フェイク・パーマ
俺は隣で起こった衝撃的光景を呆然と見ていた
赤く広がった血が俺の足元にまで流れてきた
「の・・・天パ・・・!」
俺は血の海へ膝をついた
「まさか本当にやるとはな、うけけ」
マルコスはそう言うと俺へ向き直りナイフを構えた
「さて、次はあなたの番ですね」
じりじりと死が近づいてくるのを俺は感じた
「最後にいい残すこぶっ!」
マルコスはそう言って俺のほうへ倒れ込んだ
俺は何が起こったのか理解できずにいた
「え?」
視線をマルコスの背中へ移すとそこには包丁が突き刺さっていた
「一か八かだったが上手くいったようだな」
希が起き上がると言った
「な、なぜ・・・」
俺が再び呆然としていると希が答えた
「お前が部屋に助けに来る前に飲もうとしたトマトジュースがポケットに入っててね、使わせて貰ったよ」
「さて、こいつはどうするか」
希がマルコスを見ながら言った
「とりあえず、死んではいないようだからどっかに監禁しておくか」
俺の提案で下岡の部屋にマルコスを監禁することになった
「俺は少し疲れた、寝かせてくれ」
俺ははそう言うと皆のいるロビーで眠りこんだ
希も相当疲れていたらしく俺よりも早く眠りについた
どれくらい時間が経ったのだろう
気がつくともう夜が明けていた
もうそろそろ迎えの船が来るころだな
俺は生き残った皆、西村、薄井、直木、高山、下岡を叩き起こすとボート乗り場へ向かった
迎えのボートは既に来ていた
「来てるなら、迎えに来いよな」
ピザを食いながらピザ・・・じゃなくて直木が言った
「やっと帰れる!」
高山がボートへ走り寄ろうとした瞬間ボートは爆音をあげて炎上した
「うわっ・・・え?」
薄井は状況を理解出来ていないようだった
薄井だけでなくここにいる全員がそうだったろう
俺はふといやな予感が頭をよぎり下岡の部屋へ走った
鍵はしまっていた
俺は少し安心して鍵を開けると部屋へ入った
しかし、その安心は一瞬のものだった
部屋はもぬけの空だった
「なんだと・・・」
西村はそういうと立ち尽くした
俺は急いで部屋の中を調べた
すると案の定見つかった
「これは・・・クローゼットに抜け穴が・・・」
下岡が膝をついた
「うかつだった・・・この部屋には2つ仕掛けがあったのか・・・」
俺らは殺人鬼が野放しにされた館の中でどうすることもできず怯えていた
「こんなときに何やってんだ!」
俺は思わず薄井の怒鳴り声に驚いて振り向いた
「なにすんだ!」
ゲームを投げ飛ばされた高山が薄井に掴みかかっていた
皆感情を抑えられないようだ
それもそうか、この状況で平常心でいろってほうが難しい
直木もさっきから何かブツブツいいながら9個目の菓子パンを食べている
「こんなときに何やってんだ!」
俺は思わず薄井の怒鳴り声に驚いて二度見した
「うるせ―マスク野郎!」
パンを一口食われた直木が薄井を殴り飛ばした
「いい加減にしろ!」
下岡が怒鳴った
「お前らどうかしてるよ・・・仲間が殺されてさ、その犯人が今もこの館の中にいるかもしれないってときに・・・何でそんなことしてられるの?お前らは仲間が死んだってのに何も思わないわけ?どうなの!?ねえ!答えてよ!みんな!」
「あ、マルコス」
「びぇっ」
西村の冗談にちびった下岡は泣きながらトイレへ駆け込んだ
気がつくと夜が明けていた




