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ファビエンヌが目を付けた相手はユーゴだった。年齢的にはヴェルムに近かったのだが、覇気のないヴェルムに見切りをつけ、王太子の側近を目指していた。初めはヴェルムとの縁を望み、フィリップを通じて会ってみたりもしたのだが、ユーゴはどうにもヴェルムに我慢がならなかった。特にユーゴは次男であるため、家を継ぐことができず、己の才覚のみで道を切り開かなければならなかった。そのためにユーゴは自ら努力もしたし、人にも同等の努力を求めた。その結果として王族ということに胡坐をかいているように感じられるヴェルムを認めることはできなかった。

王太子の側近は、王太子自身と年の近いものが既に決まっていた。王太子とヴェルムは10歳近く歳が違うため、ユーゴの世代の者はそれだけ年嵩の者たちと共に働けるだけの実力を身につけなければ、側近など望むべくもなかった。本来はヴェルムが側近入りをし、その紹介でヴェルムに近い年代の者が国政に参加していくはずだった。しかし、ヴェルムでは側近入りはできまい、というのが大方の見方だった。たとえその身分から側近入りが許されたとしてもそれはただのお飾りであろうし、そんな人物に紹介されるのはマイナスになりこそすれ、プラスにはならないとユーゴは判断していた。

学園内には反ヴェルム派と言えるグループができつつあった。自分の能力や努力で上を目指すユーゴのような者が集まり、切磋琢磨していた。同世代というだけでヴェルムに足を引っ張られてはかなわない、というのが彼らの集まる原動力だった。ユーゴだけでなくその友人のサイモンや、無理に縁談を持ち込まれたくないと考えるファビエンヌもこの一派に属していた。

逆に親ヴェルム派と言える集団は、集団と呼べるだけの求心力がなかった。ただ王族であるヴェルムに失礼なことはできない、と親しくしているだけの者がそれなりにいるだけだった。

いつも誤字報告ありがとうございます。

もっと書きたいのになぜ書く手が進まないのか……。

本当にいつもいつも短くてすみません。

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