マスク・ホテル
ロビーへ向かうと何やら皆が騒いでいた
「どうしたんだ?」
希が聞くと高山が答えた
「どうしたもこうもないよ、見ろよこれ」
高山が差し出したのは1枚のメモのようなものだった
そしてそのメモにはこう書かれていた
”コンヤ コノナカノ ダレカガ シヌ”
「・・・なんだこれ」
希が気味悪そうな顔で呟いた
それもそうだ
なんせこの文章は血のような真っ赤なインクで書かれていたのだ
「イタズラにしちゃタチ悪いな」
薄井が言った
「せっかくの旅行なんだし犯人探しはやめて楽しもうぜ、きっとそいつも反省してるさ」
西村の言うとおりだ
「そうだな」
そう言った僕はふと気になったことがありマルコスに尋ねた
「そういえば、なぜこの館は仮面館というんですか?」
「ふふ、気になりますか、いいでしょう、教えてあげましょう」
そう言うとマルコスは気味の悪い声で語りだした
「私が昔仕えていたご主人様はある日顔面に大火傷を負ってしまいました、その顔のせいで自分の殻にこもるようになってしまい、ついにはこんな無人島にある館を買い取って暮らし始めたのです」
皆マルコスの妙に迫力のある語り口に聞き入っていた
「しかしご主人様はこの屋敷に移ってから仮面を被るようになったのです、それはご主人様の醜い顔を隠すためでしたが、それはご主人様の心までを隠してしまったのです、そしてご主人様は遂に自ら命を絶ってしまいました・・・」
「そんな話が・・・」
僕は思っていた以上の重い話に絶句していた
「それでこんなに面白い仮面がいっぱい飾ってあるアルね~」
そういうとカンは壁に掛けてあった仮面をつついた
言われてみれば廊下やロビーの壁のいたるところに色んな仮面が掛っている
「これは全てご主人様のコレクションでしてね、遺書に書いてあった通りこの館ごと私が管理しているのですよ、館の名付け親は私です」
マルコスはそういうとキッチンに姿を消した
「なるほどね、どうりであのボロ高校がこんなデカイとこに来れたわけだぜ、いわく付きとはな」
直木が本日4袋目のポテチを片手に下岡を睨む
「いっいやぁ~知らなかったな、あっはは」
下岡はそう言うと足早に自分の部屋へ退散した
「仮面館・・・マスク・ホテルか」
薄井が呟いた
僕はロビーで一番目立つ3種類の仮面を見つめた
なんだか嫌な予感がした
これから何か起こってはならないような何かが起こるような
何か大変なことに巻き込まれるような気がした




