惑星地球
地球滅亡の日は近かった。
俺は無線機でいろんなチャンネルにアクセスして、救いを求める呟きを電波に乗せた。
ピーガガガ……。
ザー。
外は夕暮れ時で雨が降っていた。
空が不気味な色に染まっている。
雷鳴が響き、どこかに落ちた響きが伝わってくる。
「誰か。聞こえますか?こちら惑星地球。助けてください!」
小型無線機に囁く。
妻は、毎日無駄なことをして!と言って、娘を連れて出て行った。
「誰か、助けて!」
嗚咽を漏らす。
もう限界だ。
いっそのこと、地球滅亡の前に自ら死んでしまおうかとさえ思う。
「ピーガガガ。こちらガガ、ガガです。どうしたのですか?」
「あっ!助けてください。地球滅亡が近づいています」
俺は震える手で無線機を握りしめて叫んだ。
「ガガガ。あなたは誰ですか?あなただけなら助けられます」
「そんな。他の人も助けてください!」
「わかりました。ピー。無作為にガガ」
無作為に助けてくれるのだろうか?よく聞き取れなかった。
誰も彼もが逃げ惑っている、こんな星に誰が来てくれる?
俺はできれば妻や子も助けて欲しかった。そして、まだ生き残っている他の人たちも。
わわわわわわ……。
不思議な音がして、オレンジ色に光る円盤が庭に降りた。
俺は喜びより恐怖がまさってじっと息を殺して隠れていた。
聞き慣れない声のような音がして、何かが家の周りをうろついている。
バリン!
ガラスが割れる音がして何かが家に侵入してきた。
「わあ!」
俺は隠れていた場所から飛び出すと、盲滅法走って逃げた。
バン、バーン!
銃声が響いた。
なにか、は円盤に戻り、どこかへ飛び去った。
「困るんですよ。自警団が一生懸命やってるのに、おかしなのを呼ばれちゃ」
ナイスガイがそう言った。
「しかし、もう助かる手段が……」
「巨大シェルターを急ピッチで建造中です」
「間に合いますか?」
男はじろりと俺を一瞥して、
「あなたは何をやってるんですか?」
と冷たく突き放した。
「俺にできることはありませんか?」
必死になって追い縋った。
「自分の頭で考えて、自分で決めてください」
そう言って彼は行ってしまった。
俺は自力で何もできない。
悔し涙で顔がぐちゃぐちゃになった。