止まったままの青春。
池袋の爆撃の事務所
若手も含めて、みな、やられて倒れている状況
渡辺以外は・・
「おめえ、ウチとも抗争するつもりか?」西田
「俺の目的は、岩永をからユリアを奪う事・・
そして、くそ汚ねえ男・・金山をぶっ潰す・・」渡辺
「・・・・岩永からは、分かるが・・
ウチの金山は何故?生き残るためには、死んだフリも作戦だ・・」ヤクケン
「杯ってのは、簡単に割れるもんか?
五分兄弟ってのは、どんな事があっても、助け合うのが兄弟じゃねえのか?
例えそれは、組織が違ってもだ!」渡辺
「・・・いつの話しを言ってる?」ヤクケン
「・・爆撃戦争も、第一次六本木戦争・・第二次もだ・・
アンタには、悪いと思ってる・・
ひとみさんの元彼だろ・・それに佐藤さんとも・・
だが、本当に悪いのは、金山だ・・・」渡辺
「・・・何が?」ヤクケン
「呼べばいいじゃねえか・・・俺は、爆戦も、六戦も
ひとつも戦っちゃいねえ・・くすぶったままだ、まだ・・
例え俺が参加しても戦況は変わらなかったも知れない・・
だけど、少しでもひとみさんの命を繋ぐ可能性だってあったはず・・
爆戦戦争も結局年下の岩永に、ケツ拭いてもらっただけ・・
しまいには、初代蛇撃だぁ?
年下の岩永に付いたと思ったら、手前がやばくなったら、すぐ逃亡・・
だが、その後この東京で苦労してきたのは俺達だ!
逃げた金山のせいで、色んな組織に何度俺が攫われ暴行を受けたか・・」渡辺
「それが戦争だ・・・」ヤクケン
「まだ、戦ってもいねえ!ずっとくすぶったままだ・・」渡辺
「・・・生かしといてやる・・・まだ、戦争は始まったばかりだ・・
全力で、潰してやる・・・もう一度正面からぶつかって来い・・・」ヤクケン
「・・くく・・今日ここで、殺さなかった事後悔しろや!
俺が、第八代秋高番長、渡辺だ~!!」渡辺
「俺が第五代・・そして秋高歴代ナンバー1のヤクケンだ・・」ヤクケン
(どっちも、かっけー)やられた若者達
出て行く、ヤクケンと西田
「・・いいのか?せっかく潰したのに、復活させて・・」西田
「・・・殴り合わせてぇな・・もう、俺達おっさんだけど・・」ヤクケン
「バカっ・・何の意味があるんだよ、殴り合いに・・
名前・戦力・金・知恵・・・これで戦うのが大人の戦争だ・・
上は指示出すだけでいいんだよ、もう・・」西田
「・・・最後に俺も、もう一度殴り合いてぇ・・」ヤクケン
「止めろ・・許さん。もう、単独行動も、認めない。
大阪に戻ってもらう。これは、荒尾君の意見でもある。」西田
「上に指示するのか?」ヤクケン
「違う。下が上を守り、押し上げる為に・・」西田
(・・もう、殴り合いも出来ねえ・・
もう、何年も人なんて殴ってねえ・・・
前線に出れば、引き戻される・・・
俺の強さは、自分で動くとこ・・
男も女も俺の手で、落してこそ、俺が輝く・・)ヤクケン
「・・・・・」西田
(分かるよ・・だが駄目だ・・
それに、唯一のヤクケンの弱点・・
女を愛しすぎるとこだ・・遊びで抱けばいいのに・・)西田
「葵は、こんな俺のくそ汚い手は嫌いかな?」ヤクケン
すでに亡くなった、ヤクケンの女
「・・・だから荒尾君は、死ぬ気だ、この戦いで・・」西田
「・・・荒尾君は関係ないよ・・
ただ、踊らせた奴が悪いだけ・・・」ヤクケン
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新宿
「なぜだか、爆撃を生かして置いたそうだ・・」荒尾
「よく、わからんけどな・・」石川
「お前どうして、そこまで、ヤクケンの為に命捨てれるんだ?金山も」椎名
「・・・広島の死だ・・・」荒尾
「ヤクケンの大阪と、もう一人の女房か・・」椎名
「・・・・」金山
「俺の女と、葵さんが揉めてね・・・原因は金山だ・・」荒尾
「金山君?」あきな
「何にも組の仕事もしてねえ金山が、急に帰って来た途端、大花のナンバー5だ
まあ、実際は、ヤクケンが殺した相手の身代わりでの破門だ・・」荒尾
「いえっ・・俺が殺しました・・」金山
「ま・・そこはな・・・それが、気に食わない大花の連中はいっぱい居る
ナンバー3とかな・・そいつらが俺の女に空気入れたんだ・・」荒尾
荒尾も、このままだと、あのくだらない金山の下になり
煙たがられて追い出されるぞと・・
さらに、破門状の用意まで・・
「俺が悪いのも事実・・俺も騙されたんだ・・
荒尾君はヤクケンさんに手を挙げるような人じゃない・・
だが、騙された俺は、荒尾さんと揉め出し・・・」金山
荒尾に謀反の疑いあり・・・
荒尾は、動かなかったが
荒尾の女が率いる荒尾の兵隊、それにナンバー3たちの反ヤクケン組織
それに、対抗したのが、ヤクケンや真美の言う事も聞かず抗争を始めた金山
