感情花火
打ち上げ三秒前。
祭りの前の胸騒ぎがよるを包み、
僕の心臓がきゅっと引き締まった。
三、ニ、一、
——ドンッと僕の夜空の中で
何かが花開いた。
夜空に鮮血のような、水滴のような、
白露のような、しぶきが散る。
胸の奥が眩しく疼いて、
小さな悲鳴を上げる。
いつしか、爆音と心音が重なり合い、
僕の足音を追いかける。
激動と振動に襲われた僕は、
心を投げ出したい衝動に駆られた。
どうしようもない衝動が、
僕を捕らえて離さない。
この胸をほとばしる想い。
この胸を焼き尽くす火花。
全部、よるが連れてきたんだ。
熱線と光線が、僕らの視線で、
ばらばらになってしまった。
じゅわっと、かき氷が舌先で溶けるように、
光が、闇の中へと姿を消した。
僕の瞳の中に、光の軌跡を残して。
僕は、瞳の中に輝きを閉じ込める
かのように、まぶたを閉じた。
祭りの後の静けさが僕を包み、
光のかけらが、そっとよるに寄り添う。
この闇を彩った鼓動。
この闇を焦がした激情。
全部、僕が連れてきたんだ。
切ないくらいの刹那がそこにあった。