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「では、今後の手続きについて説明させていただきますね。まず平民出身の方は、これから入学まで、平民を対象としたマナー講座を受けることができます。これは希望する貴族出身の方も受けられます。また、ターニャさんは下級貴族並みのマナーは身につけられているようですので、受けないという選択肢もあります」
「平民出身で受けない者もいるのですか?」
「貴族向けの大店の出身ですと下手な下級貴族よりしっかりしたマナーを身につけてますよ」
「そういう人もいるんですね…。私は初めからマナー講座を受けるつもりで来ておりますので、受講させていただきたいと思います」
「了解しました。そうなりますと、すぐに寮に正式に入ることになります。現在ターニャさんはアネットさんが室長をされている部屋ですね。同室の方々とはうまくやれていますか?一旦部屋が決まりますと基本的に卒業までその部屋になります。今度入学される方はこれから調整する予定ですが…。ターニャさんの方で差支えがないようでしたら、このままの部屋で入寮手続きをしたいと思います。いかがでしょう」
「アネット様にはよくして頂いているので、このままの部屋にいられるのであればうれしいです」
「ではそうさせて頂きますね。では次に入学後に学ぶ範囲について…
そうして説明されたのは、本人の資質や、目指すところによって学べる事柄が異なるということだった。故に淑女科は各学年一クラスだが、クラス単位で受ける授業はほとんどない。ターニャは刺繍ができ、自分を推薦してくれた人たちに対し恥ずかしくない結果を出したい、というだけで具体的なことはあまり考えていなかった。更に筆記試験の結果は普通によかったので、受けられる講義は多いという。但し、受けられる講義を全て受けることは時間数の関係で不可能だ。だから、入学までに将来目指す職を決めた方がいいと助言された。ターニャはこれまで入学することを目標としていたため、どんな職があるか知ろうともしていなかった。半年間のマナー講座と共に、学園を卒業した者が就ける職についての講義も受けることとなった。平民の場合はなりたい職ではなく、環境からなれる職が決まってしまうことも多いため、この講義を受けるよう勧められることが多い。これらの入学前の講義が3日後から始まること、始めの講義は学園での生活に必要な物の説明などもあるので、焦って1人で買い物などしないようにと説明された。
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