨20枚、たったそれだけの額が支払えずナターシャは夢を諦める事となる。

 ナターシャの脳裏に行く末が浮かんだ。


 「買ってくれませんか?」みすぼらしい格好をするナターシャ、そのナターシャの体を嘗め回すような目を向ける脂ぎった男。そして男が親指をぐっと立てると二人はそのまま近場の宿屋へと……


 涙が出てきた。最早ナターシャの脳内はそんな妄想で締め尽くされていた。

 だがなんとか頭を振って妄想を閉め出したナターシャは仕方なく立ち去ろうと踵を変えそうとした。その時。


 「お姉ちゃん足りないの?」


 一人の少女が声を掛けてきた。

 白い髪を腰まで伸ばし、黒と赤の混じったドレスを来ている。その頭をこてんっとよこに倒し訪ねる少女の顔はとても愛らしいものがあった。


 その少女の言葉にナターシャは考える。銅貨20枚、およそ黒パンが4個買える、たったそれだけの額を払えないなんて答えるのはとは元とはいえ貴族の恥さらしではないか?


 だが!


 ぶんぶんと勢いよく首を振りその考えを消す、もう昔の私では無い、恥を忍んででも生きなければならないのだ。そう思い直し素直に答える事にした。


 「あぁ……あぁ手持ちが無くてね。家に財布を置いて来てしまったみたいだ」


 プライドが余計な言葉を付け足した。


 そう言うと少女は懐をごそごそとまさぐった後ナターシャへと手を差し出した。


 「はい、じゃあこれお姉ちゃんに貸してあげる」


 その手には銅貨20枚があった。


 なんと!若干10歳ほどに見える少女がナターシャに恵もうとしているのだ。

 ナターシャにはその少女から後光が差して見える。


 だが幼気な少女から恵んで貰ってもいいのだろうか?しかも、しかもだ。彼女はすぐに返すことができない、全財産が足りないのだから。


 それでもナターシャは誘惑に勝てず口を告ぐ、告いでしまった。


 「あ、ありがとう後で必ず返す、私はナターシャだ。名前を教えて貰えないか?」


 「うん、リリスだよ。大丈夫! お兄ちゃんがね、困ってる人が居れば助けなさいって言ってたからお姉ちゃんに貸してあげるね」


 なんて心の清らかな少女だろう。そう思いながらナターシャは受け取る、肩膝を突き受け取るその姿はまるで騎士拝命の儀式のようだった。場所と相手さえ考えなければ……だが。


 「うむ、ではこれでお願いします」


 受付へと銅貨20枚を差し出すその顔は引き締まっている、凛々しい。男であれば見惚れるかもしれない。


 「は……はい、少々お待ちくださいね」


 だが受付の女性は頬をひくひくとさせ引いている。そうだろうどこの世界に少女からお金を借りる大人がいると言うのか。しかも銅貨20枚だ!


 だが仕事は仕事、そう思う受付嬢は処理を進める。


 そうしてナターシャは無事登録を終える事ができた。


 「はい、それではこちらがランクカードと依頼とシステムのマニュアルになりますから良くお読みくださいね」


 そう言われ、受付の女性がナターシャへとカードと分厚い冊子を手渡してくる。だがその目に蔑みが入っている事にナターシャは気づかない。気づかないままそれらを受け取りナターシャは夢へと想いを走らせる。


 (これで私も今日から冒険者だ)


 紆余曲折しつつも騎士を目指す事ができる、それがナターシャの喜びだった。


 そしてナターシャは夢を繋げてくれた少女へと向き直り告げる。


 「リリス、本当にありがとう、後程必ず返すから家を教えてくれないか?」


 「うん、いいよ~ ちょっと待ってね。今ほうしゅ~を受け取るから」


 「はい、リリスちゃん今回の報酬銀貨30枚確認してくださいね」


 どしゃっとリリスの前に金袋が置かれた。


 「うん! ありがとう美人のお姉さん!」


 「まぁ、リリスちゃんも可愛いわよ」


 「えへへ」


 そう言って受け取ったリリスは袋の中を開け銀貨の枚数を数えだす。


 その中身を見てナターシャは驚愕する。

 銀貨30枚!丸まる一月は生活できる程の金額である。その額を一度の報酬で得ているのだ。


 (く……黒パン600個!)


