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もし三年前に戻れたら(フィクション)

作者: 嵜村栄

 僕には今、どうしても謝りたい人がいる。

 あれからもう三年の時が経ったけれど、全くと言って良いほど風化していない。寧ろ日を追うごとに色濃くなってゆく様に感じる。明らかにあの(くだり)で悪いのは僕だ。責任は全て僕が負うべきだ。

 しかし、「君みたいな人間が何を考えているか理解できない」という言葉は、僕でもそう思う。僕ですら何を考えていたかはっきりと思い起こすことは出来まい。しかし、三年が経過する中でどうにか謝罪をしたいと思うばかりで、それが何を目的になのかは解らない。以前の様に会って話が出来る間柄に戻りたいのか、それとも思いの丈を伝えられずにいたことが謝罪により晴れたいからなのか。両者のような気もするが、何方にしてもそれは僕のエゴでしかないということだ。僕としてはあの件から直ぐにでも謝りたかった。ただ、これまで繋がっていた全てのツールで僕からは見ることが出来なくなってしまっており、連絡の仕様がなかったのだ。これも言い訳に過ぎないと思うのだが、当時の僕は、件の直後だと怒りが収まっていないと考えたのか、一切考える事を辞め、時間の経過に身を委ねた。

 僕はまだその感覚を味わったことがないが、もう一切の関わりを断ちたいと思ったら謝罪なんて聞きたくないと思うのだろうか。それとも時間が解決してくれるのだろうか。もしあの時から変わらず嫌悪の思いが続いているのであれば、一刻も早く頭の中から僕の事を忘れて欲しい。今あの人は何を思い、何をしているのだろうか。元気にやっているだろうか。

 この季節がやってくると毎回思い出してしまって辛い。僕の事を忘れてくれているなら僕も安心して忘れられる。

 このお話を最初に書いたのは今から五年前のことです。短編も書いているので今後は連載、短編のどちらもを掲載することがあります。


 皆さんは過ちを犯した相手に謝りたいが謝れなかったという経験はありますでしょうか。私はあります。

人間色々なタイプの人がいます。そもそもプライドが邪魔し謝ろうとしない人も中にはいます。ですが、謝罪にこそ人と人が本心を窺い知る機会であるというのが私の持論でして、例えばあの時彼/彼女はこの様な事を考えていたのか、といったような所謂「経緯」のようなものを知ることは大切だと考えています。過ちに至るまでの背景、原因、再発防止策として今後どのような事を打ち出すのか、これらを伝えることで相手に伝えられていなかった部分を明らかにする、という行為こそが当事者同士の関係のステップアップや、自分自身の成長にも繋がるのではないでしょうか。

 勿論、中には貴様のその様な戯言なぞ聞いておられぬ、と謝罪を拒否したり、その人そのものを自分のテリトリーに入れないようにするという方法もあります。SNS等が発展した昨今ではこちらが主流になってきているとは思いますが、人間生きている上で過ちをするということを避けては通れません。私自身は避けてきた方ですが、結局避けることは不可能でした。そうする中で謝罪という形で受け入れられるか否かはさておき自身の過ちの精算をしたいと考えています。綺麗事の様ですがこれも立派なエゴ行為ですから、最低だな私って、とつくづく思う訳です。

 人との交流の上でこの様に謝罪の場に立つことが叶わず繋がりの切れてしまった方々には、本当に申し訳ない気持ちで一杯です。此処に書いても仕方が無い事ではありますが。

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