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歩みゆくは魔王か英雄か  作者: mebius
青年のゆく先
37/75

たどり着いた村

 旅は順調に進んだ。

 幾度か魔物や野党に襲われる事はあったがグレイを筆頭に他の者の力量もただの雑兵ではない。

 そんな者達を乗せた馬車を襲って無事に済むような者はおらず、全てを返り討ちにして馬車を進ませた。


 幾度と無く少女達による熱い(底冷えするとも言う)女の戦いが繰り広げられてはいたが、概ね旅は順調に進み一月程が経過し今へと至る。


 一日に100km程の距離を進む馬車で一月、どれほど遠くへ来たのかは想像に難くないだろう。


 そうして旅が進む中変化が起こる。

 突如何も無かった荒野を進むうち辺りに霧が包み込み視界を狭める。


 霧が出始めてどれくらい進んだか、レイスが馬を止めこちらへと向き直り口を開いた。

 「そろそろ到着じゃ、ここより先は馬車を降りて歩いて進むのじゃ、皆食料を持ち準備するのじゃ」


 レイスにそう言われて食料を積んだ荷を持ち降りていく。

 グレイが降りて霧に包まれた辺りを見回していると先に降り、馬車の先を見に行っていたレティが戻ってきた。


 「グレイ! この先崖になってるよ」


 「そうじゃ、谷じゃがの、ここを降りて行くのじゃ、馬車では進めんからの」


 こんな所に何があるのか、グレイ達は知らない、道行きがてら地図を確認して居たがこの辺りは既に地図には乗っていない未開の地。何があるか分からないグレイは気を引き締める。


 「うむ、本来なら降りるのも一苦労じゃが幸いグレイがおるからの、グレイ、重力魔法でわしらの周囲の重力を操作して下ろしてくれるかの」


 それが一番楽な方法だろうと、グレイが魔力装填をして解き放つとグレイの周囲の重力が緩まり5人の体が軽くなる。


 「うむ、これなら大丈夫じゃろう、では降りるとするかの」


 グレイと離れないように少女達、レイスと手を繋ぎ崖へと足を踏み入れる。


 地を失った5人達の体はグレイの重力操作を受けゆっくりと崖を降りて行く。

 5分、10分と達尚も崖を降りて行くグレイ達。


 「深いな、この先に何があるんだじいさん?」


 「そうじゃの、それくらいはもう話しても良かろう、この先にはグレイ、お主に関係した村がある」


 村。


 グレイに関係する村、そう言われグレイに心辺りは一つしかない。

 

 ――まさか。


 グレイの鼓動が高まる。


 さらに下っていく事10分、かなり深い所まで降りてきた、だが光が陰る様子がない。

 一旦は薄暗くなっていったものの、今度は逆に周囲が明るくなっているのだ。未だ霧で包まれてはいるが光があるなら困る事は少ない。


 と、そうしている内に両足が地についた。

 霧のせいもあってどれくらいの距離を降りてきたのか分からない。

 辺りを見渡すグレイ達を置きレイスは歩みを始める。


 「こっちじゃ、着いてくるのじゃ」


 グレイ達は警戒をしながらレイス達について行く。


 「警戒せずともよい、この辺りには魔物はでん、魔物が近寄れぬのじゃ」


 そうか、と警戒を緩めつつも完全には解かずついて行く。


 レイス以外の4人は辺りを見回しながらレイスについて歩く。

 

 「ほれ、見えてきたぞ、あれじゃ」


 歩みゆく内に徐々に霧が晴れて行く。

 そうしてレイスに言われ目を向ける先には一つの村があった。


 大きい……とは言えないかもしれない。

 だが木製の入り口を囲むアーチに石作りの地面。よく整備されているようだ。


 グレイの心音は徐々に大きくなる。


 まさか本当に?


 そう思いグレイは我先にと駆けて行く。


 アーチの門をくぐり抜け回りを見渡す。


 活気がある。人の笑い声が聞こえ、すれ違う。


 もしここが想像している村なら――


 そう中心には広場があるはずだ。

 石像が佇む円形の広場。


 まさか……まさか……


 それ以外考えられず足が止まってくれない。

 村の中心へと駆けて行く。


 そして見つけた。


 広場だ。


 広めに取られた円形の広場、その中心に石像が位置取り佇んでいる。

 周りで子供達が遊び、大人の女性達が話し込んで居る。


 ここは……


 「グレイ! もう先に行かないでよ」


 レティが声をかけて来る、皆が先を行くグレイを追ってきた。


 「じいさん! ここは……?」


 「そうじゃ、お主の生まれ故郷じゃ」


 何故レイスが知っていた?普通ならその疑念がわくだろうがグレイを包む望郷の念が全てを追いやった。


 違和感。


 冷静に考えれば色々と目につくだろうが今のグレイが気づく様子もなくグレイの心は喜びで打ち震えていた。



 そんなグレイ達は声を掛けられる。




 「あなた達は?」




 振り向き、声のする方を見ると。


 一人の少年がいた。


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