 既に基準が黒パンとなってしまっているのがナターシャの苦労を伺わせる。

 しかしだ、こんなあどけない少女がそれだけの額を稼げるとなると冒険者とはなんてすばらしい仕事だろう。そうナターシャは思――


 「あの、リリスちゃんと同じ真似は止められた方がいいですよ?」


 受付の女性が見かねて声を掛けた。


 「え?」


 「リリスちゃんはまだ子供ですけどそれでもBランクの依頼を一人でもこなすような子ですから、同じように考えて無茶な依頼の受け方をして大失敗する人がいるんですよ」


 未だ登録間もないナターシャが知るよしも無いが、Cランク以降の依頼は危険が伴う物が多い、それなりに強力な魔物の討伐やそれに準ずる調査といったものが多くなる。


 「特にCランク以降は危険な事もあるので皆何人かがチームとなって受ける事が多いのですよ、だからリリスちゃんの真似をしよう等と思わないでくださいね?」


 そう話しながら受付嬢の目はじっとりとナターシャを射貫いている。


 「わ……わかった」


 まさに自分の考えを読まれ、たじたじとなりつつもなんとかそう答えた。


 「分かって貰えたら良かったです、リリスちゃん。今日はもう帰るのかしら? お兄さんにもよろしくね」


 「うん! お兄ちゃんに言っておくね! お姉ちゃんいこっか!」


 そういってばいばーいと受付嬢に手を振ってその場を後をしようとするリリスにナターシャは慌ててついて行く。


 斡旋所の外へと二人は出、ナターシャはリリスの隣を歩く。


 「しかし、リリスは凄いのだな一体何を倒したのだ?」


 「えっとね~グリフォン? お空を飛ぶ怪獣さんだよ」


 その話にナターシャは驚愕した。グリフォン。空を狩る人の身を超える巨大な魔物。それをリリスは一人で倒したと言うのだ。ナターシャ自身戦ったことは無いが文献で読んで知っている。通常3~4人程で討伐するような魔物であり恐らくナターシャには無理だろう。


 「本当に凄いのだな」


 「えへへ、ありがとうお姉ちゃん」


 そういって笑うリリスの笑顔はとても愛らしくナターシャはまるで妹を見ているような気持ちになった。


 「ああ、本当に凄いよ。それで家はどこにあるんだ?」


 「もうすぐ着くよ。あのお家だよ」


 そう言ってリリスが指指す先をナターシャは見る。


 小さい。


 それがナターシャの印象だった。

 元貴族のナターシャとはいえ庶民の家の大きさくらいは分かる。

 それにしてもその家は小さい。普通の一般的で子供が居る者が住む家ではない。


 「リリス? ご家族は住んでいるのか?」


 「うん、お兄ちゃんが一緒だよ」


 「他には?」


 「リリスお兄ちゃんだけだよ?」


 察する事ができればあまり訪ねる事はないだろうが残念ながらナターシャは頭よりも先に口が出る性格だった。若干の後悔が生まれるがリリスに気にした様子はなかった。


 「ついたよ ここがリリスのお家」


 「そ、そうか では借りた分を返す時にまた来る事にするよ」


 「え~? お姉ちゃん家に入らないの? お兄ちゃんもきっと喜ぶよ」


 「だが迷惑では……?」


 「お姉ちゃんリリスと一緒は嫌?」


 目を潤ませ上目使いでナターシャを見るリリス。まさにその一撃は巨人の鉄槌が如くナターシャの胸を襲う。


 「うん、分かった入ろう。迷惑でなければよろしく頼む」


 即答で意見を変えた。


 「うん!」


 そうしてリリスがドアを開け勢い良く中に入って行く。


 「お兄ちゃん、ただいま~」


 そのまま猛然と駆けるかのように中で何やら作業をしていた男へと飛び着いた。


 「おお、リリス戻ったのか? 怪我はないか?」


 「うん! グリフォンをやっつけたよ!」


 「そうか、がんばって来たんだな。偉いぞリリス」


 そういってリリスの頭を撫でる男は扉の方へと目を向けるとナターシャを見た。


 「リリス、その人は?」


 「えっとね、お金を貸したお姉ちゃん!」


 「お金を?」


 ぴくっと男の眉間に皺がよりナターシャを見る。


 「事情を聞こうか?」


 若干声に重みが増している。鋭い眼光がナターシャを射貫く。


 一瞬ナターシャは寒気を感じ肌が突然泡立つ、まるで心臓を鷲づかみされたようにドクンと脈打ち汗が噴き出す。だが借りたのは事実。説明しなければならない、その使命感が後ずさりしたい気持ちを抑え、なんとか声を絞った


