第7話 契約
「さて、醜い餓鬼共よここからはワタシが相手だ」
突如現れた存在に意識が向いていたキングの隙を突いてミィは戦線離脱し、クリフの元に向かう。
クリフの傷は深いが、治せない程では無い。
「上級回復魔法」
ミィは光の治癒魔法を使いクリフの治療に試みる。
ミィの姿を確認すると少女は魔法を展開する。
「さぁ、消え去るがいい!影の刃!」
中級魔法に当たる闇魔法で強化されたゴブリンの群れを一瞬で溶かした。
「ありえない…もうクリフの楔は存在していないはずなんだ…易々と倒せる相手ではないはず…」
そしてミィは気づく、今目の前に立つ少女が精霊…中でも最上位に位置する存在である事に。
「チッ正式に契約していないとこの程度か…勝手に魔力を拝借したが、やはり契約が必要か。仮契約でもしておくとするか…」
少女はミィとクリフを見てクリフに近寄ると一言かけた。
「我がマスターになる者よ、意識は有るか?ワタシに名を付けよ…それにて仮契約とする。」
ミィの努力により意識を戻していたクリフは少女の問に答え、全てを悟った顔をしていた。
「なるほど、時折話しかけて来ていたのは君か…」
クリフは記憶を辿り行き着いたのは彼女の『もう少しで会える』と声をかけてきていた謎の声。
「正解…としておくか。ワタシの慈愛のせいでお前は闇魔法しか使えんのだがな…」
そう言って頭を下げる少女
「さて、今はそんな場合では無いな…今は仮契約で留めるがこの戦いが終わり次第契約して貰う。」
少女はクリフの手を取るの名付けをせよと言う。
「シャノリア…シャノリアはどうだ?」
少女はクリフを見つめ紡ぐ。
「ふむ、気に入った。これにて仮契約成立だな。」
そしていつから発動させていたのか影茨の拘束を解く。
「さぁ覚悟しろよ?餓鬼共!闇の精霊王が1人、シャノリアが鉄槌を下す。星屑の鉄槌!」
驚くほどアッサリと、恐ろしい程に簡単に、シャノリアは全てを消し去った。
―――――――――――――――――――――――――――
「さて、仮契約では無くしっかりと契約してもらうぞ?我がマスターよ」
シャノリアはそう言って近付いてくる。
「長らくワタシの声を無視しおってからに…全く!」
クリフはため息をこぼし、契約に応じる。
「汝、我と契約せし者。汝、我が命に従いし者。コレに応じ、我が力となれ。汝、名を」
「我が名はシャノリア、我が主に忠誠を誓う者なり。我が精霊王の名のもとに主を守ると誓いましょう。」
クリフは闇の精霊王、シャノリアと契約を交わし更なる力を得たのだった。
今回は精霊術士についてです。
【精霊術士】
説明
精霊術士は精霊に直接呼び掛け、精霊により魔法を行使する1部の魔法使いを指す。
魔法使いは詠唱、マジックサークルにより力を借りて精霊に呼び掛け力の1部を借りているに過ぎない。
精霊術士は精霊そのものが魔法を使用する為魔力消費や威力は桁が違う。
低級精霊と契約する場合が多くクリフの様なパターンの方が稀である。
精霊の声が聞ける聞けないで、精霊術士の素質が分かる。