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恋じゃ愛に敵わないとまだ知らぬままに

~~~実況されるツイート~~~


始まった~!!!!

カツオだ!カツオ!特攻一番機は!

なっ!いきなり大乱闘!

うおおお武藤が阿久津殴ったと思ったら返す刀、裏拳でカツオまで!

もう、ぐちゃぐちゃだ~!

こりゃ~あっさり決着つくんじゃねえか!


~~~現場~~~~


「よしっ!武藤が抜けてる!」はるか

「だな、無駄が無い。」川上



武藤は、打ち出したパンチを引く動作も攻撃に変える

一人だけ、二発殴っているような・・


「よしっ!今日カツオがいいぞ!」渡辺

「ああ、キレてる!」金山


いわゆる当り日というか、調整がうまくいったというか

普段より少しプラスアルファーで何か出せるような

アスリートが自己ベストが出る日のような



「まだ技術戦か・・・」岩永たまにチラッと見るだけ

「ええ・・もうすぐすれば・・・」山本


この二人は喧嘩を知っている。

ここ一番の、絶対負けられない喧嘩は、ここからが本番・・



「なっ!どうしたの!?もっと距離を!」はるか

「いやっ、はるかちゃん、これが喧嘩なんだ・・」それなりに喧嘩知ってる川上


最初の体力あるうちは、殴ったり、それを避けたり

スピードや技術・パワーで決定打を狙う。

だが、この出だしで決めきれなかったら・・


「喧嘩は、もう根性戦なんだ・・」川上

「あっ!もうお互い胸倉掴んで殴り合いに!」はるか



「よしっ!よく耐えた!阿久津!」渡辺

「よしっ。何とか持ち込んだ、こっからだ!」金山


「ぶはあ。ぶはあ。ぶはあ、くそっ、決めきれなかった」橘、相当疲れてる模様

「・ん・・こ・・から・・だ!」(喧嘩はここからだ!)阿久津


もう、阿久津は顔面腫れまくって声もまともに出せないくらい


「アッパレ・・普通ならもう倒れてる・・」石川

「胸倉掴んだ腕力だけで立ってるようなもんだ・・」萩原



「ドガ!」

「ぐはっ!」橘


「しゃあ!行けっ阿久津!」金山

「くっ」渡辺


(まずい・・胸倉掴み合っての殴り合いだが、

 阿久津のパンチの入りどころが悪い・・

 もう、見えてないのか?)渡辺



(放さねえ!放さねえぞ!このガキ・・・・

 放したら・・もう、見えねえ、この目)阿久津


橘と武藤のパンチを多めに貰った阿久津。

守備より攻撃を重視したため。後のことは考えず・・


そしてどうやら、構図は今、橘VS阿久津  武藤VSカツオに


「ブンっ!ブンっ!」


「バッ!」「バッ!」


「くっ!動けるじぇねえか!」武藤


「ぶはあっ、やばかった!」カツオ


カツオが武藤の攻撃を後ろに飛ぶようにかわす

後頭部から地面に叩きつけられる寸前に体をひねり、

地面に向き手を付き、さらに前転して起き上がる。


(すごい・・パンチ打ち込んできたと思ったら、さらに反転して裏拳まで・・

 何か居たな、ドラクエでそんなモンスター・・あと武器・・)はるか


一度に二回攻撃する武藤


「よしっ!今日大当たりだ!カツオ!」渡辺

「行ける!だが、阿久津・・・持ち堪えろ!」金山


明らかに、阿久津が押し込まれている。

爆撃は阿久津がやられると・・・


「先に、このまま爆撃つぶしか?」

「だが、先に爆撃が、橘か武藤潰せば・・・」


圧倒的爆撃の有利に。


「ガクっ」


「よしっ!阿久津の片足がもう、笑ってる!」

「最初の乱戦時の武藤のローキックが効いてんだよ!」


「うっ」阿久津 

「くっ!離せ!おらっ!」パンチを打ち込む橘


(居る・・あの人達は・・リカさん・・美月さん・・

 俺が・・今・・主役・・・はは・・矢沢ぁ・・浜野ぉ・・)橘


研ぎ澄まさせていく感覚。

さっきまで見えなかった外野の顔まで、よく見え、声も聞こえてくる


(なんだ?力?何か俺に集ってくるような・・)橘


阿久津の片足が、もうひざが付きそうなくらい落ちていく

だがそれでも胸倉を離さないから橘も引っ張られてお互い低い体勢に・・


「くっ・・アッパレ・・その根性・・だが・・」橘(そうかっ!これが喧嘩の向こう側)


もう、僅かに上がるだけの腕の阿久津

きっと、パンチを打ち込んでいる・・


「ぶっ飛べやっ!最後だ!ブチ込んでやる!」橘(突き抜けたっ!これがっ!)


(もらった・・)


つっ込んだのは・・



「ドッ!!」「ドッ!!」



「なっ!!ダブルで顔面にドロップキック~!?」はるか



「阿久津君っ!!」カツオ



そう、武藤が突っ込む。フルスピードで強力に、強引に・・


「たっ!橘ぁ!!!!」真美



「くそっ!」すぐカツオが武藤に突っ込む。


武藤がカツオを一瞬確認したが、まだ距離があると思い、

阿久津・橘のどちらかに決定打を打ち込もうと動き出す・・

カツオは先ほどの、キレ過ぎた守備のせいで少しの遠めの距離


「突っ込むな!!!」っと、とっさに渡辺からの声


「ぐっ!」カツオ


「うおおおっ!」ギャラリー


「くくく・・・あと、何センチだった?くくく」武藤


「ぶわっ!」っと、冷や汗が出るカツオ

目の前に武藤の足が・・風が顔面を切り裂く


背を向けたと思った武藤だが、

渾身の回し蹴りで、突っ込んで来たカツオを狙っていたのだ



「汚ねえ外野・・もう、死ぬレベルのカウンターだったのに・・」川上

「以外に喧嘩知ってる・・渡辺さん・・」はるか



「橘!橘ぁ!橘ぁあ!」真美が大声で叫ぶ声が異様に耳につく・・・




「ん?・・なっ!ばかっ!これじゃあ!」はるか



「・・・だ・・・て・・ねぇ・・」(まだ終わってねえ)立ち上がる阿久津




ピクリとも動かず。無様にアスファルトにうつ伏せたまま。

誰にやられたかも分からずに・・・

少しばかりの、若さと、驕りと、覚悟が、負けを呼び込む


突き抜けたのではなく最後の壁を前にして突き抜けられずに。

何も無い意識。深い眠りのようにやさしく冷たいアスファルトを抱いて




そう・・・


まさかの・・



橘      撃沈。



恋じゃ愛に敵わないとまだ知らぬままに




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