 「あ……いや、斡旋所の登録料をお借りしてだな」


 答えると男は上を向き考え込み答える。


 「登録料……確か銅貨何枚かだったかのあれか?」


 「20枚だよお兄ちゃん」


 リリスがそう言うと男の寄った眉は戻りその顔に笑顔を浮かべる。


 「なんだそうか、てっきり大金を貸したのかと思ったぞ、まぁいい、えっと君は」


 「わ……私はナターシャと言います」


 未だ鳥肌が収まらずに居るナターシャはしどろもどろになりながら答えた。


 「そうか。ナターシャさん、茶でも入れよう、中へ」


 「し……失礼します」


 (な……なんだったんだろうさっきのは)


 そう考えながら男に促されるままソファーへと案内され男がテーブルへとお茶を置く、そのまま男は対面へと座った。リリスも座る。


 男の膝へと……。


 「ナターシャさんだったね。、俺はリュート、リリスの兄だ」


 膝に座るリリスになんら動じる事なくリュートは話す。恐らく日常的なことなのだろう。


 「は、はいナターシャと言います」


 そうして男の顔を見る。恐らく20に届くかどうかの歳つき。整った顔で長めの黒髪に白が混じり鋭い目つきと痩身の体が狼を連想させる。顔だけ見ればやや粗野である。だが身に纏う黒い服と穏やかな声音、その物腰のせいか落ち着いた雰囲気を放っている。膝に座るリリスが全てを台無しにしているような気はするが。



 「登録料という事は駆け出しという事か?その服装と豪華な武装。何か訳ありか?」


 「あ……いえ」


 いきなり見ず知らずの者に言っていいものか。そうナターシャは思いもしたがお金まで借りている。そう思い正直に話す事にした。


 「いえ、実は騎士を目指して学園にいたのですが家が没落してしまい、今に至ったのです……そのそれで冒険者となって名を上げれば騎士になれると思って……」


 「そうか、この国は小国、人材に不足していると言う話もあったな、任官するにはうってつけか」


 「はい、不忠義かもしれないとは思いましたが祖国では既に騎士になる道が残されていませんでしたから」


 彼女の祖国では既に領地を捨て去る事となるほどの借金を抱え信頼を失っている。そうして半ば追われるような形で一家は離散する事となったのだ。


 「しかしこう言ってはなんだがその格好とリリスから登録料を借りた所を見ると……」


 「あ……はい、実は……殆ど一文無しなんです」


 そういって肩を落とすナターシャ。そのナターシャにリュートが追い打ちを掛ける。


 「銅貨20枚が払えないと言うのは……」


 さらに肩を落とし大打撃をうけるナターシャ。

 

 その様子を見てリュートが人の悪い笑顔を浮かべた。



 「すまない、虐め過ぎたかな。今日はここに泊まっていけ。泊まる所もないんだろう?」


 「いっ! いいのですか?」


 「ああ、リリスはどう思う?」


 「お姉ちゃんといっしょがいい!」


 リリスは顔に喜色を浮かべ声も弾んでいる。


 「リリスもそう言っている事だから構わない。狭い家で良かったらだけどな」


 「いえ! そんな事はありません! ありがとうございます」


 「なら暫くはここを拠点に一人立ちできるまで依頼をこなせばいい、見たところ武装は良いみたいだしな。すぐに一人立ちできるだろう」


 装備だけは。そうとも捕らえられるものいいだが、ナターシャは気にならなかった。

 恐らくあの妹にこの兄あり、と言った所なのだろう、先ほどの悪寒を思い出すとリュートを畏怖せざるを得なかった。


 「まぁそんなに硬くなるな。敬語も使わんでいい、くつろげ」


 

 硬くなったのはあなたのせいです!


