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歩みゆくは魔王か英雄か  作者: mebius
新たな生活
17/75

一先ずの決着

 「それで?こやつは何者じゃろうか?」


 「影を操った所から見てこの間じいさんが言ってたバンパイアか?」


 「バンパイア~?」

 レティが首をこてっと横に倒した声を漏らした。


 「ふむ、恐らくそうであろう。影を使う魔法は人間ではあまりいないからの。大事なのは目的じゃな」


 「そうか、別の種族と言っても意思の疎通はできるのだな」


 「兄ちゃん、そこからかよ!」


 フードの男を捕らえたグレイ達は村へと男を連れ帰り皆で話している。


 雌雄は決した。


 フードの男を気絶させたグレイはそのままレイスの加勢に加わりキマイラを一蹴。


 その頃にはドルジ達はグリフォンを討伐し、レティ達はゴブリンを撲滅していた。


 「意思の疎通が取れるなら目的を聞き出せるな」


 そういうグレイは椅子に座ってレティの治療を受けていた。

 戦いの後、左腕から血を滴らせるグレイを見たレティは顔を青ざめさせた後、鬼気迫る勢いで村へと連れ帰りこうして治療している。

 重傷ではないのだがレティの魔力で治癒力を高め大げさなまでに包帯でぐるぐる巻きにさていた。


 レティを見ると何やら達成した顔をしている。非常に良い顔である。


 「そうだな、それは明日で良いだろう。今日はさすがに皆疲れてるしな、こういう団体行動での依頼を終わらせればやる事は一つだろ?」


 レティとレイスは力強く頷いているがグレイには心辺りがない。


 「何?」


 本当にわからんのかこいつ。と心配した顔をしながらドルジは応える。


 「おいおい!宴に決まってるだろう兄ちゃん!しかも兄ちゃんは一番の働きだったからな。今夜は寝かせねぇぜ!」


 「寝かせないよ~!」


 レティが言うと何やら意味が違うような気がするが黙っておこう。


 そのまま戸惑っているとレティにがっちりと腕をとられ立ち上がらされるとそのまま酒場の方へと連行される。腕に押しつけられた胸の感触もされるがままに連れて行かれる原因の一つであろうか。



 レティと立ち去っていくグレイを見てレイスはほほえむ。


 「じいさんあんたも凄かったがあの兄ちゃんは何者なんだ?強い、所じゃないぞあれは……恐らく人間じゃないだろう?」


 「あやつはあやつじゃよ。わしの孫みたいなものじゃ」


 はぐらされたかとドルジは思うがレイスのその表情は何故か悲しそうだった。













 「こんな時間から飲んでるのか……」


 

 討伐が終わって戻ってきたのはまだ夕刻前。広場まで出ると外でどんちゃん騒ぎが始まっていた。


 「ほらっグレイいこ!」


 手を引っ張って中へと連れて行くレティ。

 レティに連れられて広場へと歩いて行くと一斉にグレイへと視線が集まる。


 「お~!今日の英雄様じゃないか!」


 その言葉に気恥ずかしさを覚える。

 こっちだと手招きで呼ばれ席に着く。


 村人達も集まって飲めや騒げやとなっている。


 「ほ~まだお若いのに凄いですな。凄い活躍だったそうで」


 「いや、俺は……」


 たいした事はしてない………そう言おうとしたがレティが割って入る。


 「そうだよ! グレイはすごいんですから!」


 「お~彼女さんも素敵ですな~! やはり強い男と言うのは魅力的ですか?」


 レティが全部かっさらっていった。


 レティが熱弁するのを尻目にいるとこちらへ来たドルジが話しかける。


 「お居たな!兄ちゃん。今日は無礼講だからな。飲んじまえ」


 「うむ、今日くらいは羽目を外したらええ」


 レティを見ると。


 「―――でしょ? それに―――な所も素敵で―――可愛いの!」


 何やら色々と力説している。


 あれに近づくのは危険だと思いレティから離れドルジ、レイスと食事をしながら話す。

 「まだ十四?それじゃあ兄ちゃんは学園に行ってるのか」


 「ああ、まだ入って二日程しか経ってないけどな」


 「ほ~兄ちゃんなら良い成績だろう。学園で良い成績を残して卒業すれば希望するものは騎士や宮廷魔術師になれるらしいがなるつもりなのか?」


 「いや、全く考えてない騎士なんて柄じゃないだろう」


 「ほぉ~じゃあ何になるんだ?」


 「特に考えてはないな、でもそうだな、いつか村へ戻ってみたい」


 「お主が生まれた村かの?」


 「ああ、今ではどうなってるか分からないがどこにあるのか、どうなっているか確認したい」


 グレイの顔に少し声に哀愁が混じ、レイスの顔が何故か僅かに曇る。望郷の念は分かるがレイスは村を見る事で復讐の念が強くならないか心配しているのだろうか。


 「そうか~場所も分からないのか、名前も分からないのか?」


 「ああ、名前も分からない、ただ唯一覚えてるのは村にあった石像だな」


 「石像?」


 「ああ、形は覚えているから見たらそれだと分かると思うがな。手がかりはそれしかない」


 

 「そうか見つかると―――」「何話してるの~!」


 レティこっちに来ていた。


 「グレイは一緒に居なきゃ、めっ!」


 顔が赤い。飲んだようだ。10歳を超えた頃になるとワインを水で薄めたものを飲むようになる子供は多い。だがレティはそれでも酩酊……とまではいかないだろうが酔っ払ってしまった様だ。


 「お~!若いもんは熱いな!レイス向こうで大人の話でもしに行こうや」


 「そうじゃの、グレイ、レティシア様を頼んだぞ」


 そう言って二人は離れて行く。その後はレティからの言葉の雨である。

 それは夜が更け、レティの頭がグレイの膝元へと落ちるまで続いた。


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