「それを、葵さんが止めに入って・・・」金山
よく思わない、反ヤクケン派に撃たれ死亡。
「そうだったか・・すまない・・」椎名
「いやっ・・どこにでもある内紛だ・・」荒尾
「まあ、ヤクケンがきっちり、仇取ったけどな・・」荒尾
「ええ・・でも、俺もヤクケンさんも、しばらく立ち直れなかった」金山
「荒尾の女ってのは?」椎名
「・・・・」金山(本当・・空気読まねえな・・)
「・・・・・首吊った。責任感じてな・・
まあ、原因作った一人でもあるし・・」荒尾
「バシっ!!」
あきなが、椎名を思いっきり叩く
(何、聞いてんだ!タコっ本当っ・・)あきな
「ニュースであったな・・大花の内部抗争って・・」石川
「・・手榴弾バンバン投げてたやつか・・」岩永(この人だ・・・)
しばらくの間
「・・・・帰ってくれねえか・・・
もう、話し合いの気分じゃねえ・・」荒尾
深くソファーに腰掛、天井を眺める
愛した女・・・
愛してくれた女・・・
雨の金沢がまだ脳裏に・・嫌な思い・・始まりの日
「一同で会うのは、よそう・・・」石川
「ええ・・逆にこじれる」岩永
「・・俺がまた来る。引退した俺ならよかろう?」石川
「ええ・・石川さんには、恩を感じてる・・
どっちかと言うと、あの時も俺達の味方だった・・・」荒尾
「トンっ!!」
「・・・っ!」金山
「ばっ!何やってんだ!」椎名
「あっ!」あきな
「・・・」岩永
「・・・石川さん・・これ・・」金山
「ああ・・いい悪党になったな金山」石川
話し合いが終わり帰る前に・・
急ぐように金山が自分の小指を詰め、石川に渡す
「腐っても鯛ですから(爆撃の総長)・・・」金山
「まだ、腐ってねえよ・・今が狂い咲いてるよ・・」石川
(あっ・・・)あきな
(うっ・・)ユリア
「ツツ・・」
金山のサングラス越しから、伝う涙・・・
義眼からも・・・
「・・岩永・・戦争は、今からだ・・・死ぬ気で来いやっ・・山本も・・
俺が大花組ナンバー5・・元第七代東京爆撃隊総長の・・金山だぁ・・」金山
「すっ」っと、席を立ち背を向ける岩永
(えっ?・・何も言わない・・慶太さん・・)ユリア
「すっ」
「すっ」
石川、椎名も立ち上がり歩き出す、釣られてユリアも・・
岩永は、さっさと一人で出て行く。
石川と椎名は二人でタクシーへ
ユリアは、もう随分先を歩いてる岩永に追いつく
「慶太さんっ!、一人で、いったら、あぶな・・・・・
・・・・・・ごめんなさい・・」ユリア
「うぐっ・・うぐ・・うう・・」岩永
いい年した、おっさんが、恥かしいから・・・
青春、夢の如し・・・
あの時の、みんなの熱き思い・・
少し思い出す岩永
20年前の渋谷~~~~~~~~~
それぞれ単車に乗り込む
岩永は、この時始めて、ひとみの単車(伝説の単車)にあきなを乗せて・・
「蛇撃だぁ!突き抜けるぞ!」岩永
「おおお!!」
金山・田村・須賀・片岡・あきなの熱き咆哮
たった、渋谷から六本木の距離をぶっ飛ばす
少しでも前へ・・ちょっとでも誰よりも先に・・
恐くて岩永の後ろから、強めに抱きしめるあきな
無意味に吹かす片岡
その後ろで、楽しそうに笑う須賀
ただ金山の後ろで空を眺める田村
岩永のバイクを追い越そうとする金山
「金山君先頭の方が死ぬ確率高いけど、いいのか~?」岩永
「ぶはは。いいじゃねえか。この仲間で死ねるんなら!」金山
それでも、誰よりも先に・・・
恐いから・・
強がるだけ。
「はははっ、もう着くぞ!俺がジャックの岩永だ~!コノヤロウ!」岩永
「はははっ第七代東京爆撃隊総長金山参上だぁ!うおおおお!」金山
だが、敗戦濃厚・・・
「く・・岩永~絶対死ぬなや~!!!」
重傷の田代と石川を抱え、岩永だけ残し、撤退する金山。
「ああ・・・また・・渋谷で・・・」岩永
これが、最後の別れ。
生き残ったのは、岩永・金山・あきな
この後、岩永だけは、入院後逮捕収監・・13年の刑務所生活
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「・・うぐっ・・うぐっ・・・みんな死にやがって・・
せっかく・・生きてたのに・・・金山君・・・・・・」岩永
「うぐっ・・慶太さん・・」釣られて泣くユリア
「まだ、あの時で、止まったままなんだよ・・・」岩永
あの熱き思いのまま・・・
もう戻らない一度きりの青春。
「絶対勝つぞ!ユリアっ」岩永
「はいっ!」ユリア
これで、やっと五分。いやっ・・もう五分にされた。ヤクケンに・・
新東京大戦争・・大阪対東京・・
ぶつかるのは・・・
何もかも詰め込んだ・・・あの場所。
歴史は、ここから始まり
ここで終わる。
悪ガキの聖地・・・
渋谷。
次話から第2章・・・本戦です。