第1話 聖女と最弱
クリフはあの日の夜の出来事を夢で見ていた。
クリフの心に残った傷はあの日あの時あの場所で起こった事を夢に見せる。
大量の汗をかき、目覚めたクリフを心配そうに見つめる女性。
「クリフ君、大丈夫?またあの日の夢を見たの?」
女性は元冒険者で今は【聖女】と呼ばれている。
「はい。リサさん…大丈夫です。」
端的に答えるクリフを複雑な顔で見つめるリサ。
(私は実の母親では無い。けれどこの子には幸せになって欲しいと思うのはいけない事かしら)
思いをそっと心の奥にしまい込み、リサはクリフに声を駆ける。
「クリフ君、凄い汗よ?お風呂にでも入って流してきたら?」
クリフが頷くのを確認したリサは部屋を出ると風呂を沸かしに行くのだった。
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風呂に入り、着替えたクリフは朝食を摂っていた。
「どう?美味しい?」
リサの問にクリフは頷く事で答える。
「ムウ…私嫌われてるのかしら?だとしたら悲しいわぁ〜」
ど言いながら目元を覆う。
「嘘泣き、辞めませんか?分かってますよ…リサさんには感謝してます。」
クリフの言葉を聞くとリサはケロッとした顔を見せた。
「あら、そう!良かったわ!でも助けたとは言え、恩義を感じる必要は無いわよ。君の左目…回復は無いのでしょう?」
そう言ってクリフの左目を見つめ、ため息を零す。
クリフの左目は、魔人襲撃の際にヘカティアの結界の効果が切れた際に魔人により切られている。
「はい、でも左目で良かったです。左は魔人の血を引く証の深紅の瞳…」
そう言って左目の眼帯に触れる。
リサはヘカティアの面影の残る顔立ちを見つめ、またため息を零すのだった。
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[主人公]クリフ・リベスター
{職業}冒険者
{年齢}17歳
{種族}魔人と人間のハーフ
説明
10年前の魔人襲撃の際に両親と1つ上の姉を亡くしている。
その後は聖女に拾われ、教育と剣術、体術、魔法を学び育てられた。
魔人に強い復讐心を持つ。
闇の魔法以外に風の初級魔法の使用が出来る。
とある1件で最高位ランクのSランク冒険者とパーティを組む事となる。
闇魔法以外使えない理由を本人は知っているが、隠している。