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歩みゆくは魔王か英雄か  作者: mebius
新たな生活
14/75

青年は絡まれる

 夕刻になり村へと到着した三人は宿を確保した後、レイスはギルドへと向かう。

 情報の整理と他の冒険者達と連携を取る必要が有る為だ。


 「ふむ、あまりよくはないの」


 宿の酒場で待っていた二人の元へレイスが戻ってきて二人に聞いて来た事を話した。


 「魔物の数はおよそ二百。森の中で群を形成しているようじゃが大型も確認されている。大型のキマイラやグリフォンなど、小型の魔物はハウンドドッグとゴブリンが主じゃな。集団の中心に行くほど大型が集まっていたらしいが居るらしいが感づかれてしまう為あまり近くまでいけず中心には何がいたか分からなかったようじゃ」


 「多種多様な魔物同士が序列を決めてボスを中心に群れを作る。ありえるか?」


 「そうじゃの。どちらかと言うと操っている者がいると考える方が自然じゃの」


 「操っているやつを狙うしかないか? 冒険者の数は?」


 「冒険者の数がおよそ50、小型の魔物は対応できるが大型は難しいの」


 「操ってるとしてもその魔物か何かが後方や中心にいる保証はないんだな?」


 「そうじゃの、現状で分かる範囲はこれくらいじゃの」


 「どう行動する?」


 「あまりグレイを目立たせたくなかったが仕方がないの。冒険者達と共に迎え討って大型が現れればグレイが率先して向かうしかないかの」


 「ただ位置的には老人一人に子供が二人だからの。後方へ配置されるじゃろうから大型が前線に出次第グレイは自分の判断で向かえば良い。レティシア様はこれが初の依頼じゃからの。わしはレティシア様の護衛に回りつつ二人で後方支援じゃ」


 レティが自分の役割を聞いてうんうんと何度も頷いている。


 「分かった。それで冒険者全体としてはどう動くんだ?迎えうつのか、こちらから行くのか」


 「レイグラントへの支援要請で人が来るまでは待機じゃの、その間に魔物が襲ってこれば迎撃、人が集まればこちらから攻めるじゃろう」



 「よぉそこの三人!」


 隣のテーブルで飲んでいる三人組の冒険者達が声をかけて来る。


 「老いぼれたじいさんとひよっこ二人が真剣に話してるじゃねぇか」


 「そうじゃの、弱い分命がかかっておるからの」


 レイスが応える。レティは視線から外れる為にグレイの後ろへと隠れる。グレイは鋭い目で冒険者を見ている。


 「へぇよく自分たちの事を分かってるじゃねぇか。おいそこの嬢ちゃん。俺たちに酌しろよ。戦いには役に立たなくても夜の相手くらいできるだろう?」



 そういって冒険者の一人が立ち上がりこちらへ向かってくる。


 レティは恐怖からグレイの服をつまむ、その目には恐怖が宿って居る。



 「おう坊主、大層な剣ぶら下げて睨んでるがびびってるんだろう? さっさとこっちに嬢ちゃんを渡しな」


 そう言いつつニヤニヤと笑っている。テーブルに着く二人の冒険者も同じだ。

 

 グレイはただ一言返す。レイスがやれやれとあきらめた顔をしていた。


 「消えてくれ」


 「あっ!」


 「消えろと言った」


 気に障ったらしくグレイに掴みかかってくる。

 腕を躱し懐に入ったグレイは掌底を男のあご先めがけ打ち下ろす。

 脳震盪を起こした男は酔いもあってか。まっすぐ立てず崩れ落ちる。

 

 「てめぇ!」


 激昂した残りの二人が剣を抜きこちらへ向かって来るが、待ってやる必要もない。

 瞬く間に二人の眼前に踊り出たグレイが剣を振り上げる間も与えず掌底で二人のアゴを打つ。


 そのまま残る二人も音を立てて崩れる。

 意識のあるまま平衡感覚をなくして倒れる二人がこちらを睨んでいる。


 脅す必要があるか。


 そう判断したグレイはプロミネンスを抜く。巨大な大剣を片手でぐるりと回すと肩に背負う。


 「叩き切るぞ」


 重厚な重さが感じられる大剣とグレイの身に纏う裂帛した空気が喧噪な酒場を静寂な世界へと支配する。


 冒険者達の表情は強ばっている。身動きできない状況で大剣を振り下ろされれば一溜まりも無いだろう。


 「わっ……わかった行く、行くから剣をしまえ」


 なんとか足を手で支えながら立ち上がるとそのまま慌てて酒場を出て行った。

 

 

 穏便に済ますつもりだったのだが激昂されるとは思わなかった。人の機微とは難しいものだ。と思っていると周りから賞賛の声が届く。


 「兄ちゃんやるじゃねぇか!」


 そう言って大柄な男が声をかけてきた。


 他に席に着いていた男達も近寄ってくる。


 「話していた事を聞く限り兄ちゃん達も魔物の討伐に来たんだろう?一緒に飲もう」


 「い……いや……俺は……」


 「そうじゃの連携を取る為にも仲良くなっておいて損はない、グレイ構わぬな?」


 「あ…あぁ」


 何やらレイスもレティもこっちを見て嬉しそうにしている。


 荒事にはなったが痛めつけずに事を納め、周りから評価をされるグレイをレイスもレティも歓迎していた。奴隷島に居た頃のグレイなら問答無用で叩きのめして居ただろう。

 未だ機微は理解できないようだが少なからず気を回せるようになってきているのを成長と呼ばずになんと言うだろう。

 現に回りから恐怖や敵意を浴びずに彼を称え近づくものが現れて来ている。そういった者達が増えればグレイは大丈夫だとレイスは考えている。


 こうして宴会のようになった酒場で夜は更けていく。


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