感情花火
掲載日:2019/12/30
打ち上げ三秒前。
祭りの前の胸騒ぎがよるを包み、
僕の心臓がきゅっと引き締まった。
三、ニ、一、
——ドンッと僕の夜空の中で
何かが花開いた。
夜空に鮮血のような、水滴のような、
白露のような、しぶきが散る。
胸の奥が眩しく疼いて、
小さな悲鳴を上げる。
いつしか、爆音と心音が重なり合い、
僕の足音を追いかける。
激動と振動に襲われた僕は、
心を投げ出したい衝動に駆られた。
どうしようもない衝動が、
僕を捕らえて離さない。
この胸をほとばしる想い。
この胸を焼き尽くす火花。
全部、よるが連れてきたんだ。
熱線と光線が、僕らの視線で、
ばらばらになってしまった。
じゅわっと、かき氷が舌先で溶けるように、
光が、闇の中へと姿を消した。
僕の瞳の中に、光の軌跡を残して。
僕は、瞳の中に輝きを閉じ込める
かのように、まぶたを閉じた。
祭りの後の静けさが僕を包み、
光のかけらが、そっとよるに寄り添う。
この闇を彩った鼓動。
この闇を焦がした激情。
全部、僕が連れてきたんだ。
切ないくらいの刹那がそこにあった。




