4作目光の帝国
何千年と朝の来ない夜がこの町にはずっと続く
町の人は、いつからかまっしろしろのアルビノで
まっしろしろだから目の下の黒い染みがとっても目立っていた
今日もぎょろぎょろと闇夜に目を光らせ、一人一人と建物に入っていく
猫は皆真っ黒で、路地裏に黄色の目を光らせ建物に入る彼らを見つめる
見上げる空にはいつも星が輝き、もう飽きたわと星空に欠伸をする
路地裏に大きく背伸びする建物の影は、外へ向かって行進するように延々と並び、彼らが入ってくるのを温かく待っていた
今夜も一つ、一つと声が聞こえ始める
今日も寝ないぞ
建物は、橙色の明かりがどこもかしこに灯り
ぽろぽろとアルコールの香りを漂わす賑やかな声が響いた
朝はずっと来ない
彼らはくるくると場所を交換しながら、終わらない宴会を続けるのであった
朝はいつやってくるの
ベッドで廊下の影に脅える子ども達は、布団を被り震えながら考えた
ここに来たばかりの先生はきちんと寝なさいと教え
お母さんは絶対寝てはいけないよと教える
いつ寝ればいいのか分からないよ
隣のおじいさんは、眠いと布団に入ったきりずっと起きないよ
お友達だったあの子もそうだ
だから先生よりお母さんが言っている事が正しかったんだね
起きられないのは朝が来ないからいけないんだね
廊下の影は、ずっと見張っている
建物の影はずっと見張っている
彼らがやがて眠る時を
この町に朝がやってくるまで彼らは目を覚まさない
賑やかな声が響き、彼らの終わらない行進が始まる