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ヴァルド砦ではターニャは、ほぼ2年半ぶりに砦の女主人であるメラニーや、その右腕のミレーネに会い、歓迎された。2年半でターニャはかなり様子が変わったが、2人はあまり変わっていないようだった。
「ターニャは会わない間に随分と成長しましたね。体つきも変わりましたが、纏う雰囲気がすっかり変わりました。刺繍は上達したのかしら?」
「奥様に久しぶりにお会いできてうれしいです。まずは、お礼を言わせて下さい。私が学園に合格できましたのも、入学後に様々な学びができ、更には留学までさせて頂けましたのも、全て奥様方にこの砦で学ばせて頂いたおかげです。本当にありがとうございます。刺繍は上達してはいると思うのですが、今は刺繍の文様の持つ意味に興味を持ち、様々な国の文様について学んでおります」
ターニャはメラニー奥様に会えたら必ずお礼を伝えなければと思っていた。学園での講義についての助言などがあったからこそ、入学前から様々な人脈の大切さや貴族の考え方を知ることができたのだ。そして、それらを学べば学ぶほど、単に刺繍をするだけではつまらないと思うようになったのだ。学園では多くの者が、自分の好きな分野や得意な分野に力を入れて学んでいるが、それをどう活かすか、どうすれば活かすことができるかをよく考えている。その為の人脈作りだ。本当に、刺繍がしたいから、などという理由で学園に入ってしまうのはターニャぐらいだった。学園に来ている女生徒の多くは、自分がやりたいことをやるための力と立場を手に入れるために来ているのだ。
今回大変短いです。本当にすみません。




