詩「まどろみの春」
朝、
目が覚めて
覚えていないことは悲しい
それらを繰り返しながら
冷たい美しさを見つける
身を守るため
マスクの裏に冬を閉じ込めた
咳が止まらない
春分の昼下がり
冬の終わり
懐かしさに会いたくなる
まっさきに思い浮かぶ
年老いた親の顔
近づいてくる春の
含みのある足音に
明日も冷水で顔を洗う
布団の中
起きられない
夢うつつの
まどろむ時間
が心地よくて
春がきた
今年も春がきた
夢ではない
そうであることを
眠りながら全身で感じる
細胞がゆるむ
強張っていた
頑なな感情
それらのすべてが
溶けていく
春
電話をかける
まだ、
声はうまく出ない




