黒薔薇姫の、過去7
それから、数日後。
私たちが計画していた、ブルーノ就職祝いのパーティーが開かれた。
パーティー会場は、アルベルトの家の庭だ。
丁度天気も快晴で、絶好のパーティー日和だった。
庭に運び込まれたテーブルには、沢山のごちそうと飲み物。
綺麗に整えられた、花壇。
遠くには、街のシンボルである桜のような花が咲き誇っていた。
そしてブルーノを祝うために集まった、沢山の人。その中には当然、私のお父さんもお母さんもいた。
『それじゃ、ブルーノ兄さんの警備隊就職を祝って……乾杯』
計画立案者の片割れであるアルベルトが音頭を取り、パーティーが始まった。
『ブルーノ義兄さん、おめでとう。これ、アルベルトと私から』
アルベルトと開発した道具を、ブルーノに渡す。
『ありがとう。アルベルト、アマーリエ』
ブルーノは、ほんわかと優しげな笑みを浮かべつつ受け取った。
毎度のことながら、癒されるなあ……同じ兄弟の笑みなのに、なんでこんなにも違うんだろう。
ブルーノとアルベルトの顔を交互に見つつ、思わず内心苦笑した。
『兄さん、開けてみてくれ』
『うん』
ブルーノは、アルベルトのリクエスト通りさっさと包みを開ける。
『ええっと……これは何かな?』
それを物珍しげに上から見たり下から見たりしながら、ブルーノさんが問いかけていた。
『それは、アイロンっていうの。服のシワを伸ばしてくれるものよ』
『へえー……アイロン』
『ここに魔力を通すと……下の鉄板部分が温かくなるだろう? で、平らなところに服を置いて上からこれを当てれば、シワがなくなるっていう代物だよ』
アルベルトの説明に、ブルーノは関心したように魔力を通したり、通すことを止めたりしていた。
『制服は、警備隊の誇り……なんでしょう? だからアルベルトとプレゼントを話し合ってね、コレに決めたの』
『ありがとう! アルベルト、アマーリエ』
ブルーノはそう言って、嬉しそうに笑っていた。
私たちもそんなブルーノの笑顔に、つい笑みが溢れる。
『おーい、ブルーノ! ちょっとこっちに来てくれ』
そのタイミングでブルーノとアルベルトのお父さんが、ブルーノを呼んだ。
『あっと……ごめん。呼ばれてるみたい』
『僕たちのことは、気にしないで』
『主役は大変ね。また後で、ゆっくりと話しましょう』
『うん。これ、本当にありがとう』
ブルーノは大事そうにアイロンを抱えながら、走って行った。
私たちはそんなブルーノを見送った後、二人でご飯を食べた。
『パーティーは、成功ね』
周りを見回しつつ、呟く。
誰も彼もが笑顔で、ブルーノへの祝いの言葉を口にしていた。
その光景が、誇らしくて嬉しい。
『そうだね。沢山の人が、兄さんを祝ってくれて良かったよ』
アルベルトもまた、優しい顔でパーティーを見回していた。