 そう言いたくなる気持ちもあったが失礼な事は言えないとナターシャは我慢する。そうしてる内にリュートは膝に乗せたリリスを脇に手を入れ持ち上げるとソファーへと座らせ立ち上がった。


 「さて、それじゃあ飯にするか、リリス、今日は何がいい?」


 「ステラおばさんの所がいい!」


 「そうか、じゃあ今日は外食と行くか、えっと、ナターシャか、行くぞ」


 「わ……私はお金が……」


 「それ位気にするな」


 「ありがとうございます」


 何から何まで世話になりナターシャの心中は感謝の一言に尽きていた。


 そういってナターシャはリュート達に連れられ5分程歩いた宿へと入る。


 「おばさ~ん」


 リリスがそう言うと部屋の奥から恰幅の良い女性が出てきて笑顔を浮かべる。


 「あら、リリスちゃんにリュートじゃないかい久しぶりだね。食事かい?」


 「ああ、頼む、それとこの子の分も頼むよ」


 「あら可愛い子を連れてきたわね。リュートの彼女かい」


 「いや、今日から居候になったナターシャだ」


 即答で否定されナターシャは若干気落ちする。好き嫌いを抜きにしても全く女性として意識されていないように答えられるのは何か嫌だった。


 「ナターシャです。暫くリュート殿の所に泊めていただく事となりました」


 そういってナターシャは頭を下げた。


 「あら、お上品な人だね。リリスちゃんをリュート一人に任せておくのは心配だからねリリスちゃんの事よろしくお願いするよ」


 「はい、確かに」


 リュートが渋い顔をしているが何も言わないのはおおよそ図星と言うことなのだろう。黙って食堂へと足を向け席へと座った。それに習ってリリスやナターシャも席へとつく。

 「ずいぶんと親しげなのだな」


 「ああ、良く世話になった。特にリリスの事でな」


 「そうか。そうなのだろうな」


 「ステラおばさんのご飯おいしいよ~」


 「それは楽しみだな」


 そうナターシャは言い、リリスやリュートと話していく、そうこうする内に


 「さぁ沢山お食べ! リュートはいつもの特盛りでよかっだろ?」


 「ああ、ありがとう」


 そういって渡された三人へと食事が配膳されたがどうみてもおかしい。


 何が?


 リュートへ置かれた量だ。ゆうに5人前以上の量がある。


 「そ……それを食べるのか?」


 「ああ、俺の体は燃費が悪くてな。良く驚かれる、それより食おう」


 さも何ともないようにリュートが料理を口へと運ぶ。リリスも一心不乱に食べ始める。


 呆然としたがナターシャも口をつける。


 「おいしい」


 その一言だった。黒パン生活が長かったと言うのもあったが家庭の味とでも言おうか、その料理には暖かみがあった。


 「嬉しいね、沢山食べておくれよ」


 そう言って笑顔で食べるリュート達の食事風景を嬉しそうにみる。


 「本当に二人とも元気になったもんだよ、今と昔とじゃ大違いだよ」


 「そんなに違うのですか?」


 「それが全然さ、特にリュートなんて昔はにこりともしなかったものだよ」


 「おい」


 「あらあら、怖いねぇリュートは目つきが怖いんだからそう睨むものじゃないよ」


 そういってステラは厨房へと引っ込んでいった。


 「そんなに変わったのだなリュート殿は」


 「子供の頃の話だ、そういう時期だってあるだろう。色々な事があれば笑えなくなる事だってある、まぁお前も色々あったんだろうが子供はさっさと食え、食うのが子供の仕事だ」


 「わ、私を子供扱いしないでくれ」


 「ムキになるのが子供らしいがな」


 そう言ってリュートは笑う。笑えなかったと言うのが嘘のように。

 そうして三人は食事を取り家えと戻るとナターシャは願いを申し出た。


 「頼みがあるんだが、明日初めて依頼を受けてみようと思うんだ、それに同行して貰えないだろうか? その……正直言うと少し不安なんだ」


 「そうか、俺は構わん、リリス行くか?」


 「いく~!」


 「ああ、なら三人で行くとしようか」


 冒険者の依頼には大なり小なり危険があるがこの二人は全く気にする様子はない。


 「それで何の依頼を受けるんだ?」


 「やはり魔物の討伐を受けてみたい。自分の力が通用するのか試しておきたい」


 そうナターシャが言うとリュートはナターシャを上から下へと眺めた後告げた。


 「うん、まぁいいんじゃないか」


 何か隅々まで確認された気がする……


 そうナターシャは思うも同行を受け入れてくれたリュート達に感謝するのだった。


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