3話:父親の溺愛が始まりました!
もう、この暴言にはビックリ!
だってクリスティの発言は、まるで某ご長寿アニメのガキ大将のようなのだから! 「あなた達のものは、わたくしのものよ!」とばかりに。
この日以降、五人のお友達(奴隷?)令嬢の中で、クリスティは名実共に女王様として君臨する。
二度のクリスティの人生で遭遇していたこの出来事。これ以外にもヒドイエピソードは、いくらでも挙げられる。その後、ヒロインへの嫌がらせからの断罪は……自分で言うのも何だが、仕方ないと思ってしまう。でもそれも私が前世記憶を覚醒する以前の話。二回のクリスティの人生は、もう終わっている。
三度目の人生では、そんな失言は絶対にしない!
あんな暴言は吐きませんよ!
そして今回、父親ではなく、母親のお茶会仲間のマダム達の令嬢を紹介された。父親の時のような、上下関係はない。ない……わけではないが、父親の部下の令嬢ほどではなかった。
それに庭園でのお茶会の席で、私は値踏みなんてしないし、むしろ自分からプレゼントを贈った。庭園の花で手作りしたミニブーケを令嬢達にプレゼントしたのだ。
これには皆、驚き、喜ぶ。さらに「何もプレゼントがなく、ごめんなさい」と恐縮してくれたのだ。でも別途手土産として、フルーツやお菓子を持参してくれている。それは私たち家族で楽しんでくださいという意味での手土産だ。私個人へのプレゼントがないことは……問題なし。そのこともきちんと伝えた。
その後は、お菓子と紅茶を楽しみ、ちゃんと笑顔で会話し、すっかり友達になることができた。さらに誘われた森へのピクニック。二度のクリスティの人生ではお断りしている。でも私はちゃんと同行した。しかも同行した上に、森で出会った見知らぬ迷子の男の子にも、親切にしたのだ。
善行は主が見ていてくれるのだろうか? 御礼としてその少年からは、とても美しい碧い宝石を贈られた。母親に見せると、「見たこともない珍しい宝石ね。無くさないようにしないと」と言われたのだ。さらその宝石を使い、髪飾りを作ってくれることになった。
少しずつだが、断罪回避に向けた準備ができているのではない?
母親が元気でそばにいて、私を育て、見守ってくれる。そのそばにはこれまでの人生と違い、私に微笑みかける父親もいるのだ。
完璧ではないですか!
三度目のクリスティの人生。良い子計画は実に順調。
母親は健在、父親も優しい。
すると……。
「クリスティ、なんて君は素晴らしい子なんだ。父さんはクリスティがいてくれてとても嬉しいよ。でもきっとクリスティはあっという間に大人になり、お嫁に行ってしまうのだろうね……」
食後の一時。暖炉のそばのソファに座り、父親はワインを、母親は紅茶を、私はクッキーを食べていた。
「まあ、あなた。クリスティは六歳。まだまだ子供ですよ。そんな心配、不要ですよ!」
「そんなことはない。十六歳になったら社交界デビューになる。もう十年しかない」
これを聞いた母親はプラチナブロンドの髪を揺らし、クスクスと笑っている。
「十六歳になって社交界デビューしても、すぐに結婚するわけではないですよ。十六歳なんて、まだ学生なんですから。早くても二十歳です、結婚するにしても。それに結婚しても、私達の娘であることに変わりありませんよね?」
「それはそうだが……。クリスティにはずっとそばにいて欲しい……」
二度のクリスティの人生では起きていない事態が起きつつある。
そう、父親が、私を溺愛し始めた!
辺境伯としての執務は忙しいはずだが、屋敷の一室にいるのだ。令嬢達と遊ぶ私のところへ来て、「問題ないかい、クリスティ? 何かがあれば、遠慮なく言うのだよ」と、父親は優しく声を掛けてくれる。そこで私は本当に父親に溺愛されているのか。試しにリクエストをしてみることにした。
「ロッキング遊具が欲しいです、お父様。子供達だけで遊ぶ時、乗馬はできません。でもロッキング遊具があれば、乗馬気分で遊べます」
ロッキング遊具は、公園の遊具の一つ。ポニーや犬など動物の形をしており、振り子の原理で揺れる。それなりの値段がするものだ。お人形を買い与えるのとはわけが違う。
「なるほど。ただ欲しいのではなく、ちゃんと理由もあるのだね。いいだろう、クリスティ。ロッキング遊具を取り寄せよう」
さらに父親は、大人たちの社交の場である倶楽部、競馬、狩猟の場にも私を同伴してくれる。そして知り合いの紳士たちに私のことを紹介するのだ。これは三度目の人生で初めて経験すること。それだけ父親が私を愛している証拠だと思う。そして実際、こんな風に言っている。
「これがわたしの自慢の娘、クリスティだ。見て欲しい。この愛らしい瞳を。そして可愛らしい鼻と唇。ホワイトブロンドの髪はまるで天使みたいだ。勉強もよくできて、頭のいい子だよ。それに友達のためにミニブーケを作る心優しい子なんだ。わたしはこの娘が大好きでね……」
父親は私を溺愛している。これは間違いない。
よしっ、これなら王都へ行かないで済むはず!
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