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Definitio Ⅷ:Corpus Omnes Una Manet Nox Pinus (定義Ⅷ:すべての コルプス/物質 を 松/待つ 一夜)

一体どれだけの時間が経ったのか分からない。

暗い部屋の中、周りは水ばかり。水圧でドアは開かない。

あの時と同じく、私は一人で絶望の中、箱の中に閉ざされてただ震えていた。


それを打ち破ったのは、窓から差し込んだ一筋の光。

いつか見た光に似ていて、「もっと光を」と、ドアを押した。


今まで開かなかったドアが開いた。でも、そこにはあの時のコルプスはいない。

代わりに死神が招いているのだろうか。


Omnes una manet nox

全ての存在に一夜(死)が待ち受ける



水圧はゼロを示し、確かにそこは地の底ではなく地上だった。だが地獄の様な光景が広がっていた。

月明かりに照らされて見えたのは、人と松達の無残な姿だった。

津波が襲う前のここは多くの松が生える人々の憩いの場所だったのだろう。コルプスとよく過ごしたローマのボルゲーゼ公園の様に。

だが今は、人々の笑い声も、鳥の声も聞こえず、ただ遠くの波の音だけが静かにこだましていた。

波は子守歌の様に、Aquis submersus(水に沈む)と詠い、永遠の眠りへといざなっていた。


多くの松が倒れた中で、一本だけが残っていた。それはあの日、コルプスと共に語った松の様だった。何となく、それに引き寄せられた。

いつもの公園の様に、松にもたれかかり、コルプスを待ち続けた。

今日もまたJapan sinkの様な人を助けでもして遅刻しているのだろう。

来たら文句の一つでも言わなくては…

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