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ジルと2人になってからターニャは精霊様を祀る理由をターニャの加護のせいにしたのかを尋ねた。
「王家は精霊様の加護を受けて王になったとされているだろう?その加護を授けたのが精霊教会だ。その教会の祀る精霊とは別の精霊からターニャが加護を受けた、となると……」
「王家に対立するかもしれない、という訳ですか?でもお義母様達でしたらそのようなことはおっしゃらないでしょう?」
「ああ、そんなことは思いもしないだろう。でもそういう風に考える人もいるかもしれない。面倒になりそうなことは最初から知らせない方がいい。貴女が精霊様の加護を受けていることは知っている人は知っているのだから、それを理由にしておけば自然だし、問題もない」
「それに嘘をついているわけでもありませんね。精霊教会の祀る精霊の女王と私達の祀る精霊の女王が別の方だということを話していないだけで」
「まあ、そういうことですね」
そう言って二人で顔を見合わせて微笑むのだった。
そして、翌日にはイコの案内で河原を訪ね、エルヴィーラの力の石を探した。石を探すのは思ったよりも難しかった。イコならばすぐにわかると考えていたのだが
「エルヴィーラの力は感じるんだけど、この辺りはエルヴィーラの眷属だった精霊の精霊石が多いから、似たような感じの石が多くてわかりずらいんだ。この辺りだということはわかるから、この辺の石を全部確認すればわかるよ」
と言われた。
「この辺の石って……」
思わずジルがこぼしたのも当然で、そこには見渡す限り石ばかりだった。
(精霊様ってやっぱり感じ方が私達とは違うのね)
ターニャはため息をつきながらそう思ったが、
「これだけの石を確認しなくてはいけないなら、どんどん進めていきましょう」
と言った。実際のところターニャやジルにできることはほとんどなく、イコについて回っているだけだった。今日中には見つからないのではないかと心配にもなったが、昼前には
「この辺りだ」
とイコが言い出した。
「その辺りの石を一個ずつ持って見せて。精霊石とくっついているとわからないから」
そうして1個ずつ石を確認し始めて間もなく
「これだ」
とイコが言った。その石はターニャが持っても他の石とは違うような感じがした。言われてみれば、程度ではあったが、確かにそれはエルヴィーラの力の石なのだろうと感じられた。
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