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これは転移ではなく転生だ!絶対!!

「…何故だ」

異世界に行けたのはいい。小さい頃からの夢だったしな。

でもさぁ、転移っていうから、きっと前の世界での体で来ると思ってたんだよ。

なのに!

「どうして俺の体は…五年もたったのにこんなにも幼いんだ-!!」

俺は、転移ではなく転生をしていた。

どうやら、以前の記憶を保持したまま、この世界の人間として生まれたらしい。

この世界での俺の名前は、ハキル。

フルネームで、ハキル・サクリルスだ。

家も、金持ちでもなければ貧乏でもない、普通の家庭だ。

実は、この五年の間にいろいろ調べてみたのだが面白いことが分かった。

まずこの世界のことだが、全国で、共通の言葉を話すらしい。

勉強内容が少なくなって助かる。

何で勉強する必要があるのかって?

この世界での言語は日本語ではないと言うか、前の世界に存在しない言語だからだ。

俺は赤ん坊からのスタートなので楽なのだが、実は問題が一つ。

この世界には時折、転生者が送られてくる。

そんでもってこの村は転移または転生をしたばかりの者達が、多く訪れるといういわゆる、『始まりの村』なのだそうで。

何が問題になるのかというと、転生者が貰うチートって大体が武器や異能力系ばかり……。

つまり、通じないのだ…言葉が。

だがこの問題、実は解決済みだったりする。

俺が天界と通信することを【想像】し、転生者に翻訳チートをつけて貰うように頼んだのだ。

これで村のみんなも、新しく来る転生者達も困らないだろう。

てか、転生者来すぎじゃね?という疑問が出ると思うと思う。

この世界の魔王は、転生者(チート持ち)が、数人がかりで挑んでやっと倒せるほどの強さで、ソロで挑んだ命知らず(バカ)がよく死ぬらしい。

転生者が死ぬと、元いた世界で赤ん坊からやり直すらしい。

ちなみに、魔王は倒しても数十年単位で復活するので、魔王を倒した暁にこの世界を、魔王が復活しても大丈夫なように、自由に発展させて良いらしい。

というわけで、さっさと魔王を倒して、科学技術でこの世界を便利にしますかね。

俺は、自分の部屋に置いてある、【想像】によって作り出した、デスクトップパソコンを起動し、ネットから『ウェイツベ』という動画サイトに入った。

ネット環境?そんなもん俺の能力でどうとでもなる。

俺は、剣術の動画と、ありとあらゆるFPSのプレイ動画を探し、ダウンロードする。

ダウンロードを待っている間に、俺は見た技をコピーできる能力を【想像】しておいた。

動画は、まだ使うことはないだろうから、大切に保存しておく。もちろんロックをかけてな!!

「あー!ま~た何かやってる-!も~早く降りてきてよ!今日一緒に魔術の練習するって約束じゃんか~!」

声のした部屋の入口に目を向けると、そこには、この世界での幼馴染みの、シュミル・フラミレルドが立っていた。

ライトブラウンの髪を肩にかかるまで伸ばし、年齢に見合わないスラリとした身体を、白と茶色の洋服で包んでいる。

『俺っ子の可憐な幼女』として、転生者から絶大な人気を誇るシュミルだが、実は俺と同じ転生者だったりする。

俺は、目の前で仁王立ちして、頬を膨らましている幼馴染みに一言だけ、こう言ってやったのさ。

「お前…そのしゃべり方は…………引くわ~」

ってね☆

シュミルの元の名前…つまり、前の世界での名前は、大村 健一(おおむら けんいち)

名前で分かるとおり、男だ。

こいつが貰ったチートは、一度見た人間に姿を変えれる能力。

名前は確か…【ルックスフェイク】だったと思う。

転生前自分のメスに、アーノルドって名前をつけていたこいつのネーミングセンスにしては、ましな方だと思う。

何で知ってるのかって?

そうだった。忘れるところだった。

俺と健一もといシュミルは、転生前も幼馴染みだったんだ。だからいろいろと知っている訳さ。

シュミルは、悪いと思っているそぶりも見せず、「わりぃわりぃ」と謝り、ニコッと笑いながら、

「先に降りてるから、早く来いよ」

と言って降りていった。

中身が男と知っていても、あいつにはドキッとさせられる。

だってあいつ見た目は可愛い女の子だもん。

俺は、フッと小さく笑いながら、パソコンの電源を切った。


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