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13話:断頭台が迫って来る!!

 社交界デビューとなる舞踏会のエスコートを、正式に受ける――そうしたためた手紙を送った翌日。


 朝食の時からアレクはご機嫌だった。当然、その件を話題に出す。母親は「光栄です!」と大喜び。父親は大変不服そうだ。


 ちなみにチラリと見た今朝の剣術の練習で父親は、鬼のようだった……。


 学校へ向かう馬車の中でもアレクは始終ニコニコ。私は懸命にこの地の特産品について語っているが……「殿下、ちゃんと聞いていますか!?」と言いたくなるぐらいだった。


 しかもその翌日以降、アレクから「社交界デビューするクリスティへのお祝いとして、こちらの宝飾品、よかったらお使いください」と届けられたのは、髪飾りとお揃いになるように選んでくれたネックレスとイヤリング。それはもう王家の宝物庫にありそうな美しい細工があしらわれ、値段なんて想像がつかない。両親は返礼品をどうするか悩んでいるが当然だった。


 こうして着々と時が流れ、遂にその日を迎えてしまう。


 社交界デビューとなる舞踏会、その日が。


 伝統的に社交界デビューで着るドレスは、白と決まっている。一年がかりで用意したドレスには、繊細な刺繍があしらわれ、最高級のレースが使われていた。たっぷりのチュールでスカートはフワリと広がり、ダンス映えすること間違いなし。


 白のロンググローブをつけ、アレクから贈られた宝飾品をメイドの手でつけてもらう。アップにした髪にはいつもの髪飾り。


 準備が整ったところにアレクが迎えに来る。


 エントランスホールにやってきたアレクは……。

 乙女ゲームで一番人気の攻略対象なのだ。

 もうその姿は説明するまでもない。

 非の打ち所がない、完璧なもの。


 オフホワイトのシャツにパールシルバーのタイ。そこには私が身に着ける髪飾りやネックレスに合わせたのだろう。碧い宝石の宝飾品がタイに飾られている。そしてシルバーのベストに純白のテールコート。


 眩しい。


 降臨した大天使のように見える。

 ないはずの神々しい光を感じてしまう。

 これは……なんらかのフィルターが私の中で起動してしまっているのではないか。

 相手は大天使などではなく、悪魔なのに!


 やばい、やばい、やばい!

 極上の笑顔を浮かべ、断頭台が迫って来る!


「クリスティ。今日は僕のエスコートを受けてくれて、ありがとうございます。君をエスコートできること、光栄です」


「アレク王太子殿下。こちらこそエスコートいただけること、我が一族の誉れとなります」


 本音とは真逆の言葉をしれっと口にできる自分が恐ろしい!

 これが建前などとは思わないアレクは、私の言葉にとても嬉しそうな笑顔を浮かべる。


 うっ、心が痛む。


「では、参りましょう」


 差し出された手には、シルクの純白の手袋。

 そこに白のロンググローブをつけた手をのせる。


 ゆったりとエスコートされ、エントランスホールを出る。

 エントランスに横づけされているのは、白馬が引く、黄金で飾り付けられた白い馬車。それは童話に登場する王子様の馬車のよう。……あ、アレクは本当に王子だった……。


 こうして順番に馬車に乗り込む。

 これで出発かと思いきや!


 馬車に遅れて乗り込んだのは、お父様ー!


 ここはアイゼン辺境伯領。

 そして領主は父親。

 社交界デビューを兼ねる舞踏会は特別なもの。

 つまり今回の舞踏会の主催者は父親だった。よって当然、舞踏会へ父親は出席する。


 が。


 てっきり母親と先に屋敷を出ていたと思ったのに。

 まさか父親が同乗するなんて!

 何とも言えない緊張感がある!


 とはいえ、父親とアレクは師匠と弟子という関係。


 突然、「わたしも同乗させてもらえないだろうか?」と言ってきた父親に対し、アレクはにこやかに「勿論です、どうぞお乗りください」と応じている。しかも私は緊張感を覚えているが、二人はそんな様子はなく、談笑していた。


 むしろ……。


 父親が同乗することで、護衛の騎士の同乗がなくなった。父親なら護衛の騎士と同等以上だからそれで問題ない。だが代わりに侍女が残されてしまった。侍女は今、とんでもない緊張を強いられていると思う。王太子と辺境伯。そして辺境伯の娘と同乗する馬車。緊張しないのが無理な話だ。


 とにもかくにも会場であるホールに到着した。


 馬車から降りると、父親は泣く泣く主催者として別室へ向かう。


 私はアレクと共に、会場へ入場だ。


 今日、社交界デビューとなる令嬢令息は、するべきことがある。

 それはホールに飾られた国王陛下の肖像画へのご挨拶だ。

「本日、社交界デビューする『○○(名前)です』」と名前を伝え、カーテシーをする。

 これまでは、王都の宮殿で開催される舞踏会で、社交界デビューが恒例だった。宮殿で開催される舞踏会だから、そこには国王がいる。そこに地方貴族の令嬢も参加していたのだが……。


 順番に国王に挨拶をする令嬢令息、その数、数百人。


 若い国王ならまだしも、たいがいがいい年齢。数百人の挨拶を受けるのはキツイ。

 そこで地方貴族の令嬢の社交界デビューは、それぞれの領地で行うことが認められるようになったのだ。肖像画の国王に挨拶で、社交界デビューを認めるということ。


 アレクと挨拶の順番を並んで待っていると。

 早速、周囲の目線を感じる。

 父親が上手いことリークした情報は、既に新聞に掲載されていた。よって変な方向で噂は立っていない。それでも注目は集めるだろう。何より今日のアレクの姿は、ガン見するに値する。私だってただのゲームのプレイヤーだったら「眼福です!」と拝んで見ていたことだろう。


 そんな視線が集中する中。

 無事、アレクと共に挨拶を終える。

 アレクは自分の父親の肖像画に挨拶をしているわけだけど……。

 それはなんだかシュールだわ!


「おめでとう。これで君も大人の仲間入りだね」


 肖像画の前から移動し、ホールの端の方へ向かった。

 するとアレクは突然跪き、騎士のように私の手をとる。

 そしてお祝いを込めた手の甲へのキスをしたのだ!

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